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ついに出た!!

スマートメディアFDアダプタ「FlashPath」使用レポート



 いよいよ待望の「FlashPath」が発売された。これは通常の3.5インチFDDを使って、スマートメディアの読み書きを行なう、一種の変換アダプターといえる。つまり、この「FlashPath」を使えば、PCカードドライブを装備していないPCでも、フロッピー感覚でスマートメディアを扱えるわけだ。
 実際にスマートメディアが数多く採用されているデジタルカメラの世界では、デスクトップ機ユーザーの場合、低速なシリアル転送をするか、高価なカードドライブとPCカード変換アダプターを購入するしか方法がなかった。そのため、より気軽にデータ転送ができる「FlashPath」の登場が大いに期待されていたわけだ。
 だが、「FlashPath」は発表当初、5月発売といわれながらもその発売が大幅に遅れ、この15日に半年以上遅れてようやく発売された。もちろん、この半年の間にスマートメディアを採用する機種が続々登場したり、3.3Vと5Vカードの共存や、16MB以上のカードとの互換性問題が浮上。さらに、PCカードドライブも大幅に価格が低下し、実販1万円を切るパラレルポート接続のドライブが登場するなど、状況は大きく変わっている。



●まさに“フロッピー感覚”の使用感

FDとFlashPath スマートメディア挿入
 今回は「FlashPath」の第一弾として発売された「富士フイルム フロッピーアダプターFD-A1」(12,000円)を実際に使ってみた。

 まず外観は、3.5インチFDDで読み込むため、サイズ・形状ともに3.5インチフロッピーと同じだ。もちろん、回転部分はないが、パソコンに装着したことを検知するために、フロッピーのディスクカバーにあたる部分に簡単なスイッチが設けられている。

 また、「FlashPath」はフロッピーのような単なる磁気媒体ではなく、スマートメディアに記録されたデータを磁気ヘッドで一度磁気データに変換し、パソコンのFDDの磁気ヘッドで読みとれるように変換するもの。そのため、電源が必要で、本体にはCR2035という超薄型のボタン型電池を2つ搭載されている。

 セッティングはいたって簡単。付属のドライバーソフトをPCにインストールし、再起動するだけでOK。あとは、「FlashPath」にスマートメディアを差し込んで、FDDドライブに入れれば、普通のフロッピーディスクとまったく同じ感覚で、スマートメディアのデータを扱うことができる。

 なお、今回の「FD-A1」がサポートしているのは、5Vと3.3Vの8MBまでのスマートメディアで、取扱説明書などには今後登場する内部構造が異なる16MB以上のカードに対する記述はない。



●便利だが、フロッピー並みの遅いデータ転送

FDDに挿入
スマートメディア挿入
 実際に使ってみると、まさに“フロッピー感覚”。あまりに自然で、FlashPathを使っていることを忘れてしまいそうなほどだ。さらに、8MBのスマートメディアを使えば、“8MBの大容量フロッピー”として使えるため、デスクトップ機同士で1.44MBフロッピーに収まらないデータを交換するのに、意外に便利なツールといえる。これは意外な発見だった。

 また、当然のことながら、ドライバソフトをインストールするだけで使えるため、PCの裏側に回ってケーブルを接続したり、ケースの蓋を開けて取り付ける各種カードドライブと違い、誰にでも簡単に扱える点は大きなメリットといえるだろう。

 しかし、便利で手軽な半面、データの読み書き速度にはやや不満を感じる部分もある。感覚的にはフロッピーディスクへの読み書きとほぼ同じ速度。とくに筆者は普段SCSIタイプのPCカードドライブを愛用していることもあって、かなり遅く感じた。とはいっても、トータルで数MBクラスのファイルを扱うなら、実用上は十分な速度といえるし、デジタルカメラのシリアル転送に比べれば、遥かに高速であることは確実だ。

 では実際にどれくらいの速度なのか、具体例を挙げて紹介しておこう。この「FD-A1」は富士フイルムの測定値では、読み出し速度200〜250kbps、書き込み速度70〜100kbpsとなっている。単純に通常のシリアル転送と比較すると、数値的にはシリアルポート側の上限である115.2kbpsに対して、FD-A1は読み出しで約2倍、書き込みでは約2/3となるわけだ。しかし、実測では様々な要因があって、かなりFlashPathのほうが有利になる。

 実際に同じ画像データ(富士フイルム DS-30のFineモードで撮影した約85KB/枚のデータ10枚)を使って、他の媒体やドライブと読み書きに要する時間を比較してみた。結果は下表の通り。

書き込み時間読み出し時間
FDD約35秒約25秒
FlashPath約60秒約33秒
DS-30シリアル接続約200秒約90秒
パラレルポート接続カードドライブ
(フラッシュメイト2000+PCカード変換アダプター)
約12秒
SCSI接続カードドライブ
(「KERNEL PCD500」カーネル+PCカード変換アダプター)
約7秒

 数値的に見ると、フロッピーディスクよりもやや遅いものの、シリアル転送に比べれ約3倍くらい高速なわけだ。この結果から見ると、現在デジタルカメラからのデータの読み書きをシリアル転送でおこなっている人にとって、かなり転送時間が短縮できることが容易に理解できる。逆に、すでにPCカード用のカードドライブを持っている人にとっては、速度面でメリットのない製品といえる(もっとも、このようなユーザーがわざわざ別途購入するとは考えにくいが……)。


●接続キットやカードドライブとどっちがお得?

FlathPath表
FlashPath裏面
 つぎにコスト面からFlashPathのメリットを見てみよう。というのは、FlashPathが最初に姿を現した昨年のCOMDEX/Fallの時点では、非公式に「価格は50ドル前後では……」という話があった。しかし、実際に発売された「FD-A1」は標準小売価格で12,000円、実販では1万円弱といった感じだ(原価も結構高いという)。

 一方、デジタルカメラ用の接続キットは価格はまちまちだが、さまざまな付属ソフトやケーブルが付いているものでも、FlashPathとほぼ同等。さらに、接続ケーブルだけ購入して、そのメーカーのホームページからTWAINドライバをダウンロードしてくれば、かなり安価にシリアル転送の環境がそろう。このことを考えると、やはりFlashPathのほうが結構高くつくわけだ。

 しかし、シリアル転送に比べ、3倍くらい高速なうえ、大容量フロッピーとしても利用できることを考えると、さほど高い買い物とはいえないだろう。

 次に、最近安価になってきたパラレルポート接続のPCカードアダプターやISAバス用スマートメディア用ボードに比べるとどうだろう。パラレルポート用ドライブの場合、スマートメディアを直接アダプターなしで読めるドライブはないので、結局は別途PCカード変換用アダプターを購入することになる。この場合には、当然のことながらFlashPathのほうが安価になる。

 もちろん、PCカードやCFカードも利用したいという場合には、スマートメディア専用のFlashPathがあっても、結局はドライブを購入することになるので、このケースではどちらが得とは言い難いだろう。

 また、ISAバス用ではスマートメディア専用カードが5,000円前後から発売されているので取り付ける手間や操作性を考えなければ、こちらの方がFlashPathよりも高速で安価になるわけだ。

 このように考えると、自分が利用する環境や使い方によって、FlashPathのお買い得度は結構違ってくるが、スマートメディアを利用する人には、とても便利なツールとなることだけは確実だ。

 最後になるが、この「FD-A1」の場合、パッケージや取扱説明書を見ても、利用できるカードは最大で8MBカードまでという記述になっている。もちろん、まだ16MBカードは発表されただけで、出荷時期は来年の第二四半期になるために、あえて記述していないのかもしれないが、そう遠くない時期に出荷される期待の大容量カードだけに、その対応が気になるところだ。もっとも、現状では16MB以降のスマートメディアを正式にサポート表明しているデジタルカメラは存在しないので、いずれにしろ、今後の話といえばそれまでだが、規格面でユーザーを困惑させがちなスマートメディアだけに、このあたりの対応については、しっかりと明記して欲しい。

 そして、より多くのユーザーが気軽に購入できるよう、16MB以上の大容量スマートメディア完全対応で、より安価に購入できる次期「FlashPath」の早期登場を期待したい!



□「FD-A1」の製品情報
http://www.fujifilm.co.jp/news_r/nrj300.html
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('97/12/18)

[Reported by 山田 久美夫 ]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp