【イベント】

池袋サンシャインシティで
28日から30日まで開催

'97 TELECOM JAPAN[情報通信総合展]レポート

空きスペースが目立つAホール 一転して賑やかなBホール

  情報通信技術の展示会「'97 TELECOM JAPAN(情報通信総合展)」が池袋サンシャインシティで「デジタル&マルチメディア~世界がかわる、未来がかわる」をテーマに28~30日まで開催された。会場は「DIGITAL MEDIAゾーン」「WAVEゾーン」「NETWORKゾーン」の3つに分かれている。「DIGITAL MEDIA」ゾーンの設けられたAホールはかなり空きスペースが目立ち、やや寂しい印象を受けたが、KDD、NTTをはじめとした通信事業者のブースのあるBホール(「NETWORK」「WAVE」ゾーン)は展示も来場者も賑やか。

 業界向け展示会なので、個人ユーザーに直接関わりのある展示は例年少ない。そんな中で、今年はPHSの32kbpsデータ通信サービスが始まったため、その関連の展示が目についた。ただしすでに発売されている製品と企業向け業務システムの組み合わせといった展示がほとんどで、個人ユーザーにとって面白いものは少ない。ここでは、イリジウム用の携帯端末など、いくつか目についた製品あったのでレポートしたい。


世界を股にかける携帯電話
イリジウム用端末
(日本イリジウム株式会社、参考出品)

京セラ製のイリジウム端末。左がデュアルモード端末、右がシングルモード端末 モトローラ製イリジウム用ページャー。受信専用でバッテリー寿命は約30日
SIMカード方式のモトローラ製イリジウム端末。連続通話2時間、待ち受け24時間。 SIMカード。

 DDIグループのブースの一角で、日本イリジウム株式会社の展示が行なわれていた。イリジウムは6面の低軌道(地上約780km)上に11基ずつ、計66基の周回衛星によって全地球上をカバーする衛星通信サービス。各衛星が直径4,400kmのエリアをカバーする。低軌道衛星で衛星と端末の距離が短く伝送遅延が少ないこと、衛星間通信を行なうため、地上に関門局中継用の伝送路を必要としないことが特徴。'98年9月にサービス開始予定で、'97年8月ころに利用料金が決まる見通しだ。

 展示されていた端末は、いずれも参考出品で、モトローラ製と京セラ製があった。京セラ製端末はイリジウムサービス専用のシングルモード端末と、地上セルラー端末にイリジウムアタッチメントを装着する、地上波とイリジウムの使い分けが可能なデュアルモード端末の2種。どのイリジウム端末もアンテナ部分がかなり大きく、実際に持つことはできなかったが重量もありそうだ。

 モトローラ製は、ページャーと、SIM(Subscriver Identity Module)カード対応の端末が展示されていた。SIMカードは内蔵チップが電話番号などを記憶しており、イリジウム端末に差し込んで使用する。不正使用の予防や、企業などで1つの端末を複数ユーザーで共有する場合などに役立つとされている。
 ページャーは受信専用で、文字と数字が受信できる。バッテリー寿命は約30日間で、バイブレーター呼び出しをサポートしている。


21世紀の携帯端末はICカードで管理?
ICカード対応携帯端末
(DDIグループ、参考出品)

展示されていたICカード。左がフルサイズタイプ、右がプラグインタイプ。金色部分がICチップ。写真では見づらいが、右の写真は、カードサイズの展示用プレートの上に、透明プラスチックにICチップが埋め込まれたプラグインタイプが展示されている。サイズはかなり小さい。

 DDIグループでは、ICカード対応のノキア製端末「NOKIA 9000」を参考出品していた。ICカードとは、マイクロプロセッサとメモリの2つの機能を持つICチップを利用したカード。欧州を中心にサービスされているGSM方式の携帯電話では、加入者IDや短縮ダイヤルなどの情報を登録するSIMと呼ばれるICカードがすでに導入されている。このGSMのSIMと互換性のあるPDC対応ICカードが標準化された。DDIではICカード導入などの付加サービスの充実をめざす、としている。


実用性はともかく欲しくなる一品
腕時計+ポケベル「Swatch the Beep」
(東京テレメッセージ、参考出品)

Swatch_1 Swatch_2
 東京テレメッセージのブースでは、参考出品として腕時計+ポケベルの機能を持つ、「Swatch the Beep」を展示していた。ビジネスショーで展示していたものと同じだが、発売スケジュールや価格はまだ未定とのことだ。カバーガラス部のワイヤーが気になるが、説明員によると「ボディ強化のため」とのこと。しかし普通の腕時計と比べて、それほど強化が必要と思われるサイズでもない。ワイヤーは、アンテナとして機能するのではないかとも思ったが真相は不明。表示液晶部分はさほど広くはなく、竜頭以外のボタンも見あたらないため、操作しずらい可能性もあるが、実用性はともかくとりあえず欲しくなる製品。


ラジオなら無料だが……
PHS高品質音楽&情報サービスのモニター募集中
(NTTパーソナル)

専用アダプタ  NTTパーソナルでは、PHSの32kbpsデータ通信を利用して、高品質な音楽(ステレオサウンド+文字情報)と生活情報をオンデマンドで利用できるサービスの実用化試験を実施、5月28日~6月21日までモニターを募集している。モニター期間は7月末~9月末。

 ブースでは、このサービスの音を実際に聞けるデモを行なっていた。NTTパーソナルでは音質はAMステレオ放送ていどとしているが、たしかに音質はなかなか良かった。専用アダプター(写真参照)は単4電池×4本で駆動、番組選局やボリューム調節機能を持つ。しかし、モニター期間中の32kbpsデータ通信利用料はモニターの負担になるので、FMラジオなら無料のところ、通信料を払ってまで利用したいユーザーがどのくらいいるのかはちょっと疑問だ。また、実用化試験段階とはいえ、ウォークマンよりひと回り大きい専用アダプターのサイズも、外出先での利用を考えると気になるところ。
 当たり前だが、オンデマンドで提供される番組の本数や内容によって、サービスの魅力は左右される。現在のところ、多彩なジャンルの音楽番組、ショッピングやグルメのストリート情報、占いなどが予定されているとのこと。しかし、ビジネスマンにとっては、オンデマンドで欲しいのは、むしろ交通情報やニュース、株価情報などのような気がする。

□NTTパーソナルのモニター応募要項のページ
http://www.ntt-itn.co.jp/personal/monitor.htm


個人向けサービス開始は7月末予定
28.8kbpsパケット通信サービス“DoPa”用端末
(DoCoMo)

専用アダプタ  DoCoMoでは、デジタル800MHzの携帯電話用の28.8kbpsパケット通信サービス“DoPa”を'97年3月28日に開始したが、現在までのところサービスを利用できるのは、法人で契約しているユーザーのみ。個人ユーザーには7月末ごろサービスを提供できる予定だという。28.8kbpsパケット通信は、従来のデジタル800MHz用端末では利用できず、パケット通信に対応した新しい端末とPCカードが必要となる。現在、対応端末として「P301 HYPER(本体のみ55,000円)」、28.8kbpsパケット通信と9.6kbpsデータ通信両対応のPCカードは「モバイルDPカード2896P1(24,800円)」が発売されているが、サービスの利用を申し込んだ企業にしか販売されていない。こちらも個人契約ユーザーへのサービス開始に合わせ、7月末には一般の店頭での販売を開始する予定だという。

 DoCoMoの28.8kbpsパケット通信は、チャネルがふさがっていてかからないということがない代わりに、同じ基地局にたくさんの端末が接続すると、その分通信速度が落ちる仕様になっている。DoCoMoでは個人ユーザーにサービスを開放する時点では、最高速度28.8kbpsでなるべく利用できるよう、設備を整えるとのことだ。

□DoCoMOの“DoPa”情報ページ
http://www.nttdocomo.co.jp/whatnew/dopa.html


('97/5/30)


[Reported by hiroe@impress.co.jp]


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