スタパ齋藤

結果もいいけど、経過もネ
~ステキ型カムコーダー『DCR-PC1』~



■ Megabass社の人気の秘密は!?

 唐突かつ本メディアとはかなり関係の薄い話だが、最近のバスフィッシングシーンにおいて、ちょっと妙な現象がある。それは、特定のルアー(疑似エサのコトだヨ!!)が超大人気で、どの釣具店も在庫ナシ状態という現象。その特定のルアーというのは、Megabass社製のルアーだ。

GIANT DOG-X
POP-X
Megabass社のルアー
 上がGIANT DOG-X、下がPOP-X。精巧な作りで、最近では入手しにくいこともあり、使わずにコレクションするファンもいるという。
 Megabass社のルアーは、バスフィッシング歴6年の俺が冷静に考えるに、他社のルアーに比べてその外見が非常に美しく、作りがいい、程度。それと同時に高価。見てくれがキレイで高いと、いかにも魚が釣れそうな感じがするが、まあ相手は魚。高くてキレイだから食いつきたくなるというわけでもなく、Megabass社のルアーだから釣れる、ということではない。Megabass社の1コ1,800円のルアーで釣れないのに、特売で2コ390円のヘンテコなルアーを投げた途端釣れた、てなことだってある。魚は気まぐれだ。まあ確かにMegabass社のルアーには、他社のルアーにはない各種ギミックが盛り込まれており、良く釣れるルアーのひとつでもある。それにしても異常なほどのバカ売れと品薄。3年くらい前は、それほど大人気という感じではなく、キレイで高価なルアーというような存在だった。

 まあ、バサー(バス釣りをする人のことだヨ!!)というのは妙な人々で、「釣れるからこのルアーを使うんだ!!」という人も多いが、わりと多くのバサーが、「このルアーで釣り上げてやるんだ!!」とか「このルアーで釣れないはずがない!!」と思い込んだりしている。また、そう思い込むと、その自信アリのルアーを湖面に投げる回数が増え、魚の目に入る確率が上がる。思い込みがきっかけとなって、釣れる確率が高くなり「やっぱこのルアーは最高だ」となるわけだ。また、そーゆー思い込みや意気込みがないと、どんなルアーを投げても釣れないような気がしてきちゃって、急にバス釣りが理屈っぽくなったりして、つまらなくなったりする。

 で、Megabass社のルアーだが、(俺の知る数人のバサーに限っての話かもしれないが)これを「こんなにキレイで高いルアーなんだからどう考えても釣れるはず!!」みたいな気迫と思い込みをもってして使っていた人が多かったような気がする。高価・精巧、と来ちゃあ、それで釣れなくちゃ悲しくなっちゃうし、というのもあっただろう。ともかく、Megabassのルアーは爆釣ルアー、というような定説がいつの間にか出現してきた。そんな感じ。

 そして今年。Megabass社のルアーは、どの店に行ってもまるで買えない。どの店の店員に聞いても、「Megabassのルアーは大人気で入荷したらすぐ売り切れちゃうんですよ」と。

 これはどーゆーコトなんだ!? と不思議に思っていろんなバサーと話をしたら、俺なりになーんとなくわかってきた。Megabass社製ルアーの爆発的人気は、ルアー自体の良さも確かにあるが、それと同時に市場に出回っていた量の少なさと価格の高さと、そして絶妙な広告にあるのだと思う。

 結論から言えば、高級ゴルフクラブを欲しがるゴルフオヤジ現象、みたいな感じだ。腕がなければどのゴルフクラブを使ったって似たようなトホホ的結果なのである。が、高級ゴルフクラブ指向となる気持ちはよーくわかる。目的が同じでも、そのプロセスの基盤となる道具が良ければ、よりたやすく目的が達成できるような気がするものだ。道具が悪いから失敗したのかも~というモヤモヤもなくなる。第一、高級な道具を使うというのは、やはり男の子にとっては愉快なことなのである。

