後藤弘茂のWeekly海外ニュース
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MicrosoftがJavaライセンスを失う!?


Javaを巡ってまたまたMicrosoftとSunが激突

 先週は、Javaを巡って米Microsoft社と米Sun Microsystems社-JavaSoftがまた衝突した。というか、実態はMicrosoftが一方的にケンカを仕掛けたのだが...。どういうことかというと、MicrosoftはJavaプログラムから直接Win32 APIを呼び出せる拡張「J/Direct」を、Internet Explorer4.0のJava VM(バーチャルマシン)に組み込むと発表したのだ。JavaプログラムをWindows上でより高速に走らせることができるというわけだが、そのJ/Directに対応したJavaプログラムはWindows専用になってしまう。つまり、Javaのクロスプラットフォームという基本コンセプトと相容れないというわけ。「Java's unity under attack」(San Jose Mercury News,6/18)を読むと、JavaSoftの幹部は「これはトラップだ」「JavaアプリケーションをWindowsにしばりつけようという新たな攻撃で、Javaの目的をぶちこわそうとしている」とさっそく非難。


●SunはMicrosoftがJavaライセンスを失うかも知れないと警告

 このJ/Directに限らず、JavaをWindows用言語のひとつに取り込んでしまおうというMicrosoftの動きはどんどんエスカレートしている。そこで、米Sun Microsystems社のスコット・マクネリ会長兼CEOもいよいよ最後の切り札で脅しに出たようだ。「McNealy: Microsoft's Java License In Danger?」(COMPUTER RESELLER NEWS,6/16)によると、マクネリ氏は先々週開催された米Netscape Communications社のカンファレンスのスピーチで、MicrosoftがJavaのスタンダードに従わないのなら、Javaのライセンスを失うかも知れないと示唆したという。もっとも、Sunにしても、Windowsを征するためには、まずWindowsでのJava利用が進まないと話にならない。痛しかゆしというところか。


●AMDもIntelに対抗して価格引き下げ

 さて、先週のIntelのMPU価格大幅引き下げ(8月からの新価格で)のニュースで、風雲急を告げるMPU業界だが、どうやら米AMD社も対抗値下げに踏み切るらしい(当たり前か?)。「AMD To Cut Prices」(TechWire,6/23)によると、AMDはIntelより25%低い価格を維持できるだけ切り下げるつもりだという。

 もっとも価格引き下げだけでなく、Intel対抗策もどんどん打ち出すつもりで、「AMD plans deep price cuts on K6 chips」(Computer Retail Week,6/17)によると、AMDは当初予定していたAMD-K6の266MHz版の前に、バススピードが83MHzの250MHz版も投入するという。


●サブ1000ドルPC用x86 MPUがもうひとつ登場か

 MPU価格の引き下げなどで、低価格化傾向がどんどん強まる米PC市場。ここでは現在1000ドル以下のPC(サブ1000ドルPC)が、ブームになりつつある。そのマーケットに、新たなプレイヤーが参入するらしい。「STM entry into X86 takes a global twist」(Electronic Engineering Times,6/23)によると、SGS-Thomson Microelectronics (STM)社は、Pentiumクラスのx86 MPUコアにPCIバスやメモリコントローラ、グラフィックスチップなどの機能を加えた製品を夏から発売するらしい。あとは、スーパーI/Oチップやメモリなどを足せばPCができてしまうというわけ。つまり、このコラムでも何回か紹介した米Cyrix社のMediaGXとそっくりのコンセプトなのだ。STMは、これをMediaGXのような標準品として「ST PC Consumer」という名前をつけて売るほか、ASICのライブラリとしても各機能を提供するという。ちなみに、価格は35ドルとMediaGXよりも安く、すでに中国メーカーが採用を決めているとか。PCの低価格化はますます進行するかもしれない。Intelが同様のチップを出すという可能性も少なくないのでは。


●PowerPC G4シリーズはSMP技術に特徴が?

 MPUでは、PowerPCにも新しいニュースがあった。「IBM Debuts 'Alliance Chip'」(Electronic News,6/16)によると、次々世代PowerPCの「G4」では、マルチプロセッサ技術に工夫がこらされるという。これは米IBM社がS/390用に開発しているG4の話だが、最大3個までのMPUでひとつの2次キャッシュメモリを効率よくシェアできる仕組みを備えるという。しかも、そうしたノードを最大4個連結した12 CPU構成のマルチプロセッシングが可能だという。

 「PowerPC parries Merced with multichip thrust」(Electronic Engineering Times,6/23)にも、やはりG4のカギはMPUがキャッシュメモリをシェアする仕組みだと報じている。ただし、こちらのソースは米Motorola社らしく、スペックは前のニュースとはかなり異なる。ここからも、G4というのが単一のMPUではなく、1つの世代のMPU群だということがよく分かる。こちらの記事によると、G4は5000万トランジスタという巨大なMPUで、0.18ミクロンCMOSの製造技術で作られるという。ひとつのパッケージの中に、複数のMPUコアが入った形になるかも知れないという。...それはすごい。


●IntelはPentium II ODPを計画中か

 米Intel社が公約のオーバードライブプロセッサ(ODP)を来年初めに投入するというニュースも流れてきた。「Intel readies Pentium II OverDrive processor」(InfoWorld,6/21)によると、これはPentium IIソケットとMPUのセットで、Pentium Proマシンのソケットにはめ込むとPentium IIにアップグレードできるというシロモノらしい。ほんとかな。


●Communicatorのベータ6!?

 最後はちょっと傑作なニュース。「Netscape v4.0b6?!?!」(BrowserWatch,6/20)によると、Netscape Communicationsのプライベートなサーバーには、先週「Communicator 4.0 beta "6"」がポストされたという。えっ、ベータ6!? 正式版を出した直後にベータが出るということは? しかも正式版は4.01...謎。ちなみに、これは取材をベースにしたニュースサイトではなく、インフォーマからの情報を集めたBrowserWatchのネタなので、謎は謎のまま残されている。


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('97/6/23)

[Reported by 後藤 弘茂]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp