【業界動向】

米本社の合併を受け、
3ComとUSロボティックスの日本法人の事業方針を発表

'97年6月26日発表会開催

発表会会場  スリーコム ジャパン株式会社は26日発表会を開催、米3Com社とUS Robotics社の合併が株主の承認を受け手続きを完了したことを発表した。発表会には米3Com社アジア太平洋地域社長マシュー・キャップ氏、スリーコムジャパン株式会社社長の飯田裕氏、USロボティックス株式会社社長の鵜野正康氏が出席、日本法人の今後の事業展開などについて説明を行なった。

合併について3Com社は、「3ComとUS Roboticsは製品ラインにおいて補完的な立場にある」として、この合併により、これまでのネットワーク業界にはなかった総合的なアクセスおよび通信企業会社となると述べた。また、「今後はLAN製品とWAN製品が重なってくる。“情報へのアクセス”という観点から見るとLANとWANというように分けるのは意味がない」と、今回の合併により、3ComではLAN、WANを問わずシームレスなアクセスを提供する製品ラインを持つ強みを強調した。

 日本における事業展開については、USロボティックス社と合併すると同時に、新たに『スリーコム ネットワークシステムズ株式会社』を設立し、スイッチ、ルータ、ターミナルサーバなどの企業向け製品やアクセスサーバー製品などをそちらで扱う予定であると発表した。新会社の代表取締役社長には現USロボティックス社長の鵜野氏が就任し、現スリーコム ジャパン社長の飯田氏は、スリーコム ジャパンの代表取締役会長兼社長に就任する見込み。
 これにともなって、現在USロボティックス社の扱っているモデム製品とPDAのPalmPilotについてはスリーコム ジャパンで扱っていく予定であると述べた。スリーコム ジャパンおよび新たに設立するスリーコム ネットワークシステムズは経理などの間接部門は共有するという。新会社設立の時期は、「7月中には設立したい」との見込みを示した。

 パソコンユーザーにとって、3Com、US Robotics両社の合併で気になるのは、x2とK56Flex陣営が激しいつばぜり合いを繰り広げている56kbpsモデムの事業方針とPalmPilotの今後だ。

 まず56kpbsモデムについては、「3ComはOPEN 56K FORUMに参加しており、K56Flex陣営とされてきたが、K56Flexへの対応は合併後どうなるのか」との記者の質問に、マシュー・キャップ氏は「3Comはつねにスタンダードに対応していく。56kbps技術については、x2はすでにスタンダードといってよいだろう。一方のK56Flexは、現時点ではスタンダードと呼べるようなものではない」と答え、Rockwell社のチップを搭載している既存のアクセスサーバー製品を除いて、x2技術を全社を挙げて押していく考えを明らかにした。また、「US Robotics社はDSP利用において世界最高の技術を持つ会社だ」として、US Robotics社のDSP技術にかける3Com社の期待の大きさをうかがわせた。

 PalmPilotについては、「20日に国内で英語版を正式に発売した。また、日本語化も行なっており、その作業に今回の合併が影響するようなことはない。しかし日本語化した製品の時期について述べるような段階にはない」とするなど、3Com社の製品ラインでは異色となるPDAの展開については、x2技術に対する答えと比べると歯切れの悪い調子が目立った。

 なお、x2技術については、USロボティックス社の鵜野社長が、「DSPを利用してソフトウェアによって56kbps通信に対応しているため、ひとつの製品で56kbpsとADSL両方に対応することも可能だ。すでに6月のInteropにおいてDSPを使ったADSLモデムを出展しているが、第二世代のADSL製品として、ADSLに対応したCourierモデムを秋ごろには発表できるだろう」との見通しを明らかにした。


□USロボティックス株式会社のホームページ
http://www.usrobotics.co.jp/
□スリーコム ジャパン株式会社のホームページ
http://www.3com.co.jp/
□[関連記事]
【2/27】米3Com社が、米U.S. Robotics社を買収
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/970227/3com.htm

('97/6/26)
[Reported by hiroe@impress.co.jp]


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