 Megabass社のルアーは、いわば高級ルアーだ。高級品を感じさせる美しさ、値段の高さがある。さらにそれらの要素をいっそう引き立てるヒキのある広告があった。例えば、それまでのルアーの広告と言えば「夏だ!! バスだ!! このルアーでキマリ!!」みたいな、ある意味まるでなっちゃいねえスットコドッコイな広告ばかりだった。大手メーカーの広告でさえ、まあ一応はカッコ良い感じではあるが、抽象的で、説得力に欠けた。が、Megabass社のルアーの広告は、上品なカッコ良さと説得力ありまくりの解説で構成されていた。ルアーの美しさを最大限に引き出す写真、数値に裏付けされた説明文、バサーのツボにグイグイ来る煽り方。見ているだけで洗脳されそうな、非常にデキのいい広告を打っていたのだ。しかも他社のルアーと違って、売場に置いてある絶対数が少なく、これがさらなる高級感や特殊性を高めていたように思う。他社とはひと味もふた味も違うブランドイメージ、強い説得力、高級感。このトリプルパンチにブン殴られ、最近のバサーはMegabass社のルアーをこぞって買っているような、そんな気がする。



■ DCR-PC1

DCR-PC1
SONYのDVカメラ、DCR-PC1
標準価格235,000円。カールツァイスレンズ採用というのがまたグッとくるところ。18万ドットの2.5インチ液晶、光学10倍ズームを装備。サイズは52×92.5×119mm(幅×奥行き×高さ)、重量約460g。
 俺思うに、製品ジャンルこそ違うが、Megabass社のブランドイメージと、ソニーのブランドイメージは、そのあり方も作られ方も非常に似ているのではないか、と。また、その製品のテイストも非常に良く似ているのでは、と。

 ルアーの話まで引き合いに出し、いろいろ理屈をこねているし、結局この行あたりからが本題だという冗長な文章を書いている俺と言えば、実は広告の力にはヒジョーに弱く、ハードウェアのブランドイメージというものにも弱いので、こないだテレビでやってたソニーの新型DVハンディカムことDCR-PC1を買ってしまった。

 ベースとパーカッションのクールなBGMが流れる中、もの凄くコンパクトでサイバーなカムコーダーが映る、あのイカシたCM。運動会の子供とか、お誕生日とか、そーゆー生活感がまるでない洗練されたシチュエーション。あのガツンとクるCMを見た直後、速攻でショップに駆け込み、ソレを触ったらすげーカッコ良かったし高性能だったので、約180分程度思案した結果クレジットカードを提示してしまったというわけだ。

 で、DCR-PC1だが、CMの通りヒジョーにカッチョいいイメージのデジタルビデオカムコーダーなのだが、ハードウェアとしてもかなり良い。 まず、8ミリビデオテープを3本重ねた程度のサイズに驚く。俺が以前買ったDCR-PC7(デジタルビデオカムコーダー)よりもさらにふた回りほど小さい。006P電池みたいなインフォリチウムバッテリで、実働約30~40分。撮れる映像は、DVだけに非常に美しい。ビューファインダーも液晶モニターもカラーで鮮明。細かな機能も充実していて、ピクチャーエフェクトとかデジタルエフェクトとかプログラムAE撮影モードとかデジタル手ぶれ補正とか、今時のハンディカムにある機能のほとんどが備わっている。なのに、52×119×92.5mmというサイズで、たった460グラム。おいおいどうなっちゃってんだよという、ちょっとショッキングなサイズと性能だ。ソニー曰く“小型ボディに高画質を凝縮”と、DCR-PC1を広告しているが、まさに“凝縮”という言葉がピッタリのDVハンディカムだ。



■ 180分思案した理由

DCR-PC1
実際に持つとさらに欲しさが増す作りの良さ
 いつもの俺なら、DCR-PC1を触った瞬間買っていたと思う。が、前述のとおり、今回は、ウッと思ってパッと買う間に、180分間の思案時間があった。なんで思案したのかと言うと、やはり前述のとおり、俺はこのテのDVハンディカム(DCR-PC7)を既に持っていたので、似たようなモンをそういくつも買うのはナンだなあと思ったからだ。

 で、180分間の間に考えたのは、やっぱりパナソニックの液晶画面がデカくて比較的安価なDVカムコーダーを買おうかなとか、やたら長時間使える8ミリのスタミナハンディカム買おうかなとか、それよりシャープのにしようかなとか、つまりカタログ吟味。そして迷いに迷った結果に、売場に向けて俺をトンと一押ししたのが、DCR-PC1自体のステキさだった。ステキなことはCMを見た時点でわかっていたのだが、現物を見たらCMよりもっとステキだったのだ。

 こーゆー製品も少ない。たいていはCMより現物の方がややステキ度が落ちるものだ。しかし、DCR-PC1には、CM上のイメージに上乗せするステキさがある。例えばそのディテールが良い。CMでは見えてこなかった、こう、緻密で精密で凝ったディテールは、DCR-PC1を手に取った瞬間、俺の物欲中枢を刺激しまくったのだった。

