【イベント】

【COMPUTEX TAIPEI '97 レポート】

COMPUTEX TAIPEI '97 初日レポート【MPEG付】

'97/6/3~7 開催
開催地:台北


COMPUTEX TAIPEI会場  「COMPUTEX TAIPEI '97」が3日、いよいよ台湾・台北市で幕を開けた。会期は7日までの5日間。850社を超える台湾を中心としたメーカーらが一堂に会し、新製品や新技術を展示。その会場は多くの人で賑わった。


●広い会場は雑多な雰囲気。展示は既定路線で新味は少ない。


国際会議センター
【国際会議センター】
会場風景
【会場風景/MPEGムービー 2.6MB[11秒]】
 会場は台北世界貿易センターと、隣接する国際会議センターの2ヶ所。その広さには圧倒されるものがあるが、それ以上に小さく仕切られたブースが無数に並んでいることで、過密で雑多な感じを強く受ける。また、当然のことながら参加企業は同業種のメーカーが多数入り乱れる形となっているため、会場を歩きまわっているうちにしばしば「既視感」に襲われる。というより、実際に限りなく近似の製品も非常に多いのだが。

 初日の会場は小降りの雨という条件の中、多くの人で賑わい、このショーの関心の高さをうかがわせた。基本的に、参加者はバイヤーという立場で入場する形になるわけだが、やはり日本人の数は相当なもの。出展しているメーカー側にも、日本語で応対できる説明員が待機している場合が多い。

 さて、初日はまず会場のすべての展示を広く浅く見ることに終始したのだが、感想は一言で言えば、それほど新味はなかった、というのが正直な感想。基本的には事前に予想できた製品が幾つか見られた程度で、それほど驚くような新製品や新技術にはお目にかかれなかった。まぁ、これは少しばかり期待が過ぎたというところか。



●一番の目玉はIntel互換プロセッサメーカー各社のデモンストレーション


 ここ数ヶ月でAMDのK6、IDTのC6、Cyrixの6x86MXと発表が相次いだ新しいIntel互換CPUだが、このCOMPUTEX TAIPEIの会場にはすべてが勢揃いしている。

AMDブース
【AMDブース】
K6のプラカード
【K6のプラカード】
K6 PR233デモマシン
【K6 PR233デモマシン】
ElanSC
【ElanSC】
ElanSC
【ElanSC】
 AMDのブースではK6を前面に押し出し、2台のデモマシンを使ってIntel MMX Pentium 233MHzとK6 PR233のスピード競争を実演。得意のベンチマークを使って優位性をアピールした。また、会場内ではK6のプラカードを持った女性が会場を歩きまわるなど、広報宣伝活動に熱心な様子も見せた。

 もちろん、AMDにとってもっとも強い武器だと言えるのはMMX Pentiumと互換のあるK6であることに違いはないが、ブースではもう一つのCPU「ElanSCシリーズ」も大きくアピールし、入場者の高い注目を集めていた。これはもともと486をベースに、省電力などの機能を加えて組み込み機器用に開発・販売されているCPUで、最近はWindows CEに対応するCPUとして名前にあがったことから、急速に関心が高まっていたもの。ブースでは、実際にWindows CE 1.0を搭載した試作機が公開されていた。その試作機を触った限りでは、きびきびとした動作を実現していて好印象を持った。Windows CE対応としては、SH-3などRISC系CPUが先に実績をあげているが、消費電力やコストの点でうまく展開できればかなり有望かもしれない。



Cyrixブース
【Cyrixブース】
6x86MX対応マザーボード
【6x86MX対応マザーボード】
6x86MX
【6x86MX】
MediaGX
【MediaGXのパネル】


 Cyrixのブースは、もちろん発表されたばかりの6x86MXがメイン。大きくロゴ付きのパネルが掲示されたほか、ブースの壁には6x86MXに対応した各社のマザーボードをならべ、対応の早さと幅の広さを誇示していた。実際にいくつかのマザーボードメーカーに聞いてみたところ、従来の6x86に対応しているマザーボードであれば、BIOSのアップデート程度で多くの製品が対応できるという。マザーボードメーカーのブースでは、わざわざ6x86MXを実際に装着した状態で製品を展示するところもあり、互換CPUとしては一番よく目にする存在だった。Cyrixでは、ほかにも低価格PC用に出荷しているMediaGXも同時にデモしていたが、見ていた限りではあまり入場者の関心を呼ばなかったようだ。



IDTブース
【IDTブース】
C6
【C6】
C6
【C6】
C6デモ機
【C6デモ機】
C6搭載マザーボード
【C6搭載マザーボード】


 そして、予期しなかったところからのIntel互換CPUの発表で話題を呼んだIDTのC6も、一般には初めてその実物と、動作デモが公開された。ブース自体はさほど大きくはないが、C6を搭載したデスクトップと、ノートパソコンをそれぞれデモし、多くの来場者が訪れていた。C6はダイサイズが小さいうえ、高度な消費電力管理を備えることで、どのPentiumクラスのCPUよりも低消費電力で駆動できる点、そして価格が安いこと大きな魅力だという(具体的な金額は教えてくれなかった)。ただ、製品の出荷が1997年後半と遅いことから、そのころにはほかのCPUとの価格差がどうなっているのかわからない。その意味でも、C6はまだまだ未知数の存在といえる。IDTによれば、すでにいくつかのパソコンメーカーとは採用に向けてコンタクトをとっているという。





●台湾勢からもデジタルカメラが続々登場


PhotoRun 正面
【PhotoRun 正面】
PhotoRunの厚み
【PhotoRunの厚み】
 会場ではいくつかのデジタルカメラが出展されていた。まず、形状などからもっとも強い魅力を感じたのが、UMAXのデジタルカメラ「PhotoRun」。表面が流線形となっているこのカメラは112(W)×63.6(H)×19.8(D)mmと、とても薄くて小さいのが特徴。ポケットにすっぽりおさまるサイズだ。CCDは25万画素で、撮影データの記録サイズが504×376ドットまたは320×240ドット。最短で80cmまで対応するオートフォーカス機構を持つ。そして、画像データの保存はコンパクトフラッシュが使えるというなかなかの優れもの。ただし、液晶ディスプレイによるファインダーはなく、光学ファインダーのみの搭載となっている。再生画像も見た限りではなかなか良好で、携帯用デジタルカメラとして期待がもてそうだ。7月に発売予定で、価格は250ドル程度になるという。


DC-300
【DC-300】
DC-300
【DC-300】
DCE-211
【DCE-211】
DCE-211
【DCE-211】
 AddonicsとPRETECという周辺機メーカーからは、まったく同一のDC-300というデジタルカメラが出展された。形状は富士フイルムのDS-8を横に伸ばしたような横長ボディで、1.8インチの液晶ディスプレイを搭載している。撮影データの記録は内蔵2MBメモリのみで、記録解像度は480×360ドットまたは320×240ドット秒速4枚撮影 の連写機能を持っている。こちらは来月に発売する予定で、価格は200ドル~300ドルの範囲になるという。

 SAMPOが出展したデジタルカメラはDCE-211。EPSONのCP-200に似たデザインで、記録解像度はVGAサイズ。標準1MBの内蔵メモリに16枚枚の記録ができ、オプションを追加すれば2MBに増設できる。来月から出荷を開始するが、価格はまだ公表できないとのことだった。


SDC-33 正面
【SDC-33 正面】
SDC-33 正面
【SDC-33 側面】
 韓国SAMSUNGのデジタルカメラは「SDC-33」。円形灰皿にグリップをつけたような形のカメラは、スペック的には平凡な30万画素クラスのもので、液晶ディスプレイはなく、データ記憶媒体は内蔵メモリのみ。これも来月発売予定というが、価格は教えてもらえなかった。次のモデルで液晶ディスプレイ付きの製品を出す計画だという。


VDC-100
【VDC-100】

 スキャナを得意とするMUSTEKも「VDC-100」という製品を出展。価格重視モデルで、スペックとしてはあまり魅力はない。内蔵メモリにはVGAサイズで最大10枚の記録しかできず、液晶ディスプレイも搭載されていない。すでに出荷を開始しており、アメリカでは実売価格が200ドル程度。CCDから取り込んだ画像をリアルタイムにテレビ信号出力する機能を持ち、テレビ会議用のカメラとしても兼用できるのが特徴という。  台湾には光学系を得意とするスキャナメーカーも多く、こうしたところから今後もデジタルカメラがでてくる可能性は高い。



【編集部注】

('97/6/4)

[Reported by fumitake@impress.co.jp]


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