毎週金曜日更新


Weekend Watch【'97/5/23版】

 今回のゲームソフトインプレッションは、光栄「アンジェリークspecial2」です。
 なお、インプレッションや記事に関するご意見・ご感想、とりあげて欲しいゲームソフトや企画などは、pc-watch-info@impress.co.jpまでお寄せください。


■ゲームソフトインプレッション■

アンジェリークspecial2



ジャンル:恋愛+育成シミュレーション
発売メーカー:光栄
標準価格:7,800円(プレミア版:9,800円)
対応OS:95
備考:主人公の育成を通して、「守護聖様」と呼ばれる男性キャラクターとの恋愛を楽しむ女性向恋愛シミュレーション。恋愛対象となるキャラクターは、前作の9人に加えて、新たに6人を追加。プレイステーション、セガサターンでも発売されている
【筆者紹介】
  • 名前:平野裕子
  • 好きなジャンル:スポーツ・レース・フライトシミュレーション以外
  • プロフィール:雑誌「Mac Life」や各種攻略本などに起稿しているフリーライター
ハード環境】
  • 使用ハード:コンパック「Presario 9542」
    CPU:Pentium 100MHz
    メモリ:8MB
    グラフィック:S3 TRIO 64V(2MB)
    サウンド:サウンドブラスタ互換


『アンジェリーク』はいったい何ゲーなのか!?


(C)1997 KOEI CO.,LTD

 「女の子のための恋愛シミュレーション」と、多くの人に誤解されている『アンジェリーク』だが、本来のカテゴリーはライバルと競い合いながら土地や惑星を育成し、みごと勝利をおさめて女王の座につく「育成シミュレーション」といえる。しかし、ほとんどの女子の購入目的は、ゲーム中に登場する9人の守護星様(プラス、2で新たに登場する男性キャラクター6人)の誰かを落として真のエンディングとは別の“ラブラブエンディング”を迎えることにある。

 要するに、育成やライバルは恋愛にはつきものの「障害」の役割を果たしているわけで、いかに女王になってしまう前に意中の男性キャラと相思相愛になるか、というジレンマが、ベタベタの少女漫画の世界に憧れる女子の胸を熱くさせているというわけだ。だから「恋愛シミュレーション」という呼び方は間違いではないが、そのせいで何をするゲームなのかがわかりにくくなっているのは事実。ちなみに光栄側が提示しているカテゴリー名は「ネオロマンスゲーム」。言いたいことはわかるがこれじゃますます何ゲーだかわからないと思うぞ。


(C)1997 KOEI CO.,LTD

●数々の制約と心が踊る突発的イベント

 主人公は、平凡な女子高生。ある日突然さらわれるようにして「聖地」へと招き入れられ、半ば強引に女王試験を受けるよう言い渡される。試験の内容は、謎の球体を宇宙に成長させ、さらにその中に惑星を誕生させること。そのためには「誇り」を与える光、「安らぎ」をもたらす闇、「勇気」をもたらす風……などの、それぞれ異なった能力を持つ守護星様にお願いして力を送ってもらうのだ。ただし、主人公がこの「お願い」や、仲良くなるための「お話」、「お誘い」、「おまじない」などの行動を起こすには、たいていの場合「力」(ハートマーク)を消耗するので、行動内容や回数は制限されてしまう。「力」を増やすには、途中経過でライバルよりも多くの惑星を作っておくことが必要で、いくらラブラブエンディングを迎えたくとも育成をおろそかにできない仕組みになっている。

 また、『2』では「精神、感性、品位」といった自分の資質も成長させねばならず、もどかしさは前作よりさらにパワーアップ。おまけに資質を教えてくれる3人の教官&協力者3人という新男性キャラや、「贈り物、守護星様私邸招待、土曜の夜のデート」という新イベントが加わったため、優柔不断な女の子がプレイしたら、誰に何をどうしていいかわからなくなって気が変になってしまうかもしれない。ゲームだからいいようなものの、現実でそれぞれ異なった個性を持つ「恋人候補」が一度に15人も現れたら喜ぶ以前にパニックに陥ってノイローゼになるよなあ。そういった意味では、男性に対する好き嫌いがハッキリしている人の方が割り切って楽しめるゲームと言えるだろう。

●凶悪な“アンジェリーカー”の恐ろしい情熱

 最後に、この原稿を書くにあたって独自に調査した(……というほどでもないが)アンジェリークマニアの話をしておこうと思う。『アンジェリーク』はグラフィックがアレなこともあって、一見オタッキーでマニアックなゲームと思われがちだが、それはまったくの勘違い。逆に今までゲームにさわったことがない人や、「平凡で何のとりえもない私が、ステキな男性にモテまくって選ばれる」という典型的少女漫画で育った世代(30代前後)の一般人によるハマり方がもの凄い。今まで知らなかった世界に足を踏み入れる喜び、もしくは忘れかけていた情熱が一気に再来!ってな感じで行きつけのSHOTBARの女の子からはエンエン3時間にも及ぶ『2』の質問責めに会うし、とある知り合いの奥さんは「15人全員分のエンディングを見るのはファンならアタリマエ。もうお約束よね。今アンジェリークのチャットにハマってるからあなたもいらっしゃいよ」、また、最初の『アンジェリーク』発売当初からファンであり続けている友人は「ジュリアス様やクラヴィス様って、別に好きでもなんでもないけどあいつら気位が高いから、落としたときの快感は最高! やったぜ畜生コノヤローって感じでめちゃくちゃ気分いいのよね」……とてもじゃないけど彼氏やダンナには絶対に聞かせられない女の本性丸出しのえぐえぐトークが出る出る。

 これだったらまだ「ときメモ」や「エヴァンゲリオン」にハマってる男の子の方が純情で美しいと思えるほど。もしもあなたの彼女や奥さんが『アンジェリーク』、『アンジェリークSpecial2』を持っているのなら、一度セーブデータを覗き見て欲しい。そこにはきっと男性の好みや恋愛パターンが読みとれる、真実の記録が残されているはずだ。

[Text by 平野裕子]


Weekend Summary
●マクシス、「シムチューン」を発売 ほか


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp