【イベント】

MACWORLD Expo/New York会場レポート 第4弾


Mac OSに新たに登場した177本のアプリケーションソフト
WWDCの新OS戦略の発表から約2ヶ月


会場写真
開催地:米国 New York
会場:Jacob K. Javits Convention Center
会期:7月7日~10日(現地時間)


 MACWORLD Expo展示会場レポートの最後は、Mac OSを取り巻くアプリケーション事情について紹介しよう。Jobs氏の基調講演にもあったように、度重なるOS戦略の転換とAppleの不振は、Mac OSからのデベロッパ離れを促進した。同氏の言葉を借りれば「デベロッパとの関係は最悪に近い状態にあった」と言える。しかし5月に開催されたWWDCにおけるMac OS Xへのロードマップ発表、そしてiMacによるコンシューマー市場への再参入をきっかけに、ふたたびデベロッパがMac OSに戻ってきつつあるという。WWDCからおよそ2ヶ月という短い期間に177本の新アプリケーションが発表されたことは、基調講演でも重要なポイントとして語られた。

順当にバージョンアップするビジネスアプリケーション

 USB関連機器が続々と登場してひと足先に活気づいたハードウェアとは異なり、ソフトウェアはややゆっくりとした復調具合といえるだろう。いまやApple Computerにとって、もっとも重要なデベロッパとなったMicrosoftをはじめ、FileMaker(旧Claris)、Adobe Systemsなどはブースを構えたものの、QuarkやSymantec、Netscapeなどは出展を見送り、Macromediaは最小単位の小間で簡単な案内をするにとどまっている。


新社名「FileMaker」としては初めてのEXPO。これまでは必ずAppleブースに隣接してブースが設置されていたが、今回はMicrosoftがその間に割り込んだ。同社は主力製品の「FileMaker PRO」を中心にデモンストレーションしている。


Appleブースに隣接し、両社の蜜月関係を強調するMicrosoft。米国ではすでに出荷され、日本語版も9月4日に発売される「Office 98」がデモンストレーションの中心だ。初日のレポートでも掲載したとおり、「Office 98」と「iMac」の双方を購入することでMicrosoftから100ドルのキャッシュバックが受けられる。日本でもこうしたキャンペーンが実施されるかは不明。


ドロー系グラフィックソフトの定番「COREL DRAW 8」。PRポスターには「Draw Different」の文字が見える。こうした状況を見ると、米国においてAppleの「Think Different」キャンペーンはかなり浸透しているのだろう。 Connectixでは、人気ユーティリティの最新バージョン「RAM Doubler 8」と、新たにWindows 98に対応したエミュレーションソフト「Virtual PC」を展示。「Virtual PC」はWindows 98をバンドルしたパッケージも出荷される。


iMacに「FAX Stf 5.0」がバンドルされるSTF Technologies。ブースでは、市販パッケージとなる拡張版の「FAX Stf 5.0 PRO」を展示していた。 「PageMill」をはじめとした他社製のHTML作成ソフトのパッケージを持って行くと、「GoLive Cyber Studio」のPersonal Editionが無料で手に入る。ブース入り口にはこうして集められた他社製品の大量のパッケージが山積みにされている。



MacintoshはPC/AT互換機に並ぶゲームプラットホームになれるか

 iMacを中心にAppleがコンシューマー市場で再び成功するためには、ゲームを中心としたエンターテインメントソフトは欠くことのできない要素となる。基調講演では著名なPC用エンターテインメントソフトが、今後次々とMac OSへと移植されることがJobs氏によって明らかにされた。展示会場にも特設エリアが設置され、ホビーユーザーを中心に盛り上がりをみせた。


Disney Onlineとの協力関係もAppleにとって大きな力となる。オンラインサービス「Disney's Blast Online」が、Macintoshに対応した(http://www.disneyblast.com/mac/)。これはWeb上のコンテンツで、プラットホームやブラウザによる表現の違いを吸収するため、Windwos環境からアクセスした場合とまったく同じに画像などが表示できるように、Mac専用にページを用意するということだ。 あのレイラ・クロフトがMacintoshにもやってくる。ゲームのラインナップで目玉のひとつとなるのが「Tomb Raider II」。EIDOS Interactiveによる大ヒットアクションゲームだ。PC環境では先日のE3で第3弾が発表されたが、同社ではシリーズのすべてをMacに移植したいとしているので、期待も大きい。販売はAspyr Mediaによって行なわれる。


3Dアクションシューティングでは定番となった「Quake」や、PCで発売されて間もない「UNREAL」もMacitoshで楽しむことができる。iMacはもちろん、既存のMacintoshにもUSBカードを追加することで、USB対応の多彩なゲームコントローラーを使用して楽しむことができるようになるはず。 定番のシミュレーションゲーム「CIVILIZATION II」も登場する。現時点では、Macintoshだけというゲームソフトの発表はまだないが、いわゆる定番ものが次々と移植されることが最初のステップとなる。


「Marathon」などのヒット作品を生みだし、Macにおけるゲーム市場を支えてきたBUNGIE SOFTWAREの新作「Myth II」。ネットワーク対戦にも対応したリアルタイム戦略シミュレーションである。 PC/AT互換機ユーザーなら定番の、3Dグラフィックアクセラレータチップ「Voodoo2」搭載のグラフィックカード。これまでMacintosh用でも「VooDoo」チップ搭載の製品はあったが、「Voodoo2」の搭載は初めてとのこと。Micro Conversionsが発売する。前述の「UNREAL」など今後の対応ソフトの増加に期待。



コンシューマー市場への再挑戦はNew Yorkから始まった

 初めてNew Yorkを舞台に開催されたMACWORLD Expoは、7月10日にその幕をおろした。Microsoftとの劇的な提携が発表された昨年のような驚きこそなかったが、逆に1年を経てAppleがさまざまな難局を乗り切って、再びコンシューマー市場参入のスタートラインに立つことができるようになったことこそ、驚きをもって迎え、もっとも評価すべきことなのだろう。

 会場の出口には「See You In SanFrancisco」の垂れ幕も掲げられた。Appleが製品カテゴリーの簡略化を行なってきて、最後に残るのがコンシューマー向けポータブルの製品ライン。ここに新製品を投入するといわれる'99年は目前に迫っている。そのためにもiMacは、コンシューマー市場で受け入れられ成功をおさめる必要がある。そしてその答えは、'99年1月5日~8日のMACWORLD Expo/SanFranciscoで語られることになるだろう。また、来夏のExpoはBostonへと再び戻って、'99年8月4日~6日の会期で開催されることが決定した。


□MACWORLD Expo/New Yorkホームページ
http://www.macworldexpo.com/mwny98/index.html

('98/7/15)

[Reported by 矢作 晃(akira-y@st.rim.or.jp)]


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