【リレー連載 物欲道修行記】


リレー連載 物欲道修行記

第53講 こもの派 師範:広野忠敏

 第53講では、広野師範念願のGENIOを取り上げていただきました。期待して購入した製品の初期不良という試練にも負けず、現在でもGENIOを使っておられます。直接お聞きしたところでは、ソフトウェアの作り込みがいまひとつということでしたが、やはりPHS内蔵のメリットは大きいようです。本文でも触れておられますが、一般に家族や女性にインターネットのデモ見せようと思っても、PCカードやPHS端末をぞろぞろ出してつないでいるうちに、相手が興味を失ってしまうという話はよく耳にします。
 ノート機ではしっかりした製品づくりで定評がある東芝製なので、GENIOにも今後のさらなる進歩を期待したいところです。
(広野師範の携帯端末コレクションを一度拝んでみたい編集担当)


GENIOをゲットしました

 とゆーわけで、前回はタッチの差(ブツヨクの原稿締めきりが15日で、GENIOの発売日が16日なんだもん)でGENIOをブツヨクで取り上げることができなかった。が、発売日当日(もう一月も前だけど)眠い目をこすりながら朝早くからアキバに行き、念願のGENIOをゲットしたのでレポートしよう。


とりあえず、GENIOについてのウンチクなど

 GENIOを知らない人のために、まずコレって一体何物なのかを簡単に紹介しよう。

 東芝から発売されたGENIOは、PHS付きのPIMツールである。おしまい。ではお話にならないのでもうちょっと詳しく書いてみる。

 とまー、主だったところではこんな感じだ。もちろんPIMとしての機能も重要だが、なにより、GENIOの最大の特徴は搭載されたPHSを使っての通信機能にあるだろう。なお、GENIOの機能について詳しく知りたい方は、東芝GENIOのホームページも合わせて参照して欲しい。


げげっ、これはひょっとして初期不良ってヤツか!?

 いやー、世の中にはあるんですね「初期不良」ってヤツが。私が購入したGENIOは、なんと「バックアップ用の電池を入れても、さっぱりバックアップしてくれない」つまり、バックアップ用の電池がちゃんと認識されないというトラブルが発覚。そのため、本体のバッテリが切れてしまうと、せっかく入力した全データが飛んでしまう。幸い、今回の出荷分にはSmartMediaが付属していたんで、入力したデータをSmartMediaにバックアップして事なきを得たが、やっぱこれって「初期不良」だよね。

 というわけで、とりあえずフリーダイヤルのお客様相談センターに電話して相談してみた。

 ところが、窓口では「販売店に持って行って交換してください」の一点張り。こっちは時間が作れなくて、行ってるヒマがないというと、「送ってもらってもいいけど、宅配業者だと壊れる可能性があるからねぇ..」と言ってくる。おまけに「電話番号や本体に記録したデータはそのままにできるのか」と聞くと「修理ならできるけど、交換だとできない。販売店次第だね」と言うしまつ。おまけにすぐに交換してもらえるのかと聞くと「それは、その販売店を担当している営業マンに聞かなければわからない」じゃあ、コンタクトするから営業マンの連絡先を教えてくれと聞けば「それは、こちらではわからない」と.....ハッキリいってキれましたね。これは。購入当日の午後には、もう販売店には在庫がないのは確認済だったりするのだよ。

 これじゃあお話にならないので、フリーダイヤルじゃない手近のサービスセンターに電話して、詳しい部署に電話を回してもらう作戦に変更。こうしたトラブルが起きたときは、窓口で相談するのではなく、窓口から詳しい部署に電話を回してもらい、そこで相談するのが賢いやりかただ。特に、新製品の場合は窓口となっている部署には、その商品の知識があまりないケースもありえるからだ。

 そこでトラブルの内容を説明し、販売店に持ち込む時間がないことなどを説明すると、「本来は販売店にお持ち込み頂くのですが、そういった事情なら、お近くのサービスセンターに商品を送りますから、そこで交換してください」ということに。電話番号の変更やデータは保存されるのかといったことを聞くと、「それは心配ありません」と、まるでさっきの対応とは別物である。まぁ、紆余曲折あったが、結果的には迅速に対応していただいたおかげで次の日には新品と交換できたのでよしとしよう。


GENIOの使い勝手は?

 これは私が日頃から言い、ポリシーにもしていることだが、「PIMを使うコツは、身体をPIMに合わせる」ことだと思っている。どんなモノでも欠点はある、これはPIMツールも例外ではない。パソコンのアプリケーションが調子悪ければ、そのアプリケーションを使わない、あるいは別の同等品を探せばいいのだが、PIMの場合はそうもいってられない。基本機能はROMに搭載され、代替ソフトもないのだからそれを使うしかないわけだ。そんなときは、発想の転換をすることにしている。ちょっと使いにくくても、使い方を考え、そのPIMに合ったライフスタイルにさえすればいくらでも使いやすくなるからだ。

 GENIOをちょっと使ってみて思った感想は、「結構使えるんだけど、おしいね、もうすこしこなれれば素晴らしいツールになるよ、きっと」ということに尽きる。

 基本機能はたしかに、よくできている。PIMツールとしての条件も満足しているし、PHSでインターネットにアクセスしてWebページも見れるし、E-Mailの送受信ができるのもいい。本体のフタを開けずに、カーソルキーだけで電話帳に登録された相手に電話をかけられるのもいい。でも、すべてにおいておしいのだ。

 たとえば、フタを開けずに電話を掛けられるのはいいが、圏外だったり、待ち受けを切っていたりすると、ディスプレイにダイアログが表示されてしまう。この時点でフタを開け、ダイアログのボタンにペンでタッチしてダイアログを閉じなければいけない。また、本体の右についているカーソルキーはすべてのシチュエーションで利用できるわけではなく、限定されている(アドレスはキーでスクロールできるが、Webページのスクロールはできない)。また、アドレスに登録できる電話番号は「自宅電話」、「勤務先電話」、「勤務先FAX」「内線」、「ポケットベル」など。アドレス機能を使ってPHSで電話できるのはここに登録されたものだけ。フィールドを編集してPHSや携帯電話を入力できるエリアを作っても、そのフィールドを使って電話をかける手段はない。たいした問題ではないかもしれないが、GENIOはこのように本当にちょっとしたことがこなれれば、素晴らしいツールになる可能性を秘めているPDAだ。


 しかし、このような欠点もあるが、もちろん長所も多い。いつでもどこでもPHSの電波さえ届けばWebぺージの閲覧もできるし、E-Mailの送受信ができるのは非常にいい。PDAでWebページを見る行為を通信費のムダ使いで意味のないことだと言う人もいるが、私はそうは思わない。たとえば、なにも考えずに適当に女のコと遊びに行ったとしよう。インターネットを利用すれば、出先で映画の上映状況を確認することもできるし、おいしいお店を検索することも可能だ。もちろん、Webをネタに女のコを口説くなんて芸当もGENIOなら簡単だ。なんといってもPHSをPDAに繋いだり、モデムカードを差し込んだりってことをしなくてもインターネットにアクセスできるからね。

 もちろん、ビジネスでも活用できる。電車の停車時間(1分~2分)程度の時間があれば、ニュースページにアクセスして情報をダウンロードできる。ダウンロードした情報は電車の中でゆっくり読む。そうすれば、混雑した電車の中で新聞を広げるなんてことをしなくてもいいわけだ。


 これはあくまでも一例。他にも色々な利用法が考えられるハズだ。


次期主力PDAになるのか?

 ところで、自宅の押し入れには古くはCASIOの電子手帳やNECのET、新しいところではCASIOの液晶ペンやシャープのWizなど電子手帳の墓場があったりする。もちろん、使い物にならなくて墓場行きになった電子手帳はごくわずかだ。大抵はより使いやすいものや目新しいものがリリースされたときに結局古い物は使わなくなって墓場に行くというわけだ。

 とりあえず現役で利用しているのはモバイルギアとGENIO。あ、たまにモバイルギアにGENIOを繋いでみなし音声でメール読んでたりってワケのわかんないこともしてるけど、いまのところPDAはGENIOでとりあえずはOKかな。そうそう、GENIOには外部アプリケーションをインストールして動作させる機能があるんだけど、今のところ対応アプリはまだ存在しません。開発キットとか開発のノウハウを公開すれば、色々なアプリが登場して、さらにGENIOの周辺が活気づくと思うんですが、いかがなもんでしょうかね。

[Text by 広野忠敏]



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