【イベント】

【World PC Expo 97レポート】

プロカメラマン山田久美夫の

World PC Expo 97 デジタルフォトレポート

'97/9/24~27 千葉幕張メッセにて開催


World PC Expo 97  大物はないのでは……と思われていた、今回のWorld PC Expoだが、ことデジタルカメラ系に関しては、結構楽しめる製品がいくつか登場している。とくに、エレクトロニクスショーに先駆けて、先手を打つ意味もあるのだろうか、ギリギリ間に合わせたという感じの参考出品も多かった。



●「ついに登場した“MD Cybershot”」


サイバーショット サイバーショット

 昨年のビジネスショーで一度だけ参考出品されたことがある、SONYのMDカメラ。その後、シャープから先行してMDカメラが発売されたが、今回は本家SONYから、あの“サイバーショットシリーズ”として新型のMDカメラが出品された。

 とはいっても正式な製品発表ではなく、あくまでも参考出品。そのため、詳細なスペックも公開されていない。数少ない情報としては、CCDがサイバーショットと同じ33万画素タイプ。レンズはオートフォーカス式の3倍ズーム。さらに、MDデータ1枚に2000枚の画像データが記録できるという。

 そのほか、音声の録音再生機能があり、マイクもスピーカーも内蔵しており、録再可能なMDウォークマンのようにも使える。電池は、デジタルビデオのPC-7と同じタイプのインフォリチウムバッテリーを採用している(“スタミナ"というほどではないというが……)。


サイバーショット サイバーショット
 サイズ的にはシャープのMDカメラよりも一回り以上コンパクトだが、サイバーショットDSC-F2に比べるとかなり大きい感じがする。ネーミング的には“Cybershot”にはなっているが、ちょっと無骨な感じもする。しかし、結構実用的なスペックを備えたモデルであり、AFの3倍ズームという点や録音機能もあることから、個人的には取材用モデルとして、ちょっと期待している。

 発売時期は未定(年内?)であり、価格も未定だが、新分野へのチャレンジとして、発売が大いに期待されるところだ。こうなると、先行しているシャープの次期モデルあたりも、結構気になるのだが……。

TTX-1212  また、同ブースでは、ピクチャーMDレコーダーの業務用タイプ「TTX-1212」も参考出品されていた。こちらは既発売のMDレコーダーの改良型で、操作性が大幅に向上している。基本的には医療用途がメインターゲットであり、価格も“業務用”レベルということだが、できれば民生用として手頃な価格帯で製品化してほしいところだ。




●「初めて一般公開されたコニカのメガピクセルモデル!」


コニカブース Q-M100
Q-M100正面 Q-M100裏面
 8月末の技術展に出品され、話題となった同社初のパーソナル向けメガピクセルモデル「Q-M100」が一般向けに初めて姿を現した。今回は参考出品ということだが、発売は97年末とアナウンスされている(価格未定)。

 詳細なスペックはまだ公開されていないが、会場で配布されているパンフレットによると、CCDは1/3インチ中黒109万画素。画像サイズは1,152×872ピクセル。レンズは、オートフォーカス式の単焦点タイプ(6mmF2.8。35mmカメラ換算で39mm相当)。ファインダーは光学式と1.8インチ液晶モニターで、電源は単3アルカリ電池4本となっている。詳細はhttp://www.konica.co.jp/q-m100/を参照されたい。

 サイズは、ほぼ「コダック DC210」と同じくらい。手にした感じは結構カメラっぽい感じだ。また、カメラ系メーカーだけに、光学式ファインダーが実に明るくて見やすい点と、液晶モニターのレスポンスの遅さが印象的だった。もちろん、年末発売ということで、まだ時間があるため、さらに改良が加えられるという。

 気になる価格は、10万円以下ということだけだが、スペック的に見ると、「DC210」と同等か、それを下回るものになることが予想される。




●「超人気のC-1400L」


オリンパスブース オリンパスブース
 オリンパスは、本イベントで事実上初めて、話題の高画素モデル「C-1400L」を一般公開。前評判が高いだけに、とにかく実機を手にしようという人でブースはかなり混雑していた。ステージの作りもかなり派手な、力が入ったもので、同社の本機に対する意気込みがひしひしと感じられる。

 ブースでは「C-1400L」での実写と、そのプリントアウトが体験できるようになっており、多くの人がその感触を確かめていた。もっとも、一眼レフは初体験という人も多いようで、やや操作に手惑っている人もいたようだ。




●韓国のSAMSUNGも35万画素モデルを参考出品


 海外のイベントではデジタルカメラを以前から出品していた、韓国のSAMSUNG。今回は、参考出品のみということで35万画素モデル「SDC-30/33」を展示していた。独特なデザインの光学ファインダー専用機で、メモリーも内蔵のみというシンプルなもの。日本国内での発売はしないというが、韓国メーカーでもデジタルカメラの生産が十分に可能であることを示すという意図がかなりあるようだ。

SAMSUNG正面 SAMSUNG裏面 SAMSUNG上から




●VGAの液晶・ストロボ付きで実販2万円台かも?!
「LG Electronics・LDC-F20」



 今回は、先のSAMSUNGの他にもデジタルカメラを参考出品している韓国や台湾メーカーがあった。

 まず、韓国のLG Electronicsは「LDC-F20」というファッショナブルなVGAモデルを出品。

 価格は「実販で『カシオ QV-11』と同等くらいではないか」という、かなり低価格なVGAモデル。発売は年内を予定しているので、もしかすると、実販では2万円台前半になる可能性もありそうだ。

 しかもCCDは1/4インチ36万画素プロブレッシブCCDを採用。メモリーこそ内蔵(2MB)のみだが、ポップアップ式のストロボも内蔵しており、液晶モニターの上方に立てることでレンズを回転させずに自分撮りができるという、なかなかの意欲作。

 また、デザインがどことなく、カシオQVに似通っているのが気になるが、カラーリングもシルバーの他レッドとブルーを用意するなど、けっこうお洒落だ。会場での実写例を見た限りでは、画質はなかなか厳しいものがありそうだが、なによりもこの価格は大きな魅力だ。




DSC-200 DSC-200
 また、台湾のMustek(マステック)ブースでは、「DSC-200」という41万画素CCDの液晶付きモデルが参考出品されていた。こちらは光学式と液晶ファインダーを備えたモデルで、メモリーもコンパクトフラッシュ(CF)カードと内蔵(2MB)を採用したより本格的なもの。画像サイズは標準で320×240ピクセル、補間処理した場合に640×480ピクセルのVGA画像が得られるという。ただし、本機の場合には秒30フレームの動画データをシリアル経由で転送することができるため、ビデオ会議システムなどにも利用できるのがウリという。価格は、「日本製モデルよりも、もちろん低価格になる」という(雰囲気は3万円台といったところか?)。現在は日本国内での代理店を探しているということだった。

 これらのようなモデルが登場してくると、低価格なVGAクラスは韓国や台湾系のメーカーがかなりな勢いで台頭してくる可能性もある。こうなると、日本メーカーは自社の得意とする分野やクォリティーの高さを生かしたモデルへの移行を迫られるのは必至といえそうだ。




●その他


富士フイルムブース 富士フイルムブース
 富士フイルムは今回、デジタルカメラの新製品や参考出品モデルはなく、DS-20やDS-300とスマートメディア対応のTA型プリンター「TX-7」を組み合わせたデモを展開。また、話題のスケルトンもブースにシッカリと展示されていた。同社の場合、パーソナル系プリントからラボでのプリントサービスまでを、幅広く網羅した展開を図っていたのが印象的だった。




DC-210 ポストカードペーパー

 コダックは話題のメガピクセルモデル「DC-210」を前面にアピール。同機で撮影されたプリントも数多く展示されており、なかなかの賑わいを見せていた。また、先日発表された、インクジェット用のポストカードサイズペーパーも展示されていた。




DC-3 DC-3
 リコーは今回、春のイベントで参考出品した「DC-3」のカラーモデルを展示。もっとも、限定生産のため、すでに入手が困難という話も……。また、フロントコンバーターメーカーのレイノックスブースでは「DC-3」用のアダプターも展示されていた。



QV-700  カシオはなんといってもカシオペア!という感じのブース展開だが、きちんと新製品である「QV-700」の展示・デモも行われていた。とくに、先だって発表された昇華型プリンター「DP-300」や、300dpiと高解像度の「DP-8000」と組み合わせて、自宅で簡単にプリントアウトできるシステムとしてアピールしていたのが印象的だった。




アレグレット  東芝は、アレグレットを使ったヒビジネスユーザー向けのワークショップを開催。PCへの入力に特化した、PCフレンドリーなモデルらしい展開を図っていた。




PictureScope  最後に、デジタルカメラではないが、個人的に興味を持ったソフトウエアを紹介しておこう。これはミノルタブースでデモが行われていた「PictureScope」というWindows 95用の画像データベースソフト。このソフトは画像を登録すると、自動的にその画像にあった検索キーワードをつけて、あいまいなイメージでの画像検索を可能にしたもの。たとえば、「レトロっぽい」とか「赤い」といった言葉での検索もできるし、画像ファイルを指定して、その画像に近いイメージのものを自動的に検索させるといったこともできる点が凄い。

 残念ながら、このソフト自体は参考出品ということで、市販されるかどうかは全く未定。むしろ、この検索エンジン自体のアピールのためのものという意図があるという。しかい、今後、デジタルカメラなどの普及で画像データが飛躍的に多くなることを考えると、自動的にキーワードをソフト側で登録するという、このようなイメージ検索ソフトは必須のものとなる可能性が高い。個人的には(購入できる範囲の価格帯ならば)、いますぐにでも使いたい!と思う、とっても魅力的な画像データベースだった。



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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/digicame/dindex.htm

('97/9/25)

[Reported by 山田 久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp