【コラム】

Libretto 100

TOSHIBA Libretto 100
使用レポート

Text by Kazuhisa Nishikawa


●ちょっと使ってみたいぞ!! Libretto 100

 実のところ、筆者はLibretto 20~70まで、あまり興味が無かった。何故か!? その理由は「パソコンとしてはあまりにも小さ過ぎる」からだ。ただ、小さいマシン自体は嫌いではなく、HP 100LX/OmniBook 300、olivetti Quaderno 33、IBM PC110/ChipCard VW-200/ThinkPad 220~535までの全機種、SHARP ZAURUSは初代からPI6000まで……と、数多くのマシンを所有しているものの、その多くはデジタルカメラやインターネットが流行る少し前のモデルであり、たとえ持ち歩いてもスケジュール管理と電話帳、加えてせいぜいパソコン通信や少量の原稿を書く程度でしかなかった。しかし、今はインターネットに接続するのは当たり前、デジタルカメラで撮った画像をレタッチして、HTMLファイルや原稿を書き、出先から転送することなどごくごく一般的な作業だ。こうなってくるとあまりにも小さく非力なマシンに対して拒否反応を示しだすのは当たり前のことだろう。個人的にはThinkPad 535Xが限界かな!? と思っていた。

 そこへ、このLibretto 100の登場だ。MMX Pentium 166MHz(Tillamook)、7.1インチ800×480ドットのワイドTFT液晶パネル、HDD 2.1GB、RAM 32MB(最大64MB)、サイズは従来のLibrettoシリーズとほぼ同じ……。SONY VAIO PCG-505同様「これはちょっと使ってみたいな!!」と思った筆者である。経験上、複数のマシンを同時に持ち歩くと、一番速いマシンしか使わなくなるという癖(?)が筆者にはあるので、ここ2週間、カバンの中にはLibretto 100だけを入れてウロウロしてみた。セットアップしたアプリケーションは、普段良く使うものからPhotoshop 4.0を除くすべてである(*1)。

*1 Netscape Communicator, FrontPage98, ThumbsPlus, 秀丸/秀Term, WinZip, OPTPiX/QVDLL など。


●やはり小さい!!

サイズ比較
VHSビデオカセットテープとの比較

800×480のワイドパネル
この800×480ドットの液晶パネルはなかなか魅力的
 Libretto 100の詳細は東芝サイトのハードウェア仕様をご覧頂きたいが、筆者が普段持ち歩いているNotePCはIBM ThinkPad 560X。A4薄型とはいえ、Libretto 100と比較すると2倍以上のサイズとなる。

 そしてサイズとトレードオフになる機能は、
  1. CPUクロック 233MHz → 166MHz
  2. RAM 96MB → 64MB
  3. HDD 4GB → 2.1GB
  4. 800×600 → 800×480
  5. キーボードのピッチ
  6. バッテリー駆動時間

と、改めて書き出すと「こんなものか!?」と思う人も多いだろう。もちろん価格は半分以下でコストパフォーマンスも抜群。更にビデオチップはどちらもMagicGraph128XD/2MBで外部モニタへ出力した場合は1,024×768ドット/HiColorと、全く同じになってしまう。この点は高価なThinkPad 560Xユーザーとしてはちょっと悲しいところだ。余談になるが、そろそろNotePCも外部モニタ出力では1,024×768ドット/FullColor以上にならないものだろうか?? 今時、VRAM 2MBでは寂しい感じがする。

 このマシン独特の800×480ドット・ワイド表示は、慣れてしまえば、640×480と比較して見易く、違和感も感じない。確かに800×600ドットには劣るとはいえ、モバイルには十分の解像度である。


I/Oアダプタはけっこう便利!!

I/Oアダプタ
標準のI/Oアダプタ。左に見えるのは、今回から搭載となったPS/2 Keyboard/Mouseポート

Desktop?
こんな感じは如何かな!?  キーポイントは、右中央に見えるKeyboard/Mouseポート分配コネクタ。液晶パネル・ディスプレイは、アナログ入力式のメルコ FTD-XT14-A
 ボディが小さいので一見、非力なように思えるが、考えてみればビデオとメモリ容量以外は自宅のマシン(*2)とほぼ同等。「試しにDesktopマシンにしてみよう!!」と、I/Oアダプタへ液晶パネル・ディスプレイ、キーボード、マウスを接続、画面モードを1,024×768/HiColorへ変更してみた。

 メモリが32MBしかないので、少しもたつくものの、ネットワークカードを入れることによって、通常業務に何の問題も無く使えてしまった。これなら普通の事務用途において、メインマシンに使える実力であろう。できればメモリを64MBにすればベストだ。少しの間、この環境で使ってみたが、机の下に普通のPCが転がっているのでは!? と思えるほど快適。オフィスや自宅ではI/Oアダプタを使ってメインマシン、外出時にはそのまま外してモバイルと、一台二役もバッチリだ。こうなると本体を縦置きできるI/Oアダプタが欲しいかも!?  しかし「小型 = 弱そう」という先入観は恐ろしいものだ。(笑)

 オプションのポートリプリケータは、I/Oアダプタの機能に加えて、USBポートやType II×4と、それなりに拡張されるが、5万円と少々高価である。

*2 MMX ODP 166MHz(ソケット5)、RAM 96MB、HDD 1.5GB(SCSI)、Power Window 9130C-PCI、PC Card I/O、AHA-2940、SB-16など。そろそろ、パワーアップしなければ。(^^;


●弱点は!?

バッテリーパック部
バッテリーパック部。オプションの大容量バッテリーパックを使わないとちょっと辛い

PC Cardインターフェース
PC Cardインターフェース。PC Card I/Oを持ったPALDIO 321Sだと、もっと操作しずらいと思われる。もちろんType II×2はGood!!
 ここ2週間持ち歩いて感じたことは、“標準のバッテリーパックでは一日動けない”、“PC CardへPIAFSカードを入れ通信しているときはリブポイントが使いにくい”この2点である。

 特に標準バッテリーでは、見ている側からタスクバーにあるバッテリー・インジケーターが減っていくのがわかる。(ミディアムパワーモード時) 先日、某社へ打ち合わせへ行ったとき、たまたまデータをハードディスクへ入れ忘れ、PIAFSで通信していたところ、確か打ち合わせに入る前まではフル充電の状態であったにも関わらず、30分ほどで残りが半分以下になってしまった。オプションの大容量バッテリーパックを使うと2倍の容量になるので、このマシンを買う時は合わせて購入した方が良いだろう。

 もう一点は、PC Watchラジオでも話した「PC CardインターフェースへPIAFSカードを入れインターネットしていると、リブポントは非常に操作しずらくなる」ことだ。技術的に大変かも知れないが、できればPC Cardインターフェース部を左側にした方がいいのではないだろうか!? そうそう、PC Cardスロットに蓋が無いのも×。

 その他、細かいことをいえば、“PrintScreenキーが無いので、画面キャプチャを撮るのに外部キーボードを使った(*3)”、“ACアダプタがカッコ悪い”、“もう少し今風(?)のデザインにして欲しい”、“このさい、FAXモデム/PDC/PIAFSインターフェースを内蔵にすれば”……など、あれこれ思いつくものはあるものの、先の2点以外で欠点らしい欠点は特に無く、動作も安定しており安心して使えるマシンである。

*3読者の方からの連絡で、Fn+Ins(全画面をクリップボードにコピー)/Alt+Fn+Del (アクティブウインドウをコピー)と、代替キーがあることが判明。ここに訂正しお 詫びします。


●総評

 小さいボディーにこれだけのパワーを秘めたLibretto 100は、モバイル・ユーザーにとって魅力的なマシンである。筆者も含めて、Libretto 70など従来機では物足らなかったユーザーも、これなら納得するだろう。ただ、PC Cardインターフェース部の場所や本体デザインなどもう一歩洗練されれば、更に良くなると思われる。この点は次期モデルに期待したい。

[Text by 西川和久]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp