【イベント】

【COMPUTEX TAIPEI '97 レポート】

COMPUTEX TAIPEI '97 ラストレポート

'97/6/3~7 開催
開催地:台北




●COMPUTEX TAIPEI会場はまさにアジアの雰囲気?

会場会場

 混沌としたCOMPUTEX TAIPEIの会場は、まさに「アジア」の雰囲気。会場は広い上に、どこも似たり寄ったりの比較的小さなブースが無数に並ぶ。日本のイベントなら、企業の規模によってブースのスペースにはハッキリした差があり、「とりあえず大きなところだけを回ろう」という回りか方もできるのだが…。通路も狭く、とにかく密集している。ここに掲載した写真ではそれほど広さを感じないかもしれないが、実はここで写っているのはビルの吹き抜けの部分から見える範囲だけで、壁のようにも見える上に伸びるフロアの部分の下側には、まだまだ展示会場が奥まで広がっているのだ。



●コネクタもUSB、IEEE1394、Slot1が「NEW」

コネクタコネクタ

 少ないけれども、もちろんコネクタメーカーも出展していた。この写真はTAIWAN ZETATROHIC INDUSTRIALというメーカーのブースのもので、自社のさまざまなコネクタ製品を展示していた。NEWマーク付きの製品に目をやると、PentiumII用のCPUスロットSlot1、高速ビデオカード用バスAGP、DV端子という名で普及が始まった高速インターフェースIEEE1394といった新しいインターフェースに対応したコネクタ類が並ぶ。新しいインターフェース製品の普及には、こうしたコネクタメーカーの対応製品づくりも不可欠な要素だ。



●そろそろNLX対応のケースとマザーボードが出回るか?

NLXNLX

 INTELが提唱する新しいパソコンのデザイン規格NLXに対応した製品をあちこちで見かけた。なかでも、CHENBROというメーカーが展示した薄型のNLXケースには、有名なマザーボードメーカーASUSTekの未発表NLXマザーボード「TX97-N」(のサンプル品)まで組み込まれ、妙に現実味を帯びた展示となっていた。ASUSTekではこのTX97-Nを使ったNetPCを出展していたり、NLX関連製品の市場投入も間近いことを感じさせた。



●変わったデザインのパソコンは日本以外でも流行?

ADI

 ADIは、すでに販売をはじめているという変わったデザインのパソコンをデモ。近未来的というのか、ロケットのように見えなくもない。もちろんマウスも、本体やモニタと同じようなデザインで統一されている。日本のパソコンも、最近は色を変えてみたり、デザインをちょっと変わったものしたりしているけれど、この流れは海外でも同じ?。



●やっぱり出てきたIntelliMouse互換マウス

MouseMouse

 ホイール機能を搭載したマイクロソフトのIntelliMouseと互換のマウスを何種類か見かけた。一つはマウスメーカーとして有名なLogitechのもので、細長いボディが特徴。このメーカーの製品は大量にOEMで採用されている実績があるので、出荷が始まったらそのうち本家より数が多くなったりして。もう一つはPRIMAXのUSE-3D Mouseという製品。実はマイクロソフトよりも先にホイール機能を搭載した製品EasyScrollを出していたKYE Systemsは、なぜか今度はホイール機能をローラーではなくシーソー式スイッチに割り当てたNetScrollという新製品を大きくデモしていた。もはやWindows用のマウスはホイール機能付きが当たり前?。



●会場に現れた巨大な足跡とは

BIG FOOTBIG FOOT

 会場には巨大な足跡が…。といっても、会場の床にできたものではなくて、HDDメーカーQuantumがキャンペーン用に繰り出した大きな足跡の格好をした着ぐるみのこと。同社は5インチサイズのHDDのシリーズ名を「BIG FOOT」としており、そのキャンペーン用に作ったもの。確かかにインパクトはあったのだが、はたして本当に製品知名度アップに貢献していたかどうかは、少し疑わしい気もする。



●実在する128MB SIMMはまるで板チョコ

128MB SIMM128MB SIMM

 SIMMと言えば横に細長い板と相場は決まっている。さらに、容量と言えばだいたい一般的に入手可能なものとしては上限が32MBか64MBというのが常識。ところが、あるメモリメーカーのブースでは128MBの72Pin SIMMを展示(しかも、ご丁寧にパリティあり/なしの2種類)。その大きさたるやまるで板チョコのよう。普通のSIMMが4段に重なったような形で、ほとんど正方形に近い。担当者によれば、注文生産ということで生産を行っているそうだ。SIMMスロットに刺すのには少しばかり苦労しそうな気もするが…。



●PentiumIIのデュアル対応マザーボード多し

GIGABYTEGIGABYTE

 PentiumIIのデュアル対応マザーボードが各社から出品されていた。日本では聞いたこともないメーカーが出しているケースもあり、近いうちに一斉に出回りそう。PentiumIIのデュアルシステム環境が身近なものになれば、PentiumIIもサーバー用途として使われるケースが多くなりそうだ。



●チープなVR体験環境

VRVR

 この写真は、別にデパートの屋上にある子供向けの乗り物というわけではない。メイン会場の2Fに特別に用意されたVR(バーチャルリアリティ)関連のデモブースに設置されたVR体験用のコックピット。1つはヘリコプターで、もう1つは車。前者はコックピットはともかく、画面生成を含めたシステムそのものはかなり高級なものでリアル。一方の後者は市販品のPCゲームを使ったようなもので、ハンドルなどの操作系も含めて全てがチープだった。VRシステムというと高級な感じがするけれど、これではまるでデパートの屋上という雰囲気。



●新たなPDA「SkyWriter」は注目株?

ETENETEN

 ETENはモトローラのCPUを使ったPDAなどをデモ。左の写真はInterMessengerというポケットベルをベースとした情報端末。これで株価情報などを受信して、すぐにグラフ表示したりすることができるという。日本のポケベルサービスの会社とも採用に向けて交渉を開始する予定だそうだ。日本語が達者な担当者は、自分で日本語化したシステムを自慢気にデモしていた。もうひとつは人気のPDA、U.S.RoboticsのPilotの対抗だというSkyWriter(仮称)。これはペン入力型のPDAで、独自のOSで動作し、当然PIM機能も内蔵している。細かい仕様などは決定していないそうだが、Pilotと同等か少し安い程度で年内に発売したいとのこと。ちなみに、この2つは現地の新聞では大々的に報道された(どういう内容かイマイチわからなかったが)。ヘビーなモバイルユーザーの多い日本での発売を強く進言しておいたが、さてどうなるか。



●15インチディスプレイを17インチに拡大するレンズ

Lens

 ずいぶん昔、日本でも「小さなテレビでも大型テレビにしてしまう」というブラウン管前に取りつけるレンズがはやったけれども、会場では15インチディスプレイを17インチにするというレンズがポツリと小さなブースでデモされていた。「このレンズの説明を聞きたい」と言ったところ、言葉が通じなかったのか、一緒に展示されていたテレビ会議システムの話を延々とはじめてしまったので途中で失礼してしまった。ちょっと気になる存在…。



●128MBのFlash ATAも間近に登場。デジカメで何枚撮れる?

CyQve

 CyQ've(サイキューブ)はPCカードの専門メーカー。56Kbpsモデムももちろんあったけれど、目を惹いたのは128MBという大容量のFlash ATAカード。発売は間近で、値段は30万円近くするという。値段はともかく、これを使ってデジカメで撮影したらいったい何枚撮れるのだろうか?。



●CD-RドライブもATAPI接続のものが登場

ATAPI CD-RATAPI CD-R

 Wearnes Peripheralsは、ATAPIインターフェイス対応のCD-Rドライブ「CDR-622」を展示。性能は読み込み6倍、書き込み2倍速。CD-Rはなかなか書き込み時の条件がシビアということもあり、SCSIインターフェイスのみというのが今までの常識だったけれど、それもこれで打ち破られる?。



●ATXでもなく、NLXでもない「ALX」とは

ALX

 PCのマザーボードとケースのデザインでは、現在ATとATXが主流で、これから薄型PCの設計も可能なNLXも普及すると言われている。が、ほかにも会場を歩き回っていると今まで聞いたことのない「ALX」なる名前も目にした。ABLY-TECHというメーカーのブースにあったもので、わざわざ張り紙に「ALX = ATX+1/2 NLX」という説明書きつきでPCが展示されていた。結局、なんのことはない基本的にATXサイズのマザーボードを載せるケースで、同時にNLXのようにライザーカードも付属する。つまり、ATXマザーボードにライザーカド取りつけることで、NLXのように拡張カードを垂直ではなくマザーボードに並行に挿す構造にでき、結果的にATXで薄型のPCが構築可能なのだという。なんだかアイデア品というのかキワモノというのか。まぁ小さなブースで埋もれないための、いいパフォーマンスになっていたことだけは認めるが。



●バンダイに許可はとったのか?ゲルググを使った立て看板

PROLINKPROLINK

 AGPバスとPCIバス両用のビデオカードを出品していたPROLINKは、そのビデオカードを宣伝するために立て看板をブースに設置。その看板に大きく描かれているロボットがどうもどこかで見たような…。そう、アニメのガンダムシリーズに登場するゲルググというロボットだ。右肩にはAGP、左肩にはPCIの文字が描かれ、「いかにも」な演出が施されている。担当者にバンダイのライセンスをとったのか?、と聞いてみたのだが、「さぁ?」という顔をするのみ。そういえば、台北市内には山のように日本のアニメ関係のCDやビデオの海賊版が出回っていたっけ。

('97/6/11)

[Reported by fumitake@impress.co.jp]


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