フィル・シラー氏は、「日本でMac OS 8が発売される記念すべき日にここでお話できて嬉しい」と挨拶したあと、まず、ジョブズ氏の暫定CEO就任の報告、新役員の紹介を行なった。ジョブズ氏はもちろんのこと、新しい役員は全員コンピュータ業界での実績があることを強調し、刷新された経営陣による、『Apple新時代の幕開け』をアピールした。
今後のマーケティング戦略としては、既にシェアを握っており、熱心な支持者が多い教育分野や、CD-ROM/インターネット/紙媒体などのコンテンツ制作の分野に注力していくと述べた。
米Microsoftとの提携については、「クロスライセンス契約はお互いにパテントを与えるという契約であり、Macは今後もあくまでMacであり続ける」として、「Macの独自性が失われるのではないか」という一部のユーザーの懸念を否定。Microsoftからの1億5千万ドルの株買収についても、「Apple側から協力関係を結ぶにあたって、資本参加を求めたもの。議決権のない株であり、何年かは売却しないという条件も付いている」として、Appleの経営方針などに関するMicrosoftの影響力についても否定した。このほか、Microsoftとの間では、Internet Explorerを標準ブラウザとしてMacにバンドルすること、Mac用のMicrosoft Office製品の開発や、Javaバーチャルマシンの開発でMicrosoftと協力していくことで合意している、と述べた。
シラー氏は、以上のように最近のAppleの状況について概説したあと、日本では26日発売されたMac OS 8について「ファインダを一から書き直した。販売は好調で、北米では発売から2週間で120万本売れた」として、Mac OS 8をアピール、Mac OS 8で付加された新機能のデモを披露した。今後のMac OS 8のロードマップとしてはコードネーム「Allegro」が'98年、「Sonata」を'99年にリリースする予定であると述べるとともに、「RhapsodyはMac OSにとって代わるものではなく、Mac OSのアップグレードはずっと行なっていく」ことを強調した。
インラインキャッシュを採用した新しいPowerMacintoshや、Appleが近くリリースするとしているQuickTime 3.0をデモをまじえて簡単に紹介したあと、Rhapsodyのデモが行なわれた。半年ほど前は、NeXTそのものという感じだったRhapsodyだが、かなりMacintoshらしい感じになってきている(写真)。
シラー氏は、Rhapsodyについて「今週Rhapsodyをデベロッパリリースする」と発表、開発中のRhapsodyのデモを行なった。デモでは、まずRhapsodyの上でスティッキーズが動いていることを見せ、日本語FEPや日本語表示にもすでに対応しているとして、日本語を入力/表示してみせた。
さらに、BlueBoxの上でMac OS 8を動かすデモを披露。ワンクリックでRhapsodyとMac OS 8の切り替えができる点をアピールしていた。YellowBox上でのWindowsのデモはこれまでにもJDC(Japan Developers Conference)などで行なっているが、BlueBox上でMac OSを動かすデモは『本邦初公開』だという。これまでYellowBoxの話ばかりが先行していた感があったが、BlueBoxの開発も順調に進んでいることをアピールした。
□米Apple社のホームページ
http://www.apple.com/
('97/9/26)
[Reported by hiroe@impress.co.jp]