後藤弘茂のWeekly海外ニュース
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●IntelのMercedは1GHz?

 MPUの速度をMHzで計るなんてのは、あと2、3年したら流行らなくなっているかも知れない。「Intel could hit 1 GHz with Merced」(CNET,3/10)によると、Intelは第7世代のMerced(コード名)を、600MHzでデビューさせ、すぐに1GHzまでスピードアップさせると予測されるという。ちょっと信じがたいが、この話はそれなりに信憑性がある。というのも、元ネタは泣く子も黙るMPU業界専門誌「Microprocessor Report」だからだ。Microprocessor Reportのサイトには、記事の概要しかアップされないが、それだけでもなかなか強烈。興味があったら、ぜひ「Article Abstracts」March 10, 1997の「MDR Analysis: Design Concepts for Merced」も覗いて欲しい。同誌が予測するMercedのスペックがちらりと載っているのだが、それによるとMercedは8ウェイのVLIWコアや512KBのオンチップキャッシュを持ち、40 SPECint95/80 SPECfp95(600MHz版)の性能になるだろうという。整数演算では今のPentium IIプロセッサのざっと5倍の性能で、浮動小数点演算でもいよいよRISC系MPUを追い抜くかも知れないということだ。これはもう、Mercedが出るまで待つしかない!?


●Pentium IIは300MHzをサンプル出荷か?

 一方、もう目前に迫ったKlamath改めPentium IIだが、こちらは300MHz版のサンプル出荷が始まったというニュースが入ってきた。「Pentium II hits 300 MHz」(CNET,3/14)によると、一部のベンダーの手に渡ったサンプルの中に300MHzで動くバージョンが含まれているという。もっとも、最初に登場する233MHz(266MHzも同時と見られている)では、現行のMPUの方がいくかの点では高速だという記事も。「Older Pentiums outdo Pentium II, site says」(CNET,3/12)によると、これはPentium IIを入手してテストしたサイトが主張しているのだという。このサイト「Tom's Hardware Guide」は1月ごろから何度も行っているが、なかなかゲリラでスゴイ。2ヶ月前からPentium IIの写真やベンチ結果を載せていた。ただ、行けばわかるのだが、あまりに過激過ぎて先週はIntelともめていたようだ。ようはIntel側が法的な措置に出るという話なのだが、どうやらIntelは同サイトに問題はないと直接告げたらしい。そのあたりの詳細は「Intel regrets ill will over criticism of new chip」(Mercury News,3/12)で。


●Cyrix M2は233MHzへ?

 さて、先週はなんと言ってもCeBITでのMPU合戦がすごかったようだ。米AMD社が次世代の「AMD-K6プロセッサ」とチップセットの概要を発表し、IntelもPentium IIを初めて公式にプレゼンテーションし、米Cyrix社も次世代MPU「M2」の166MHz版をちらりと見せたという。「AMD, Cyrix ready for run at Intel」(CNET,3/14)。Cyrixは、今のところM2の発表日を明らかにしていないが、今年後半には確実で、年末までには233MHz版を出すことをゴールにするという。例の統合チップMediaGXも、233MHzまでアップするそうだ(今は133MHzが最高)。ちなみに、米Compaq Computer社が米国で発売したMediaGXマシン「Presario 2100」は、じつは台湾のFirst International Computer (FIC)社がOEMメーカーで、同社はほかにもOEM先を探しているという。「Cyrix Plans to Have 233MHz M2 By Year-end」(Computer Retail Week,3/14)


●DECが超お買い得Alphaチップを発表?

 もうひとつMPUネタ。DECは今週月曜(日本では火曜)に、パソコン向けの低価格版Alphaチップを発表するらしい。「Low-Priced DEC Alpha Chip Next Week」(TechWire,3/13)によると、これは三菱電機と共同開発した「Alpha 21164PC」で、400MHz、466MHz、533MHzの3バージョン。価格は300ドルからとAlphaにしては破格値(Pentium IIの予想価格の半額)で、Pentium IIデスクトップと競合するという。これなら、Alpha-Windows NTワークステーションもありかも知れない。


●IE 4.0 プラットフォームプレビュ公開は3月末まで延期?

 思わず興奮してMPUネタばかり取り上げてしまったが、もちろんそれ以外にも先週はいろいろニュースがあった。まず、本当は3月17日に登場するはずだったInternet Explorer(IE) 4.0のプラットフォームプレビュー公開版の話から。「Security concerns delay release of Internet Explorer」(InfoWorld,3/11)によると、公開は2週間程度遅れて、3月の終わりからになるという。Microsoftの担当者が公式に認めているようで、他の記事にも同じ内容が登場しているので、これは確実だろう。原因は、先々週相次いで見つかったIE 3.0のセキュリティホールにあるようだ。しかし、Microsoftはまだミッドイヤーにファイナルリリースを出すつもりでいるという。「IE delay doesn't stop Microsoft from touting browser features 」(InfoWorld,3/12)


●MicrosoftはJava版Officeを開発中?

 Microsoftネタではスクープもあった。同社が、Javaベースのライト版Officeを開発しているというニュースだ。「All-Java MS Office Planned? -- Sources say Microsoft developing Java-based Office」(InformationWeek,3/10)によると、これはMicrosoftの開発陣に近い筋からの情報で、Microsoft側は、この話を肯定も否定もしなかったという。LotusもCorelもやっているのだから、全エリア制覇を目指すMicrosoftがやっていないハズはない?


●Windows CEではDVD、Java、ActiveXをサポート?

 先週は、MicrosoftがWindows CEをハンドヘルドPC(HPC)だけでなく広範なデバイスにOEMするという発表をしたが、それに関連してWindows CE 2.0のニュースも流れ始めた。Windows CE 2.0に関しては、今年始めから何度か報道されていたが、「Windows CE tuned for embedded OS, multimedia thrust」(Electronic Engineering Times,3/17)は、これまででもいちばん具体的だ。それによると、年内に登場するWindows CE 2.0では、Java、DVD、24ビットカラー、LANコネクション、ActiveX、Visual Basic scriptingなどがサポートされるという。つまり、DVDプレイヤでも、インタラクティブTVでも、インターネット端末でもなんでも来いというわけ。


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('97/3/17)

[Reported by 後藤 弘茂]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp