【イベント】

【COMDEX/Spring '97レポート】

Watch編集長の COMDEX/Spring '97初日レポート 【MPEG付】

'97/6/2~5 開催(現地時間)
開催地:アトランタ



●CESやEXPO COMMを加えても会場の広さは2年前と同じ


プレス向け資料棚  開催前日のレポートでも書いたが、今年からCOMDEX/Springと同時にCESとEXPO COMMが同時開催されている。しかし、今日展示会の会場を見てまわったところ、会場の広さは、2年前のCOMDEX/Springと同じだ。会場で会った日本の記者の中には「もう一つ会場があるものと思って探し回った」と言っている人もいた。  今回、Georgia World Congress Centerは、EASTホールをCOMDEXが、WESTホールをWindows WorldとCES、EXPO COMMが利用する形になっている(ちなみにWESTホールの方が大きい)。しかし、WESTホールの中は明確に区切られているわけではなく、CESやEXPO COMMは注意しないとどこでやっているのか分からない。特に私は、CESに期待していたのだが、SONYもPanasonicも出展していない状態で、該当すると思われる場所にいっても、「コンシューマー」の香りは微塵もしない。
 プレスルームのメディアキットを配布する場所(写真)に行っても、メディア向けの資料の棚がほとんど空いたままである。今回は、広い部屋にきれいに資料の仕切りがしてあるだけに、そのスカスカ感がことさら強く感じられる。



●アップルが出展していない


 基調講演の待ち時間に、展示会の会場地図をチェックしていると、何とアップルが出展していない。昨年は、ミッションインポッシブルのテーマとともにそこそこ大きく展示していただけに、意外だった。これに関しては、COMDEXに出展できないほどアップルが逼迫していると考えることもできるが、どちらかというとCOMDEXがアップルにとって必須のイベントではなくなったという方が正しいのだろう。そう思って、他のブースを見渡して見ると、Macintoshを利用しているブースは極めて少ない。グラフィックツール類の出展も多いのだが、多くのプロダクツがWindowsにも対応している。
 アップルに限らず、すでにCOMDEXに合わせて何かを発表するというメーカーは少なくなっている。アップルとしては、COMDEXよりもMacWorldに力を注いだ方が効率的ということなのだろう。




●リテールより企業間取り引きにフォーカスを置くロータス社


Jeff Pawos社長  初日の基調講演は、ロータス社のJeff Pawos社長である。正直に言えば、アプリケーション市場ではマイナーになった感があり、あまり期待していなかったのだが、どうしてどうして。インターネットとバックエンドデータベース(つまりノーツ)との関係の未来を力強く主張していた。

 残念ながら、講演の一語一句を記憶できるほど英語が流暢ではないのだが、彼の主張のうち、印象的だったのが、リテールビジネスより、ビジネス間──つまり企業間の取り引きの方が何倍もあるとして、インターネットのキラーアプリケーションは、企業間取り引きを実現するアプリケーションだとした点だ。
 もちろん、ロータス社がリテール向けのアプリケーションよりノーツに力を入れているのは自明なのだが、インターネットにそうした観点が欠けていることをずばりと言われると思わずうなずいてしまう。
 彼は、インターネットが軍事目的で発生したものであること。理想とは裏腹に、非常に混沌としており、実際にできることといったら、世界中からヌード画像を手に言えるぐらいだというような、現在までのインターネットを皮肉ったアニメーションを用意し、実際にインターネットが生産性の向上に寄与するために必要な事として上記のような主張をしていた。
 また、ダイナミックなコンテンツを提供するWebサーバーの必要性、Javaが様々なプラットフォームを「同一化」するキーテクノロージーであることなども指摘した。
 全体に、洗練されたビデオ映像、少ないが要所を押さえたジョーク、そして自社のコマーシャルに終わらない主張と好印象を残した基調講演であった。




●IBMとロータス社のブースが入れ替わる?


 基調講演の後、弊社のスタッフと分担し、私はCOMDEXを開催しているEASTホールより見てまわることとなった。気になったのは、期せずして基調講演を行なったロータス社。公式パンフレットによると、IBMとロータスが隣接して展示しており、IBM:ロータスの展示面積比が8:2ぐらいになっていたのだが、実際の会場ではその場所が丸々入れ替わっており、ロータス社の方が広く展示していた。
 展示の中心は、ノーツとドミノ。シアターを3つ用意していたが、午後になるとほぼ満席の状態であった。恒例のTシャツ投げも派手で、黄色いスタッフのポロシャツと共に周囲の中で一番目立った展示となっていた。
 デモの中身は、仮想の会社を見たてて、ノーツでメンテナンスをすると、Webに反映し、Webで入力するとノーツのデータベースに反映するというもの。同様のデモは、マイクロソフトでもIISのデモとして行なっていたが、あちらはNT4.0 / IIS / SQL Server / Accessと複数のソフトを組み合わせて使う必要があるのに対して、ドミノの場合はノーツとドミノのシンプルな構成で、簡単に感じられた。もちろん、実際にはノーツアプリケーションとドミノの設定をきちんと行なう必要はあるのだろうが、一般の人には魅力的に映ったのではないだろうか。
 入れ替わった形のIBMのブースの展示はe-business、つまりコマースが中心。日本のJALを始め数多くの導入実績をアピールしていた。基調講演で主張した、ダイナミックコンテンツによるコマースは、ドミノとe-businessでばっちりというところだろうか。




●東芝Librettoついにアメリカ上陸


米版Libretto 80キー仕様

 後藤氏のニュースサイトウォッチでも紹介されていた、Librettoの米国での発表会が、こちらの6月2日、11:30よりCOMDEX会場内で行なわれた。当編集部でもその模様を一部始終……と書きたいところなのだが、実はその案内に気づいたのは12:00を過ぎてからで、慌てて現場に急行。プレスリリースと、展示されていた米国仕様のLibrettoの写真を押さえたというのが本当のところだ。
 さて、気になる仕様と値段だが、結局国内で販売されているLibretto 50とほぼ同等で、Pentium 75MHzのHDD 772MBとなっている。推奨小売価格は$1,999。現在1$が120円を切るぐらいだから、約23万円と日本でのLibrettoの店頭価格より若干高い程度となる。出荷は6月下旬より。
 日本と違い、あのサイズではPDAと混同される可能性が大きいようで、リリースの随所にPDAとは違うという趣旨の文書が書かれている。PDAと認識されると、$1,999は高すぎるということになってしまうのだろう。
 日本国内版と色や大きさも変わらず、米国仕様のロゴなども特にないので、外観からではまったく区別がつかない。唯一明らかに異なるのは、キーボードが80キー仕様で日本語が印刷されていないという点だけだ。
 なお同時に、TECRA 520/530 CDT、PORTEGE 300 CT、SATELLITE 220 CDS、SATELLITE PRO 440/460 CDTも発表された。

□米国東芝のリリース
http://www.toshiba.com/tais/csd/products/portable/index2.htm




●Office Intranet Kit


米版Libretto 80キー仕様

 Microsoftのブースでは新製品発表もなく、どれもすでに知っている情報ばかりで正直退屈した。その中で興味を持ったのが、Office 97とFrontPage 97を使って簡単にイントラネットを構築できる(?)という「Microsoft Office 60 Minute intranet kit」。
製品名を聞いたときは、いったいどんなキットなんだろうと思ったのだが、実際はFrontPage 97で使うイントラネットのサンプル集。FrontPage 97をベースにR&DやSales and Marketingなど4種類のサンプルが用意されており、作成方法などをステップバイステップで紹介している。 内容自体はそれほど新鮮なものではないが、FrontPage 97とOffice 97の組み合わせ方法など、FrontPage 97を現在使っている人には参考になるのではないだろうか。

□Microsoft Office Intranet Kit(日本語環境での動作は未確認)の内容紹介
http://www.microsoft.com/office/intranet/

[この項のみ Reported by fukuura@impress.co.jp]


Libretto
【MPEGムービー 2.0MB】
Libretto
【MPEGムービー 4.9MB】
オープンのもよう
【MPEGムービー 3.4MB】
キーノートスピーチ
【MPEGムービー 5.4MB】
Lotusブース
【MPEGムービー 1.9MB】



【編集部注】

('97/6/3)

[Reported by ken@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp