AMD、次世代CPU「K7」を発表、バスクロックは200MHz

発表会場で '98年10月14日 発表

 AMDは14日、都内で説明会を開催。次世代CPU「K7」について、設計および技術の詳細を公開したほか、'99年第4四半期までのCPUのロードマップを示した。内容は、米国で開催されている「Microprocessor Forum」の発表に準じたもの。




 

K7
 
K7のブロック図

●「K7」は'99年上半期に市場投入、システムバスは200MHz

 「K7」は、同社がIntelに先んじて出荷する第7世代プロセッサで、主にサーバーやワークステーションなど、ハイエンド向けのプロセッサとして投入される。

 最初の製品は、'99年上半期に出荷される。動作クロックは500MHz以上で、128KBの1次キャッシュと、512KB~1MBのバックサイド2次キャッシュを備える。バックサイド2次キャッシュの動作クロックはコアの2/3まで対応し、容量は最大8MBまで拡張できる。また、マルチプロセッサに対応し、「チップセットが対応すれば、プロセッサの数に制限なく拡張できる」とした。

 製造は、自社工場のファブ25で行なわれ、0.25ミクロンプロセスでダイサイズは184平方mmになる。また、'99年下半期には、ファブ30の0.18ミクロンプロセスに移行し、ダイサイズは125平方mmになる。

 プラットフォームは、「Slot A」と呼ばれる新しい規格で、DECのAlphaシリーズで採用されている「EV6」と呼ばれるバステクノロジを採用し、バスクロックは200MHzとしている。CPUのパッケージやピン数など、物理的な形状はIntelの「Slot 1」と同じで、ケースやヒートシンクなどは流用が可能。「IntelのSlot 1とは、電気的にはまったく互換性がないが、形状はSlot 1と同じで、部品の流用ができ、ベンダがマザーボードなどの対応製品を作りやすいようにした」としている。

 チップセットは、同社が供給するほか、主力サードパーティが出荷するとしたが具体的な社名は明らかにされなかった。BIOSはAMI、Award、Phoenixなどが供給するとした。また、対応メモリは、8日(現地時間)にライセンスの取得が発表されたDirect RDRAMが採用されると思われるが、具体的な説明はなかった。対応OSについては「対応が必要だと考えたOSには、すべて対応する」とした。なお、対応マザーボードについては、「K7発売と同時に出荷される」という。

 コアは、3個のx86命令デコーダを備えた9命令発行のスーパースケーラ・マイクロアーキテクチャで、投機実行、アウトオブオーダー実行付きのダイナミックスケジューリングを備える。FPUは、3命令発行のスーパースケーラで、3DNow!対応となっている。

 プロセッサの価格については「従来の製品と異なり、比較対象としてIntelの製品がないことから、判断が難しい。ただ、コストパフォーマンスは重要だと考えており、我々が想定した対抗製品であるIntelのWillametteが登場した場合でも、価格性能比で劣るようなことはないだろう」とした。



 

ロードマップ
 
K6シリーズのポジショニング

●K6-3(Sharptooth)を'99年第1四半期に出荷、モバイル対応製品も

 同時に発表されたロードマップでは、今後のCPUの出荷予定も公開され、従来のアナウンスに沿ったものとなっていた。

 現在、同社の総売上の約8割を占める「K6-2」は、'98年第4四半期に400MHz、'99年第1四半期には450MHzが投入され、IntelのPentium IIとCeleronに対抗する。また、256KBのバックサイド2次キャッシュを統合したK6-3(Sharptooth)は、'99年第1四半期にも量産出荷を開始し、IntelのDixonに対抗するという。

 また、モバイル対応プロセッサの投入スケジュールについても発表。'99年中に、Super 7プラットフォームをノートPCへ移植して、モバイル版のK6-2、K6-3を順次投入する方針を明らかにした。

 同社は、Compaq、IBM、HP、富士通、Acer、ソニー、日立など、有力メーカーがK6-2の採用を開始したことをあげ、「さらに、2~3社のメーカーがK6-2を採用する予定があり、Super 7プラットフォームは、'99年にPC全体でのシェアをより上げることになるだろう」とした。また、「0.35ミクロンから0.25ミクロンへ、製造プロセスが移行した際は、出荷量を十分に確保できなかったが、現在はまったく心配はない。むしろ、たくさん作ったものを売らなければいけないのが大変だ」と冗談を交えて、製造能力の不安も否定した。

 質疑応答では「K7」以降のプロセッサについても言及し、「32bitのK7とは別に、Intelの64bitプロセッサであるMerced対抗の製品も考えている」とした。
 

□AMDのホームページ
http://www.amd.com/japan/index.html
□ニュースリリース
http://www.amd.com/japan/news/prodpr/nr9882.html
□関連記事
【10月14日】「Microprocessor Forum」関連リリース インデックス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981014/mpf_i.htm
【10月9日】AMD、Direct RDRAMのライセンスを取得
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981009/amd.htm

('98年10月14日)

[Reported by shiina@impress.co.jp]


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