株式会社ダイアモンド・マルチメディア・システムズは14日、プレス、販売店、デベロッパを集めての戦略発表会「Diamond Multimedia Strategic Seminar」を開催した。この発表会では、米Diamond Multimedia Systems(以下Diamond)の経営戦略について発表するとともに、当日発表となった新製品についての説明も行なわれた。
●Diamond Multimediaの戦略
最初に、DiamondのCEOであるWilliam.J.Schroeder氏が壇上に立ち、同社の戦略について解説を行なった。
Schroeder氏は、市場の動向について、今後のインタラクティブなマルチメデイア市場において、3Dビデオカードやサウンドカードなどのマルチメディア製品と、モデムやDSLモデムなどのネットワーク製品は、ビジネス的にも市場的にも相互に影響し合うとした。同社はネットワーク、マルチメディア両市場でそれぞれに製品群を持っており、こうした動きへの対応が可能であるとして、製品ラインの拡充によるメリットを強調した。
具体的には、Micronicsの買収によるシステムボード(マザーボード)、Monsterシリーズなどのコンシューマー向けエンタテイメント製品、Viper/Fireシリーズなどのメインストリームの製品、携帯用MP3プレイヤー「Rio」などのインターネットに関連する機器を挙げた。
また、現在スタッフの人員構成はソフトウェアが71%、ハードウェアが22%となっており、ソフトウェアに力を入れていると述べた。
●新ビデオカード
【Viper V550】 |
「Viper V550」は、RIVA 128 TNTを搭載したビデオカードで、AGP版とPCI版が用意される。実売価格は3万円弱の見込み。一般向けの製品としては高額だが、ターゲットとして、一般ユーザーのほかNTワークステーションユーザー層も含むとしている。
「Monster Fusion」は、3Dfxの2D/3Dビデオチップ「Voodoo Banshee」を搭載したビデオカードで、既に米国で発表されている。日本での発売は10月21日、予定価格がPCI版が23,800円、AGP版が24,800円となっており、実売はいずれも2万円前後が予定されている。ターゲットは、1スロットで2D/3D両方の性能を満たしたいユーザー層であるという。
「Monster Fusion」が実売2万円前後であるのと比べて、「Viper V550」が実売3万円弱ではコストパフォーマンスが悪いのでは、という質問に対して、「V550のAGP版はAGP 2X対応で、Monster FusionはAGP 1X対応である。また、V550はビデオ出力を持っており、その点でも住み分けが可能であると考えている」と回答した。
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●携帯用MP3プレイヤー「Rio」
今回の発表会でもっとも注目を集めたのが携帯用MP3プレイヤー「Rio(PMP300)」だ。秋葉原などで販売されている「mpman」を開発した韓国のDigitalCastを買収したことにより実現した製品で、開発はDigitalCastが行なっているという。いわば「mpman2」にあたる製品で、サイズは約63×89×16mm(幅×奥行き×高さ)とさらに小型化されており手のひらに収まるほど。重量約70g。発売は11月初旬を予定しており、実売価格は25,000円程度となる見込み。
実際に触ることができたのは試作機だが、持ってみるとかなり小さく、軽く感じた。しかし、その点が安っぽく見えてしまう要因にもなっている。工作精度も低く質感も高くないが、量産モデルでは改善される可能性があるので期待したい。
正面から見たところ。液晶と操作ボタンが見える。 | 左側がRio。右側がMDプレイヤー。Rioの小ささがわかる。 | 底面。左側に見えるスリットがフラッシュメモリのスロット。右端は電池ボックスの蓋。 |
「mpman」発売時には、MP3データの配布方法に問題があるケースが多かったが、有名メーカーが携帯用MP3プレイヤーを発売することで、著作権をクリアしたサイトが増えるなど、MP3の発展的な利用が期待される。
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●マーザーボード
既に米国で発表されているマザーボードを、日本でも販売することを発表した。
「Micronicsを買収したことで、マザーボードをDiamondでも発売できることになった。今までのMicornicsの製品は、最先端技術を投入した、高性能・高品質・高信頼性の製品であるが、価格は高かった。しかし、これからは価格面でも競合製品には負けない」とした。具体的には、GIGABYTEと同等の価格を目指すとしている。
また、「マザーボードにDiamondのモデム、サウンドやビデオカードの技術を使って、その機能を取り込んで行くこともでき有利である」とも語った。
製品構成としては、リテール(主に自作機向け)の「Cシリーズ」、システムインテグレータ、OEM向けの「MXシリーズ」、ハイエンド向けの「WSシリーズ」の3シリーズ。
実際の製品は、440BXを搭載した「C400」と、ALI 1541を搭載したSocket 7マザーボードの「C200」が既に量産出荷可能となっている。なお、米国で販売されている440LX搭載「C300」の国内の販売は未定。
【C200】 |
【C400】 |
このほか、チップセットに440BX、ビデオにViper 330(RIVA 128/8MB)、サウンドにSONIC IMPACT S90を搭載した「MX410」を10月に量産出荷予定、チップセットに440BX、ビデオにVoodoo Banshee、サウンドにAureal8830 PCIを搭載した「MX440」も12月にサンプル出荷、'99年1月に量産出荷を予定している。
●サウンドカード
サウンドカードの新製品として、「SONIC IMPACT S90」を発表。PCIバス版で実売価格6千円台を予定しており、コストパフォーマンスを追求したとしている。
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□ダイアモンド・マルチメディア・システムズのホームページ
http://www.diamondmm.co.jp/
('98年9月14日)
[Reported by furukawa@impress.co.jp]