【イベント】

【COMDEX Japan'97】

注目集める各社のモバイル製品、富士通のA5サイズノートも登場

'97/4/8~11開催
開催地:千葉・幕張メッセ

 今回のCOMDEXでは、ノートパソコン、PDA、PCカードなどの携帯用途や省スペースを重視したモバイルコンピューティング関連でも展示が多い。ここでは、注目を集めた製品や気になったテーマなどを紹介する。

富士通はA5サイズの端末を展示

富士通のA5ノート富士通のA5ノート富士通のA5ノート

 富士通は開発表明していたA5サイズで重さ750gの携帯通信端末を展示。OSにMS-DOS 6.2/Vを採用した薄型ノートパソコンで、独自のアプリケーションを搭載してスケジュールなどの個人情報管理、FAXやインターネット接続などの通信機能を搭載している。細かい仕様は明らかにされていないが、メモリは8MB程度が試作機の段階で載っているという。PCカードロットはType2が1スロットあるほか、コンパクトフラッシュ対応のスロットも1つ持っている。基本的にはROMにDOSと基本アプリケーションを搭載し、作成したデータなどはコンパクトフラッシュなどに保存するという利用方法になる。モデムは内蔵で33.6kbpsに対応している。液晶部はカラー表示でペン入力に対応。360度の回転が可能で、通常のノートパソコンのように使えるほか、片面を液晶パネル、もう片面をキーボードとなるよう折り畳むことで、一般的なペン入力専用パソコンのようにも使うことができる。バッテリーはビデオカメラ用のリチウム電池が利用可能。発売は夏のボーナス時期を予定し、価格は12万円前後の予定という。同社はこの製品ではDOSベースの環境を採用してはいるものの、今後のPDA関連の製品については、引き続いてDOSベースとするのか、あるいはWindows CEなど別のOSを使用するのか、まだ手探りの状態という。

Windows CE関連では新プロセッサと国産ゲームソフトが登場

NEC Vr4102pcANYWHERE!日立のHPC

 昨年末のCOMDEXで発表されてからというもの、PDA環境としての可能性、マイクロソフトの戦略製品としても注目されているのがWindows CE。このCOMDEXの中でも幾つかの関連製品を見つけることができた。展示を行ったのは、既存の海外向けHPCをデモした日立日本電気、そしてWindows CE用のリモートコンピューティング用ソフト「pcANYWHERE!」をデモしたシマンテックWindows CE用ゲームソフトのパック製品をデモしたMSD-JAPAN。しかし、夏にも日本語版Windows CEとHPCが出るのではないかとの期待が高まっている中で、日本語版に関連する直接的なデモは残念ながら行われなかった。

 日立と日本電気のHPCの展示は現行の英語版のみ。日本語版の投入時期や開発段階については特に具体的なコメントは出てこなかった。唯一、日本電気では発表したばかりのHPC向け高機能プロセッサ「VR4102」がパネルで展示され、「これは日本語版HPCをターゲットにして開発したものだ」との説明がなされた。ただし、これはまだ社内的にはテスト段階のレベルで実際の動作デモはまだできないという。このプロセッサは4Mbpsの赤外線通信機能IrDA1.1やDSPとソフトの組み合わせによるモデム機能を内蔵している。シマンテックのpcANYWHERE!は英語版のみのデモで、日本語版の開発については時期などまだはっきりした計画が固まっていないという。MSD-JAPANのゲームパックはパズル系の8種類がセットになったもので、日本語版Windows CEに合わせて発売したいとのこと。価格は3,000円の予定。今後、IrDAを介した2台のHPCを使った対戦ゲームや、英単語学習ソフト、ホテル情報などのデータベースの製品化を予定しているという。

56kbpsモデムやCardbus対応などバリエーション豊富なPCカード

IBM 56kbpsモデムTDK 56kbpsモデムTDK MusicCard

 各社とも高速PCカードインターフェースのCardBusやZVに対応したカードや、1枚のPCカードに複数の機能を持たせたマルチファンクションカードなどの新製品を展示していたが、中でも注目を集めたのは56kbps対応のPCカードだ。

 56kbps対応のPCカードを展示したのはIBMTDK。IBMは以前からU.S.RoboticsからPCカードモデムのOEM供給を受けていたこともあり、56kbpsの規格はU.S.Roboticsが推進するx2規格のもの。もちろん、モジュラージャックの接続部は指で押すだけで飛び出し、収納も簡単な使い勝手に定評あるXJACK方式。この製品の販売時期、価格などは未定という。TDKはRockwellやLucentが推し進めるK56Flexに対応したPCカードモデム「DF5614」を参考出品。夏頃には発売する予定で、現行の33.6kbpsモデムの「プラスα程度」の価格で販売する予定という。まだまだ流動性のある56kbps規格だが、もし製品発売以降に標準規格が制定されて仕様変更となった場合には、製品購入者にはなんらかのアップグレード方法を用意する構えという。LucentもPCカードモデムを展示していたが、これはOEM供給用のもので、オリジナルブランドとして一般への販売は予定していない。

 またTDKは、E-mu社製「ミュージックカードMC9000(仮称)」というMIDIサウンドカードも参考出品。これは4MBのサウンドデータROMと2MBのサンプリング用RAMを内蔵し、光デジタル出力も備えてMDなどへデジタル録音が可能。可能性の一つとして、モデムと併用しての「通信カラオケ」をデモしていた。

ハイスペック志向のMMX対応ThinkPad

MMX対応ThinkPad
 IBMでは、MMX対応Pentium 166MHzを搭載したThinkPadを参考出品した。スペックは32MBメモリ(最大104MB)、3GB HDD、8倍速CD-ROMドライブ内蔵、1,024×768ドットTTF液晶、Mwave DSPによるモデム機能搭載など、性能重視のノートパソコンとなっている。完成度は高く、ほぼ製品レベルのものという。価格や出荷時期は未定だが、説明員いわく「正式発表は間近」。

PHS機能付きPDAやWebBoyにも関心集まる

WEBBOY ピノキオ

 東芝GENIO松下のピノキオなど、PHS機能付きのPDAにも関心が集まり、デモ機には人だかりができていた。また、IBMのDOSベースのWWWブラウザ+電子メール環境のWebBoyも注目株。IBMでは、これで「社内に眠っている旧型機もよみがえるだろうし、販売店も在庫で抱える旧型のマシンをセットにして販売できるなど、いろいろ効果が期待できそうだ」という。バグ修正レベルのバージョンアップは考えているものの、やはり旧型機のパフォーマンスで快適に使えることを最優先とするために、機能を詰め込むような方向での拡張は考えていとのことだ。

('97/4/10)

[Reported by fumitake@impress.co.jp]


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