 ある意味、ソニーはCMで損をしているような気もする。なぜなら、製品の凄いディテールが、テレビCMからもカタログからも見えてこないからだ。マグネシウム合金ダイカストボディの滑らかな感触や、マニアックなほどの面取り処理、ボタン類の精密感。CMでおっと思わせ、現物でさらにおおっと思わせる。もしかしたらコレは新手の購買意欲刺激作戦なのかもしれない。

 そう言えば、Megabass社のルアーもそういう感じがある。雑誌広告やカタログもカッコイイのだが、現物を見ると、広告にはなかったさらなる美しさを発見できた。
 ともかく、「ありゃりゃ、広告ではもっとカッコイイと思ったんだけどなぁ」という製品が多い中、「ううっ、CMで見たときよりさらにカッコイイじゃん」と思わせる製品なんて、そうはない。  さて、DCR-PC1のステキさに後押しされて売場まで行った俺だったが、まだクレジットカードは出していなかった。けっこう冷静に、まだ迷っていたのであった。DCR-PC1でも、俺が持っているDCR-PC7でも、得られる結果に大きな変わりがあるわけではない、と、冷静に考えていたのだ。

 そんなふうに売場の前をさまよっていた俺にクレジットカードを出させたのは、最近いまひとつ釣れないけどけっこう楽しめてるバスフィッシングの思いだった(おっ、ここで冒頭の長話とつながるのか~っ!? ってなんかワザトらしいですか?)。



■ 結果もいいけど、経過もネ

 最近の俺のバスフィッシングはイマイチである。以前は釣行のたびに何匹かは釣れたし、得意のポイントやルアーも心得ていたし、攻略法もいくつかあった。が、最近はボウズ(釣果0匹)が多い。論理的な理由としては、バサーが増えまくったので魚にプレッシャーがかかっていることや、天候不順で水が冷えたり暖まったり濁ったり増えたり減ったりしていることや、釣行回数が減ったことなどいろいろあるのだが、現実的な理由は俺の「俺は釣るぜ俺は釣るぜ俺は釣るゼ~何が何でも俺は絶対必ずどうしてもバスをゲットするんだゼーッ!!」という気迫が薄れたことにあると思う。絶対に釣るという気迫よりも、ココでコレやったらどうなるかナ、みたいな実験精神の方が旺盛になってしまった。

 具体的には、通販で買ったインスタントフィッシャーマンとトゥルーモーションルアーおよび新型フライングルアーで挑戦してみるとか、トップウォーターじゃムリと言われているポイントで真昼のトップウォーターアタックをカマすとか、つまり定石を外れた釣りはどんなモンだろうかと試していたりする。ワームでじっくり攻めれば絶対釣れるけど、敢えてクランクとかバズベイトとかで攻めるんだ!! みたいな。

 で、こういう釣りが案外楽しかったりする。安全パイを取れば、釣果が上がるのだが、そうしないで試行錯誤するのも楽しい。一応、どのポイントでどんな釣りをすればいいのか知っているので、それを余裕として確保しておいて、新たな釣りにチャレンジする楽しさだ。

 話が逸れたが、DCR-PC1を買うに至った大きな理由は、そのような考え方だった。例えばフツーのスタミナハンディカムを買ったり、それまで使っていたDCR-PC7を使えば、ビデオを撮影することに関して何ら問題はない。が、もう慣れちゃったし飽きちゃったし経過も結果も見えているので、そうでないアプローチをしたかったのだ。逆に言えば、どうせ結果なんか似たようなモンなんだし、だったらその経過がより楽しい方がいいよネ、と。

 というわけで、持って楽しい、触って楽しい、撮って楽しい、の、ステキ型カムコーダーであるDCR-PC1を買ったのであった。いやコレほんとにイイっス。サイコーっス。グレートっス。ここ数週間、撮影するのがすげえ楽しいっス。てな感じなので、電気屋さんに行ったら、ぜひ一度スマートパスポートハンディカムことDCR-PC1に触れてみていただきたい。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□DCR-PC1製品情報
http://www.sony.co.jp/ProductsPark/Consumer/VD/DCR-PC1.html

【お知らせ:スタパ齋藤氏新刊書籍プレゼント】
 スタパ齋藤・船田戦闘機共著の『100台のコンピュータ(アスキー出版局)』をアスキー担当様のご好意により、3名様にプレゼントいたします。応募方法など詳しくは、「やじうまPC Watch」をご覧ください。(編集部)

[Text by スタパ齋藤]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp