Windows 98 日本語版β3 ファーストインプレッション
第1回(全3回)
―ユーザーインターフェース編―

TEXT:広野忠敏

 出るぞ出るぞといってなかなか出ないWindows 98だが、ユーザー参加型のPreview Programも開始された。ようやくリリースが近くなってきたWindows 98の概要を、今日から3回に分けて連日紹介していく。1回目になる今回は、「ユーザーインターフェイス編」と題して、Windows 98のユーザーインターフェイスについてのインプレッションをまとめてみた。
 なお、今回のレビューは、2月3日にプレス向けに配布された、「Windows 98 日本語版 ベータ3」に基づいていることをお断わりしておく。


なにが変わったWindows 95

 Windows 98はWindows 95のようにインパクトのあるOSでは決してないというのが、インストール直後の最初の印象だ。

 Windows 98デスクトップを見てみると、外観とGUIはWindows 95にInternet Explorer 4.0のシェル統合機能をインストールしたものとほとんど変わりがない。スタートメニューのWindows 98のロゴを確認しなければ、デスクトップだけでWindows 95+Internte Explorer 4.0とWindows 98を識別するのは困難だ。とりわけ、Windows 95→OSR2→Internet Explorer 4.0とMicrosoftの技術を追っかけているユーザーにとっては、ユーザーインターフェイスにしても、機能的な面にしてもなじみ深い物になっているのがWindows 98の特徴だとも言える。実際、「Windows 98はWindows 95+Plus!+OSR2.1+Internet Explorer 4.0+α」なのだからだ。


インターネットと統合した、シェル統合機能

 それでは、ユーザーインターフェイスの側面から、どのような点が変更されたのかを見ていくことにしよう。ユーザーインターフェイス面で、最も大きな特徴はInternet Explorer 4.0のシェル統合機能を標準でサポートしたこと。これにより、Windows 98のExploreとInternet Explorerとをシームレスに利用することができる。また、Internet Explorer 4.0でサポートされているアクティブチャンネル、アクティブデスクトップ、フォルダのHTMLによるカスタマイズ機能、アドレスバーやツールバーを含んだ、新しいタスクバーなどもWindows 98でサポートされる。このあたりの機能は、Internet Explorer 4.0のシェル統合とまったく同じなので、既にInternnet Explorer 4.0のシェル統合を使っているならば、当たり前のことだが、違和感無く移行することができる。


かっこいい(?)アニメーションのメニューやフォント

 ユーザーインターフェイス面では、Internet Explorer 4.0のシェル統合という大きい変更の他にも、色々な細かい変更が加えられている。メニューの変更ではメニューの表示形式が変わった。Windows 95ではメニューが開くときに、そのメニューがドロップダウンしたが、Windows 98ではドロップダウンに加え、アニメーション表示される。メニューをポイントすると、メニューが徐々に拡大するアニメーション表示されるわけだ。表示関係では、「MS UI Gothic」フォントが新たに加わった。MS UI Gothicはその名の通り、UI(ユーザーインターフェイス)のためのフォントで、ひらがなやカタカナと漢字のバランスが調整され、かな漢字混じりや英文と日本語が混じっている文章をよりバランス良く表示できるようになっている。

 また、画面を見てもらえればわかると思うが、マイコンピュータの中の「ダイヤルアップネットワーク」や「タスク」は全角カタカナ。「プリンタ」と「コントロールパネル」は半角カタカナである。カタカナ表記の部分に半角カタカナではなく全角カタカナを採用したのは非常に歓迎すべきことだが、できればこのあたりの表記をすべて全角カタカナに統一してもらいたいものだ。しかし、あらためて半角カタカナと全角カタカナが混在しているウィンドウを見てみると、いかに半角カタカナが美しくない存在なのかがわかる。まさか、このままリリースするなんてことはないでしょうね。>Microsoft様

 ところで、重いシェルや動きのあるユーザーインターフェイスには賛否両論ある。たしかに、アニメーション表示はハデでいいかもしれないし、機能が豊富なシェルは便利かもしれない。しかし、ハイパフォーマンスなマシンじゃなければ、遅くて使いものにならない。これは昨今のアプリケーションにも言えることで、機能ばかりを求めてしまい、結果的には鈍重なアプリケーションになってしまうことだ。世の中の大多数のユーザーにとって、アプリケーションやOSのためにパソコンを購入し直すというのはなかなか難しい。少々チープなマシンでも快適な動作をするような逃げ道も残しておいてもらいたいものだ。



マルチディスプレイとディスプレイ関連

 ディスプレイ関連の変更で最も大きなものが、マルチディスプレイへの対応。最大3×3の9台のディスプレイを接続して、あたかも巨大な一つのディスプレイとして使うことができる機能だ。なお、この機能を使うためには、接続するディスプレイの数だけのビデオカードが必要になる。今回は時間の都合とデバイスの都合でマルチディスプレイを試してみることができなかったが、試してみたい機能の一つだ。

 ディスプレイ関連ではこのほかに、OSR2でサポートされていた解像度と色数の変更や、Plus!でサポートされていたデスクトップのアイコンを変更する機能やウィンドウのフルドラッグなどもWindows 98でサポートされる。


シェルに統合されたシステムエージェント

 Plus!では定期的にアプリケーションを起動するためのスケジューリングツール「システムエージェント」があったが、この機能はWindows 98では「タスクスケジューラ」としてOSの機能の一部として統合された。タスクスケジューラはマイコンピュータからアクセスすることができ、ここに登録したアプリケーションを定期的に実行できる。

 なお、デフォルトインストールの状態では、スキャンディスクやデフラグに加え、ディスククリーンアップユーティリティーなどがスケジューリングされている。ちなみに、ディスククリーンアップはWindows 98で新設されたツールで、テンポラリファイルなど不要なファイルの削除を行なうツールだ。さらに、デフラグなどのシステムツールの機能も拡張されていて、Program Fileフォルダをアクセスしやすい場所に再配置するなどの機能も追加されている。


新しいIME「MS-IME98」の搭載

 「変換精度が大幅に向上した」というMS-IME98を、Windows 98では新たに搭載している。しかし実際使ってみた感じでは、MS-IME97とそれほど違いは感じられなかった。


これは使える、Windowsスクリプティング

 個人的にWindows 98の中で最も気に入った機能の一つが、「Windowスクリプティング」機能。簡単に表現すれば、MS-DOSのバッチやUNIXのシェルスクリプトと同じようなメカニズムをWindowsに組み込んだものだ。ただし、Windowsスクリプティングはバッチとは比較にならないくらい高機能なのが特徴。スクリプトとして利用できる言語は、Visual BASICスクリプトとJスクリプト(Javaスクリプト)の2つ。

 スクリプトでアプリケーションを起動したり、起動しているアプリケーションをコントロールすることもできるし、レジストリへのアクセスなど低レベルなインターフェイスも持っている。なお、WindowsスクリプティングはWindowsスクリプティングホスト(WSH)と呼ばれるホストが、それぞれのスクリプトエンジンを介して実行するようなメカニズムになっていて、スクリプトエンジンを作ればVisual BASICスクリプトやJスクリプト以外のスクリプトを利用することも可能だ。

 ちなみに、このWindowsスクリプティングの機能と、前述したタスクスケジューラの機能を組み合わせれば、テレホーダイの開始時間にダイヤルアップネットワークを利用してインターネットに接続し、終了時間に自動的に切断するといったことも実現することができる。


Windows 98はスルメイカ!?

 ユーザーインターフェイス面での大きな変更は以上の通りだ。そのほかにもWindows 98からの細かい変更はあるが、それらの変更点については、マイクロソフトのホームページのWindows 98新機能一覧も合わせて参照して欲しい。

 冒頭でも「Windows 98はWindows 95のようにインパクトのあるOSでは決してない」と書いたが、まったくその通りWindows 95ほどのインパクトはない。しかし、実際に長時間使ってみると意外と改良点が目だってくるのだ。Windows 98は決してメジャーバージョンアップとはいえないが、Windows 95で不具合だった所や、改良して欲しかった所などが結構随所にちりばめられている。まさに噛めば噛むほど味がでる「スルメイカ」のようなOSなのかもしれない。でも、表面的な部分はそれほどWindows 95との違いはないので、しっかり噛んで味わうことにしよう。

 第2回にあたる明日は、ハードウェアの側面やテクノロジ、新しいツールなどについてインプレッションしてみることにしよう。

 ハードウェア面ではWDM、USB、IEEE1394、ACPI、AGPとPC98で想定される新しいハードウェアがWindows 98のターゲットとなっている。テクノロジではPPTPやDCOMのサポート、ツールでは、FAT32の対応とFATからFAT32にコンバートするツールの搭載、デフラグなどのシステムツールの改良と新しいシステムツールの搭載などユーザーインターフェイス面以上に魅力的な機能が多いのだ。

[Reported by 広野忠敏]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp