【コラム】


スタパ齋藤

新型IntelliMouse初体験!!


 大好評のスタパトロニクスが今週より週刊化! 毎週月曜日更新でお届けします。

■手首痛まりがちな俺

 俺の場合、第三者的にはデレっと遊んだりZZZっと寝たりオッシャァッとドライブに出かけたりゲフッとポテチ16袋をペプシ8本で胃に流し込んだりして、なーんかかなり放蕩&ただれてる生活を送っているように見えるようだが、そんなことはなく、本人からしてみれば毎日毎日仕事ばかりして計算機をいじくりまくっているので、ホレこのとおり、1カ月に一度はキッチリと腱鞘炎にかかったり凄まじい怠さに襲われたり恐ろしいほどの金欠になったりしている。

 つまり仕事ばかりしていてはそのうち体を壊すなァ、ということで、このようにたまには趣味の原稿書きなどを行なっているのだ。そして、そろそろ俺も若人ではないゆえに、あまり仕事ばかりに熱中するのもナンだし、もっと趣味を充実させようということで、このようにPC Watch上での連載記事も毎週ということにしたのである。

 えっ!? オマエの仕事はコレじゃなかったのかって? いや、本業は衝動買いです、っていつまで言ってる気だ>拙者。
 ともかく、マジな話、コンピュータをいじくっていると腱鞘炎になりがちな俺だ。例えばおもしろいコンピュータゲームを5時間くらいやると、まあだいたい力の入りすぎで手首にクる。連載の原稿を連続4本くらい書くと、やっぱり6~8時間くらいはキーボードを叩くわけで、やっぱり手首にクる。まあ、肩にもクるし腰にもクるのだが、肩だの腰だのは、軽く運動したり揉んだりすればだいたい治る程度。が、手首の痛みは、タチが悪い。

 コンピュータ操作中に「なんか痛いナ~」と思ったけどさらに使い続けたが運の尽き、手首からコキコキ音が出るようになったらもはや手遅れで、揉もうがほぐそうが冷やそうが何をしようが、痛みは増すばかり。ヤバいと思って手首を使わないようにしてももうダメで、何もしなくたって手首の痛みが増すのだ。アレと同じである、登山中の心地よい痛みと、翌日のスーパー筋肉痛。筋肉とか関節とかは、一度痛み出したら痛みのピークに向かって突き進むらしく、その猛進は誰にも止められない。ただただ時間が経って自然に治るのを待つのみ。腱鞘炎というのはまったくイヤな症状だ。



■工夫で予防

 で、いろいろ工夫して、腱鞘炎をはじめとするOA病(?)を予防しようとがんばった。まず、目の疲れからクる病気(?)の予防。
 長年の経験で思うのだが、目が疲れると頭が痛くなって肩が凝って最終的には吐き気までしてくる。で、これをどうにかしようと考えに考えた結果得られた方法は、まあ大したコトではないのだが、TFT液晶ディスプレイの使用と、部屋の照明の調節と、肘掛け付き椅子の使用だ。

 俺の場合、現在最も疲れない画面環境は、TFT液晶上に輝度と彩度の低い映像を表示してマシンを使うこと。Windowsなら、デスクトップを黒、ウィンドウの枠などの3Dオブジェクトをグレー、文字はハッキリ見えやすいように白か薄いグレーにすることが多い。つまり、画面のデザインを、なーんかこう地味&暗くして、ハデさをなくすのだ。こうすると、画面上の情報が非常によく見え、また、眩しい感じがしなくて、目に優しい(と感じる)。TFTで使うのは、ドットがハッキリ見えるからで、CRT上のややボヤケたドットを見ていると不必要に目を凝らしてしまって非常に疲れるのだ。これと同時に、机上の明るさ(つまり部屋の照明)を、ちょっと暗すぎない!? というくらいに落とす。部屋が明るくて画面が暗いと、そのコントラストで目が疲れる(と思う)。

 この、暗め設定TFTと暗めの室内照明のおかげ(じゃないかもしれないけど……)で、俺はいまだに視力2.0だし、3年前に買ったOA目薬を使い切れずに期限切れで捨てちゃったし、コンピュータ画面を見続けていても頭痛というモンが起きなくなった。俺が編み出した“目の疲れ防止法”なので、比較的眉唾モンだが、藁をも掴むフィーリングな方は、試しに試していただいたりなんかしてほしい。

 この方法で目の疲れとか吐き気がなくなった俺だったが、まだ、肩の凝りは残った。コンピュータを使いすぎた時の肩の凝りというのは、痛いとか疲れたとかそーゆー程度のモンではなく、首から腕にかけての全体が重苦しいというか、凄まじく怠痛い(ダルイタイ:苦し紛れの造語)というか、もう肩周辺が腐ってるんじゃないかというほど、ヒジョーにイヤな鈍痛がつきまとう。気になって眠れないほどにもなる。

 が、肘掛け付きの椅子を使ってコンピュータに触れるようになったら、いきなりこの重い肩凝りが出なくなった。椅子の肘掛けに肘を乗せ、机のエッジの部分に手首を乗せてキーボードを叩くようにしてからは、かなり肩凝りが減った。そりゃそうだ、肩にぶらさがっていた太いモンを、肘掛けの上に置いたのだから。さらに小さいキーボードを好んで使うようになってからは、なぜかほとんど肩凝りしない。きっと、ほとんど指先だけでキーボードを操れるようになったからだろう。



■でもまだ腱鞘炎に

 目の疲れを最小限に食い止め、肩凝りからも逃れた感のある俺だったが、やはり腱鞘炎がつきまとう。小さいサイズのキーボードをメインに使うようにしてからは、まあ左手首はほとんど動かないので、両手が腱鞘炎という最悪な状態には陥らなくなったが、やはり右手は腱鞘炎になりがちだ。

 目も疲れない、肩も凝らない、というふうになったので、以前より長い時間コンピュータをいじり続けられるようになったが、よーく考えたら、右手首から先は、以前とわりとおんなじ環境であり、世の中がGUI-OSな感じになったので、マウス操作という負担が増えたのであった。
 なので、いろんなマウスを試した。小さいの、大きいの、クリックが楽なの、クリック感が強いの、エルゴノミクスなのもけっこう試した。でもどれもなんかこうイマイチ妙な感じで、結局楽にもならず慣れることもできずで不発。

 そんな日々の中、結局コレがイイやと落ち着いたのがMSマウス。あの、白いナスみたいな感じの、Windowsマシン標準装備的マウスだった。コレがイイやと思ったのは、いちばん自然に使えたから。
 しかし、自然に使えてフィーリン'グッドではあったが、腱鞘炎は減らなかった。  考えるに、マウスが軽かろうと重かろうと、手になじもうとなじまなかろうと、大きかろうと小さかろうと、マウスボタンが堅かろうと柔らかかろうと、手首のモーションに増減はほとんどないのであった。

 そこで、今度は、多機能マウスとゆーモンに挑戦した。
 最初はどっかの三ボタンマウス。ダブルクリックの回数が減ったり、真ん中のボタンに特定の操作を割り振れたりするアレだ。が、いまひとつ。それほど右手への負担は減らなかった。
 次は、トラックボール。指だけで矢印カーソルを動かせるポインティングデバイスだ。コレは、手首のモーションが激減して比較的イイ感じだったが、マウスに比べると(慣れの問題もあるが)かなり操作しにくく、くわッこんなんならマウス使って腱鞘炎になった方がマシ!! とイライラしてしまってパス。
 一時はタブレットも試したが、アレは論外であり、腱鞘炎加速デバイスのよーなモンであって、手首がどうこうというより、絵を描くための入力デバイスであることを改めて思い知った。

 で、最終的にコレだよな、と思ったのが、今回のお題である、ホイール付きのマウスだ。



■使ってみました新型ホイール付きマウス

 去年か一昨年くらいだったか、一時は一世を風靡した感があったMicrosoft IntelliMouse。アレは良かった。単にマウスの左右ボタンの真ん中に回転と押下が可能なタイヤみたいな小さな入力装置があるだけのモノだったが、このホイールの回転アクションが、そのままウィンドウ内の情報のスクロールに連結しているというのが、すこぶる使いやすかった。また、設定次第で、ホイールの押下アクションをいろいろなマウス動作に割り振れたので、マウス操作時のいわゆる生産性の向上と、そして右手へ負担減少が体感できた。

 最初手に入れた時、もうコレしかないでしょ!! という勢いで使いまくってその便利さを感じまくると同時に、右手首への負担が激減しまくるのを感じまくった。が、ある理由ですぐに使わなくなってしまった。

ロジクールのMouseMan+
標準価格9,500円
 それから最近発売されたLogitechMouseMan+(発売元はLogitechの日本法人のロジクール)。これもヒジョーに良かった。左右ボタンの真ん中に回転および押下可能なホイールがあるのは、Microsoft IntelliMouseと似たよーなモンだが、右手親指にあたる部分に“親指ボタン”がある点と、MSのマウスに比べてヒジョーに良く手にフィットする点が優れていた。

 まず、親指ボタンがユニーク。ユニークなだけではなく、使い勝手もいい。MouseMan+には、ホイールを含めた4つの押せるボタンがあり、専用のドライバで各ボタンに機能を割り振れる。で、左右ボタンとホイールの回転には、まあ一般のマウス+スクロールのような常識的機能を割り振る。で、残ったホイールの押下と親指ボタンに、ロジクールならではのいろいろな機能を割り振れるのだ。それは例えば、ハイパージャンプでありサイバージャンプでありユニバーサルスクロールだ。

 ハイパージャンプ機能は、Windows 95使用時に便利な8つのコマンドをワンクリックで選択できるもので、例えばウィンドウの最小化や閉じる動作やリサイズ、矢印カーソルのスクロールバーやスタートメニューへのジャンプなどができる。サイバージャンプは、Webブラウザ使用時に便利な8つのコマンドをワンクリックで選択できるもので、例えば、ブックマークのURL追加やページのダウンロード中止、画面の縦や横へのスクロール、ページの前進や後退などができる。ユニバーサルスクロール機能は、ウィンドウのスクロールバーを使わずに、画面を上下左右に自由にスクロールさせられるものだ。

 このMouseMan+に付属のドライバは、非常に多機能というか柔軟というか、他にもいろいろとマウスをカスタマイズでき、使いようによってはほとんど手首を動かさずにWindows上でアレコレできる。また、その独特の形は手首に全然負担をかけない安楽的エルゴデザインなので、まさに俺にピッタリのマウスであった。

 使ってみて非常に満足できる機能とカタチだったのだが、俺はやはりある理由で、すぐに使わなくなってしまった。



■新型IntelliMouse初体験

E3でお目見えしたMSのIntelliMouse Pro
国内発売は未定
 MouseMan+は、MSの初代IntelliMouseに対抗すべく発売したと思われる製品で、ビシッとIntelliMouseの機能を凌駕していたように感じる。ところがそこへ、MSが新型IntelliMouseをぶつけた(んじゃないかもしんないけど、対抗したように見える)。

 その対抗馬的マウスが、先のE3で発表された、Microsoft IntelliMouse Pro。機構的には従来のIntelliMouseとほぼ同じだが、形状のエルゴノミクス度が高まり、マウス両サイドにラバー製となってグリップ感が良くなり、付属のドライバ(IntelliPoint)が一段と高機能なものになっている。

 で、MouseMan+と比較してみると、大雑把に言えば、まあどちらもだいたい同じレベルの機能と使いやすさを持ったホイール付きマウスだ。逆に細かい点ではあるが、MouseMan+よりIntelliMouse Proの方が、操作が楽に感じた。MouseMan+にはIntelliMouse Proよりもボタンがひとつ余計にあるし、ドライバのカスタマイズ項目も多いので、まあ機能的には上だ。が、後発の強みか、IntelliMouse Proの方が設定が簡単でしかも実用的な機能だけに絞られている感じ。また、MouseMan+のカタチは手にフィットして使いやすいのだが、ボタンが親指付近にあるのも一因となり、指よりも手首で操作するフィーリングだ。一方、IntelliMouse Proは、手首より指先でコントロールできる感じなので、手首に負担がかからず、同時に微細なコントロールも楽だ。


 まあ、そういった感触的部分はユーザーにもよるのでとりあえず置いとくとして、このふたつのマウスに共通しているのは、多数のアプリケーションに対応していることと、ユニバーサルスクロールが可能なことだ。

 ホイール付きマウスがまだ出始めたばかりの頃は、ホイールで画面をスクロールさせられるアプリが少なかった(らしい)のだが、MouseMan+やIntelliMouse Proの世代のホイール付きマウスでは、Windowsの標準的なAPIを使ってプログラムされたアプリのほとんどで、ホイールによるスクロール操作が可能だ。また、アプリ側での対応も進んでいることもあって、両マウスを俺の愛機で試してみたところ、秀丸エディタ、Winbiff、IE、Netscape、その他いろんなユーティリティなどほとんどのソフトでしっかりホイールを利用できた。ていうか利用できないソフトが見あたらなかった。

 ユニバーサルスクロールも同様に利用できた。この機能は、前述の通り、マウス操作だけでドキュメントを上下左右に自由に自由にスクロールさせる機能だ。例えば、画面に収まらないような巨大な写真やワークシートなどを手軽に見回す時には、非常に便利な機能である。ちょうど、グラフィックソフトの手のひらアイコンみたいなモンで、非常にアナログ的にデータを閲覧できて快適だ。

 その他、両方のマウスとも、以前のIntelliMouseにあったようなズーム機能(Officeシリーズのドキュメント表示パーセンテージをマウスでコントロールできるもの)や、スクロールバーや次に押すべきボタン上へ矢印カーソルがワープするカーソルジャンプ的機能があったりと、とにかくフツーのマウスには絶対できないような芸当をガンガンやっちゃう感じで、とても力強い。

 ちなみに、MouseMan+は現在発売中で標準価格9,500円(店頭価格は7,000円程度)、IntelliMouse Proはまだ発表されたばかりなので、詳しい情報はココ。同時期に発表された廉価版IntelliMouseことWheelMouseはココ。MSのふたつの新型マウスについては、国内での発売はどうなるか未定とのことである。



■すっげーイイんだけど……

ホイール付きマウスは、ノートパソコンではシリアルポート接続じゃないと使えないのが悲しい
 IntelliMouse ProもMouseMan+も、ホントに非常に確実に使いやすいし、確かに生産性が上がるし、さらには右手首への負担も激減する、すっげーマウスなのだが、俺はすぐに使うのをやめてしまった。

 それは、両方とも、俺のノートパソコンと相性が悪いからなのであった。
 昔はシリアル接続しかできなかったこのテのマウスも、最近はシリアルマウスとしてもPS/2マウスとしても使えるようになった。が、(まあ比較的ありがちな事例だが)俺のノートパソコンだと、PS/2接続だとイマイチうまく動かなくて、シリアル接続だとちゃんと動きやがるのである。しかし、シリアル接続でマウスなんか使うと、タダでさえシリアル貧乏かつ拡張性の低いノートパソコンにつながる周辺機器が激減してしまうのである。なので、俺はこれらの“使える”マウスを、泣く泣く使わなかったのである。

 もちろん、ノートパソコン内蔵のポインティングデバイスを殺してみたり、IRQがどうのレジストリがどうのといろいろいじくってPS/2接続を試みたのだが、結局ダメで、最終的にはWindowsが起動しなくなってド根性で蘇生術を試みたけど復活せずにシステム再インストール&白紙からのセットアップで5時間もかかっちゃったよーんなんてことが2度もあった。なので、もはや俺の中ではホイール付きマウス(PS/2接続)とノートパソコンの組み合わせは地獄の組み合わせということでパスなのである。システム再インストールするくらいならホイールなんかいらねえや、というわけである。

 それにしてもどうしてドライバがスタンダードPS/2マウスだと何ともないのに、ホイール対応のドライバ入れちゃうと矢印カーソルが凄まじい動きをするのだろう。いやもう凄いんですよ、画面中ワープしまくりだわマウスが自発的に左クリックしまくりだわで、もうデスクトップ中メチャクチャでアプリ立ち上がりまくりでてんやわんや。まあ第三者的にはかなり笑える画面状況なんですけどね……(泣)。

 と、泣き続けていたところ、Microsoftの人曰く、ノート型コンピュータのPS/2ポートは通常2バイトでマウスからの情報を読み込む構造で、ホイール付きマウスの場合は(Microsoft製品に限らず)3バイトの情報をポートに送っているため、ノート型コンピュータにつなげると不都合が起きるのだ、と。いわゆるひとつの仕様ってやつなのか。NTSCのデッキでPALのビデオ再生してるようなモンですな。なるほど、確かに俺の期待する操作の約1.5倍は余計なことやったからなぁ……。トホホ。ああ~、とっととUSBが普及してUSBマウス時代になればいいのになー。

 でもまあ、デスクトップマシンで使うなら、これらのマウスは便利で便利でしょうがねえマウスのはずだ。興味のある方は、一度ホイール付きマウスを試されることをお薦めする。ノートパソコンユーザーの方は、PS/2ポートへの接続はあんまりお試しにならないことをお薦めする。

□Microsoft IntelliMouse Pro製品情報(英文)
http://www.microsoft.com/products/hardware/impro/default.htm
□Microsoft WheelMouse製品情報(英文)
http://www.microsoft.com/products/hardware/wmouse/
□Logitech MouseMan+製品情報(英文)
http://www.logitech.com/en/mice+trackballs/frameset/mouseman+_front.html

[Text by スタパ齋藤]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp