【イベント】

【Windows World Expo/Tokyo 97レポート】

まだまだ暗中模索のDVD関連製品

'97/6/25~28 千葉幕張メッセにて開催

 この種のイベントではもはや恒例となった感のある各社のDVD関連製品の展示だが、今回のWindows World Expoで新たに出展されたものを含めても、まだまだDVD関連製品は「暗中模索」の域を出ていないという印象を受ける。

●低価格DVD-ROMドライブキットのソフトDVD再生機能は「オマケ」

NOVAC NOVAC
【NOVACの製品】 【再生デモ】

 ノバックは11日に発表した低価格DVD-ROMドライブキット「Magical Actor」をデモ。この製品は東芝製DVD-ROMドライブに、専用ボードなしでDVD-Videoタイトルを再生するソフトDVDプレーヤーを添付したDVD-ROMドライブキットで、店頭販売価格が3万円をきるということで話題を呼んだもの。従来、DVD-Videoタイトルを再生するのに必要とされていた再生専用ボードを省いたことで、大幅なコストダウンに成功した製品だが、その一方で添付されるソフトDVDプレーヤーを利用した場合、パソコンとしては最高性能のPentium II 266MHz搭載のマシンであっても再生時に映像のコマ落ちと画像劣化が発生し、DVD-Videoタイトルの再生という意味では十分な性能が発揮できないのではないかという点が懸念されていた。発表当初、同社はWindows World ExpoではソフトDVDプレーヤーの性能や機能を向上させた新バージョンをデモするとしていたが、実際には見た目の変化はなく、やはりジャギーの目立つ映像とはっきりとわかるコマ落ちが気になるデモ内容だった。

 この点に関して、担当者は「再生時の品質はこの程度です。添付のソフトDVDプレーヤーはオマケのようなものと考えてください」と説明する。つまり、同社はこの製品をパソコンでDVD-Videoタイトルの再生用という位置づけているのではなく、あくまでも今後発売されることが予想されているDVD-ROMタイトルの再生を想定しているのであって、DVD-Videoタイトルの再生はオマケなのだという(オプションで再生ボードも発売される)。

 DVD-ROMタイトルとは4.7GBもの容量を持つ大容量CD-ROMとでも言うべきものだが、現時点ではまだ一般に入手できるは製品は出ていない。「Magical Actor」だけを購入した場合、現時点では品質の低いDVD-Videoタイトル再生キットとして利用するしかないというのが実情。この製品のコンセプトは現実から少しばかり先行し過ぎているとも言えるが、「ソフトが先かハードが先か」という難題からすれば、この製品の持つ意味の評価はこの先のDVD関連市場の状況によって左右されることになりそうだ。

●ドライブメーカーも期待はDVD-ROMタイトル

日立 ソニー
【日立のDVD-RAMドライブ】 【DVD-ROMタイトル】

 倍速DVD-ROMドライブなどを展示した日立でも「期待はDVD-ROMタイトル」という。担当者曰く、「DVD-Videoタイトルを見たいのなら普通はテレビに接続するDVDプレーヤーを買うだろうし、パソコンに接続するドライブなのだからDVD-ROMタイトルの利用がメインになるはずです」ときっぱり。日立の関連会社ではCD-ROMタイトルを制作している会社もあり、DVD-ROMタイトル開発の検討を行っているという。しかし、ブースでのデモはDVD-Videoタイトルによる動画再生のみで、このあたりのギャップがいかにもDVD関連市場の現実をよく表しているようにも見えた。

 やはり自社製DVD-ROMドライブを展示していたソニーでは、それと同時にTBS(東京放送)のテレビ番組「世界遺産」をベースとしたDVD-ROMタイトルを参考出展して紹介していた。高画質な動画データを大量に含み、インタラクティブに「世界遺産が楽しめる」という。DVD-ROMタイトルの具体的な紹介を行っていたのは、確認できた範囲ではここが唯一だ。

●ソフトウェアのみの再生でも高品質なZORAN「Soft DVD」

ZORAN ZORAN
【ZORAN】 【SoftDVD】

 ノバックのデモとは対照的に、ソフトウェアのみでのDVD-Videoタイトル再生で驚くほど高品質なデモをおこなっていたのが米ZORANのブース。

 製品名は「Soft DVD」で、Pentium II 266MHzのマシンによる再生で、見た目ではコマ落ちも発生せず、画質も良好で非常に高品質な再生を実現していた。再生しているDVD-Videoタイトルは映画「マスク」で、「ハリウッドのタイトルを使うことで、コピープロテクションの対応と、画質の良さなど高い再生能力をアピールしているのだ」という。DVD-Videoタイトルのインタラクティブ操作や、字幕言語り切り替えなどの操作に対応するナビゲーション機能も搭載され、ソフトウェアのみで完全にDVD-Videoタイトルの再生が可能という。

 ZORANはOEM供給のみで、一般への販売は行わないが、国内のメーカーなどと採用にむけて話し合いを行っているという。なお、ノバックの「Magical Actor」に含まれるソフトDVDプレーヤーも、このZORAN(旧CompCore)のソフトウェアエンジンを利用しているが、ZORAN側によれば、「ノバックが採用しているのはここでデモしているSoftDVDとは別の製品で、再生品質や機能も異なるものだ」と説明していた。

●「発売未定」のDVD-ROMドライブキット

Creative
【クリエイティブ】

 ダイアモンドマルチメディアとクリエイティブメディアは、DVD-ROMドライブとDVD再生カードをセットにしたDVD-ROMドライブキットを参考出展していた。が、いずれも価格や発売時期は未定。国内で「いつ、いくらで」製品を投入すればいいのか、はっきりとはかりきれない状態のようだ。

('97/6/26)

[Reported by fumitake@impress.co.jp]


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