COM JAPAN 1997で見つけた注目の通信関連機器11月4~7日、東京ビッグサイトで開催されている「COM JAPAN 1997」で会場で見つけた注目製品をいくつか紹介しよう。このCOM JAPAN 1997という展示会は、「データショウ」「コミュニケーションTOKYO」「JPSA CONVENTION」という3つのイベントが統合化されたものだけに、情報通信分野の企業の出展が非常に多い。個人的にもかなり期待していたのだが、パソコン関連の通信機器は思ったほど多くなかった。ただ、最新の通信機器を実際に触ることができ、これからの通信機器のトレンドを見ることもできるので、興味のある方はぜひとも会場に足を運んでもらいたい。
次々登場するPHS内蔵PDA今回のCOM JAPAN 1997ではPHS関連の製品が数多く出品されている。PHSはユーザーにとって手軽なだけでなく、製品を作るメーカーにとってもさまざまなものと組み合わせることができる「手軽な通信デバイス」として注目されているようだ。
まず、最初に紹介したいのがPHS内蔵PDAだ。PHS内蔵PDAと言えば、東芝のGENIOや松下電器産業のピノキオなどが知られているが、今回はこれに続く製品が数多く出展されている。なかでも目を引いたのが三菱電機の『ワイヤレス携帯情報端末』だ。デザインはザウルスやピノキオの流れを踏襲するものだが、480×320ドット/16階調のモノクロ液晶を搭載しているのがポイントだ。 実は個人的にGENIOを携帯しているのだが、WWWのブラウズに関しては液晶ディスプレイの解像度が低いため、全体を把握しにくいと感じていた。これに対し、三菱電機のワイヤレス携帯情報端末は解像度が高く、16階調表示ができるため、WWWのブラウズも実用になる。問題は通信時のバッテリー駆動時間になるだろうが、来春には実売5~6万円程度で販売したいとのことなので期待したい。ただ、それにしても愛称が早く欲しいところ(笑)。
一方、PHSとPDAの機能を持ちながら、異なるコンセプトで設計されているのが東芝の『MC-01』だ。 東芝は同様の構成のGENIOも販売しているが、GENIOや三菱電機のワイヤレス携帯情報端末がPDAを主体にしているのに対し、MC-01はPHSにPDAの機能を内包した構成になっている。NIFTY-ServeやBIGLOBEの電子メールが読めることをセールスポイントとしているが、PHS部分も強化されており、1人あたり3件の電話番号を300人まで登録できるようにしている。PHSとしては液晶ディスプレイが大きいのはうれしいところだが、サイズ的にはちょっと好みの分かれるところかもしれない。と言いながらも、電子メールが使えるPHSとしては、最小・最軽量だったりするのだが……。 この他にも、PDA機能を包含したPHS端末はいくつか出ていたのだが、全体的にDDIポケット電話向けの端末が多かった。新製品が出て間もないためか、NTTパーソナル向けやアステル向けはあまり新作を見かけなかった。こちらの方もぜひ頑張って欲しいところだ。
PHSが絡むことで面白くなってきたのはPDAだけではない。ISDNターミナルアダプタもPHSを取り込むことにより、新しいトレンドを生み出そうとしている。 まず、本命と言われているのは、国内最大のシェアを持つNECのAtermシリーズの最新モデル『AtermIW60』だ。液晶ディスプレイを装備したAtermIT65シリーズをベースにしながら、PHSを最大6台まで子機として登録することができ、AtermIW60を2台用意すれば、無線通信で親機・子機の関係ができるというスグレモノ。今回の展示会で初お目見えとなった(実は、先週末に秋葉原で行なわれたAtermファミリーフェアでデモをしたんだけど)。 価格は5万9800円(実売は5万円前後?)と高めだが、無線でバス接続ができるというのは喜ぶユーザーも多いだろう。壁や床などに遮られて、複数のTAを使いにくい環境でもこうした機能があれば、ある程度は自由にISDN機器をレイアウトできるわけだ。 AtermIW60はまだ実機を触ってないけど、個人的にも非常に興味を持っている製品のひとつ。特に、PHSの子機登録については、どの範囲までを対象とするのかが気になるところだ。動作チェックが出来次第、ホームページで情報を公開していくそうなので期待しよう。
次に、今回のCOM JAPAN 1997ではじめて見つけたのがビクターのデジタルコードレス電話機(親機)の『TN-CS1』だ。 こちらはパソコンと接続できるわけではないが、PHSを最大8台まで登録できるISDNターミナルアダプタで、アナログポートも備えている。もちろん、子機にダイヤルイン番号を割り当てたり、登録した子機間での内線通話、疑似コールウェイティング、着信外線転送などの機能も搭載されている。登録できる子機は同社製のTN-PZ5/PZ3/PZ1/PZ110/PZ210が推奨となっており、NTTパーソナル向けやアステル向けの端末は登録できない。 子機からのデータ通信の発信には対応していないが、無線を3チャンネル搭載することにより、子機間内線通話中にも外線の着信が受けられるようにしたり、登録子機を3つのグループに分けて呼び出せるようにするなど、細かい工夫も施されている。残念なのは価格が15万円(標準価格)と高いことだが、データ通信対応の親機が登場する可能性もあるそうなので、今後、同社の新製品情報は要チェックと言えるだろう。
PHSのさらなる応用PHSは小型軽量であるだけでなく、データ通信のインターフェイスが標準化されているため、いろいろな応用例が考えられる。COM JAPAN 1997ではその一端も垣間見ることができた。
たとえば、京セラが発売したばかりのDS-320をベースに、CCDカメラを取り付けた『Visual Phone』という製品を出展していた。会場ではコンパニオンとVisual Phoneを使って、無線テレビ電話ができるコーナーが用意されていた。その昔、ウルトラセブンのディスプレイ付き腕時計をカッコ良く感じたものだが、こうした製品が出てくると、そう遠くない時期に実現できそうな気もしてきた(笑)。 一方、写真右は東芝の『TPA1002』という製品だ。こちらは業務用の端末に組み込むためのPHSモジュールで、会場ではレストランの注文受付用端末に組み込まれたものが展示されていた。しかし、聞くところによれば、こうしたモジュールはいろいろな分野に応用できるので、家庭内にも入ってくる可能性があるそうだ。となると、ビデオデッキに組み込んで、外出先から番組の予約をしたり、エアコンのスイッチを入れるといった使い方もできるようになるわけだ。結構、楽しいかもしれない(笑)。 この他にも、PHSに関連する製品は非常に多く出展されており、今後はいろいろな分野に入り込んでいくことになりそうだ。この調子で、もっと面白い端末や使い道を提案してもらいたい。
携帯電話も活用の時代へさて、携帯電話はどうだろうか。個人的な感覚から言わせてもらえれば、携帯電話は「軽さ」を強調するばかりで、今ひとつ応用がないというか、芸がない。しかし、ここに来てキャリアやメーカーも新しい方向を模索し始めている。たとえば、NTTドコモは携帯電話とザウルスやLIbrettoを組み合わせたパッケージを販売したり、J-PHONEもSkyWalkerのようなサービスも提供し始めている。
COM JAPAN 1997でもこれらの商品が展示されていたが、その他にも新しい活用例を見ることができた。たとえば、NTTドコモは携帯電話と組み合わせて利用する小型のPDA『Pocket Board』を展示している。価格的にもかなり安くなりそうだが、「ビジネスマンが青いスケルトンボディの端末を持ち歩くのか?」という疑問は残った。 逆に、落ち着いたデザインを採用していたのが松下電器産業が参考出品していた『ピーターパン』だ。こちらも携帯電話と組み合わせるPDAのようだが、ちょっと名前がねぇ……(笑)。女性はいいかもしれないけど、バリバリの営業マンにはあまり似つかわしくないかもしれない。
「外出先でもメール読んでるんですね」 うーん、なんか違和感ありません? とは言え、携帯電話にもこうした製品が出てくるのはうれしいことだ。 携帯電話と言えば、松下電器産業のブースでは近日発売予定のNTTドコモ向けの『デジタル・ムーバP205HYPER』が展示されていた。携帯電話としては最軽量となる79グラムを達成したんだとか。こうなると、いよいよPHSとの差がなくなってきたような気もするけど、もう軽いだけの端末はあまり欲しくないのよねぇ
ISDNターミナルアダプタの新製品も相変わらず活況のISDNターミナルアダプタ市場だが、COM JAPAN 1997では来年や年末商戦に向けた新製品が登場するのではないかと期待していた。しかし、予想に反して、はじめて見かけたのはナカヨ通信機の製品のみだった。
ナカヨ通信機のことをご存じない方のために説明しておくと、同社はISDN機器を古くから手掛けてきた老舗メーカーで、NTTなどに製品をOEM供給している。 今回出品していた『DATAGATE 128TA』はISDN機器をよくご存じの方が見ればわかるように、NTTが『INSメイトV-6DSU』として販売しているものだ。このISDNターミナルアダプタは非同期/同期PPP変換による64/128kbps同期通信モードのみに対応したもので、非同期通信には対応していない。インターネット接続がメインの環境に合わせ、割り切った構成となっているわけだ。アナログポートも2つ備えており、内線通話や転送などにも対応している。 一方の『DATAGATE C128』は同社が販売していたDATAGATE C64を128kbps対応にしたもので、基本的な構成は変わらない。同社のブースではこの他にもPIAFSカードなども出品されていた。他社に較べると、やや地味な印象は否めないが、OEM供給の実績から見ても目が離せない存在だ。
[Text by 法林岳之] |