【ソフト】

レイアウトグリッドの採用でより自由なレイアウトが可能に

GoLive CyberStudioパブリックβ版試用レポート

GoLive CyberStudio '97/3/9 現地時間パブリックβ公開

 「これまでにない機能を備えたHTML作成ソフト」としてMACWORLD EXPO/Tokyoで注目されたGoLive社のGoLive CyberStudio(以下CyberStudio)のパブリックβが10日(日本時間)に公開された。CyberStudioは、Mac用に開発されたHTML作成ソフトで、対象機種はPowerPCを搭載したMacintosh、対応OSはSystem 7.5.5以降。編集部でさっそくダウンロードし、試用してみたので以下にレポートする。


 GoLive CyberStudioの特徴としては、まずレイアウトグリッドの採用により、自由なレイアウトを可能にした点が挙げられる。Javaスクリプト、Javaアプレットに対応しており、Javaエディタを内蔵している点も新しい。AppleScript、QuickTime、QuickTime VR、QuickTime3Dにも対応しており、QuickTimeムービーファイルなども簡単に配置できるほか、サイト管理機能も備えている。

●日本語表示

 WorldScriptおよび2バイト言語対応により、英語版βでも日本語対応している(コードはJIS、SJIS、EUCに対応)。設定で注意したいのは、「Preferences」メニューで、「Fonts & Scripts」で日本語フォントを指定しただけだと、HTMLソース表示モードで日本語が化けること。「Preferences」/「Source」の項目でもOSAKAなど日本語フォントを選択すると、HTMLソース表示モードでも問題なく日本語が表示される。  1週間試用した範囲では、日本語のハンドリングに問題はなく、英語版でも十分使えるという印象を持った。ただし、メニューなどはもちろん英語だし、HTMLファイル名に日本語を使うと、ファイル名表示にはCicagoフォントが使われているため、文字化けする。しかし、HTMLファイル名に日本語を使うことは通常ないので、実用上まず問題にはならないだろう。

●基本操作

 「palette」ウィンドウから配置したいオブジェクトに応じたアイコンをドラッグ&ドロップし、それについての詳細な設定は「Inspector」ウィンドウで行なう。  「palette」には5つのタブがある。タブは、さまざまな機能に対応したアイコンが並んだフローティングメニューのようなものだ。タブには、以下の5種がある。

Body Tags Tab
 はじめに開くのが、このタブ。本文部分に使用するオブジェクトを配置するための機能を集めてある。グラフィック、テキスト、QuickTimeファイル、Javaスクリプトなどが配置できる。グラフィックは「Inspector」ウィンドウでクリッカブルマップの指定もできる。
Forms tab
 Webサーバーでのアンケートなどでよく使われるテキスト入力エリアやポップアップメニュー、送信ボタン、リセットボタン、パスワード入力エリアなどを挿入する機能を集めたタブ。アンケート集計のようなページが自動で作れるような感じを受けるが、自動生成してくれるのはこうした入力エリアを表示するHTMLコードのみで、CGIまでは自動生成してくれない。

Header Tab
 HTMLファイルのセクションで使われる機能を集めたタブ。画面を一定の間隔で書き換えるRefreshタグを挿入するアイコンやスクリプトを挿入するためのアイコンなどがある。

Frames Tab
  フレーム分割機能を集めたタブ。フレームなしを含めて、13のフレーム分割パターンがアイコン化されている。フレーム分割するには、ドキュメントウィンドウでフレーム表示モードを選び、このアイコンをドラッグ&ドロップし、仕切り位置を調整するだけでよい。非常に簡単で使いやすい。

Project Tab
  サイト管理のための「Project Window」と合わせて使うタブで、サイト管理に便利な機能がアイコン化されている。

 ほかに、CyberStudioではカラーパレットを備えており、RGB、CMYK、256色パレット、グレースケール、カラーピッカー、パントーンカラーでの指定が可能。テキストや背景色の指定は、このカラーパレットウィンドウで選んだ色をドラッグ&ドロップで指定することにより行なう。また、HTML Tag Databaseも内蔵しており、HTML2.0/3.0/3.2のほか、Netscape2/3/4、Explorerのブラウザ別にサポートしているタグ一覧を参照できる。

●使用感

 やはりいちばんうれしいのは、レイアウトツールとして使える点だ。これまでのHTML作成ソフトはもちろん、HTMLコードを直接エディタで書いてもほとんど不可能だったようなオブジェクトの配置が、レイアウトグリッドの採用によって可能となっている。エリアを指定して、オブジェクトを読み込むなどの操作がQuarkXPressなどのDTPソフトと似ていることや、位置指定がピクセル単位でかなり細かくできるため、デザイナーにも支持される可能性があるソフトだ。

 グラフィックやQuickTimeファイルなどは、Inspectorウィンドウで参照して指定できるほか、ファインダからドラッグ&ドロップで配置することもできる。グラフィックではクリッカブルマップの指定もGUIでできる。テキスト入力エリアなどのクライアント側で入力するエリアも簡単に作ることができる。
 リンクの指定も、ドラッグ&ドロップなどの簡単な操作で可能だ。
 また特筆したいのが、HTMLソースがきれいなことだ。アウトラインモードでHTMLソースを構造的に表示する機能もあり、HTMLソースを編集したいユーザーにも勧められる。レイアウトモードとHTMLソースモードもクリックひとつで簡単に切り替えられる。ブラウザモードも持っているので、HTML作成中にいちいちWebブラウザと切り替えて確認する必要がないのも使いやすい。

 ただし残念なのは、β版のためか、いちばん手で書くのが面倒な表作成に問題がある。表のセルの幅をはじめに指定して、テキストやグラフィックを入れると、あとから入れたテキストやグラフィックの幅だけ広がってしまうのだ。これでははじめに指定しても意味がない。このβ版を使う限りでは、セル幅の指定などは中に入れるべきものをすべて入れた後でしなければ二度手間になるので注意してほしい。また、このβ版ではたまにシステムエラーが起こるので、他の使用中アプリケーションのドキュメント保存を忘れないようにしたい。
 ほかに、QuickTimeやQuickTime VR、QuickTime 3Dに対応しているが、プラグインはふだん使っているブラウザからCyberStudioフォルダの中にある「Plug-ins」フォルダにコピーしておく必要があり、これをしておかないとQuickTimeなどは動かないので注意。

 サイト管理は、プロジェクトごとにプロジェクトファイルを作り、その中に含まれるファイルを管理する機能で、プロジェクト内のファイルの相互リンクなどもチェックできる。ただし、PC Watchサーバーのように数千、数万という単位でファイルがある場合には、グラフィカルに表示できるプロジェクト管理はあまり役に立たないかもしれない。

 レイアウトモードでオブジェクトが掴みにくいなど、細かいところで不満がないわけではないが、β版を使ってみた感じでは、はじめて「ソフトを使う意味がある」と感じられるHTML作成ソフトだと言える。これまでのHTML作成ソフトでは使う気になれず、ずっとエディタでHTMLコードを書いていたのだが、これなら使ってみようという気になった。
 英語版βという現段階でのいちばんの問題は、簡単な英文リファレンスしかないこともあり、非常に多い機能を使いこなすのに少々骨が折れることかもしれない。

●パブリックβのダウンロード
 パブリックβをダウンロードするには、GoLive社のWebページでβテスターの登録をする必要がある。登録受け付け後、GoLive社から折り返しユーザー名・パスワードがメールで送られてくる(ただし全自動ではないらしく数日かかる場合がある)ので、ダウンロードページにはこのユーザー名・パスワードを使用してログインする。
 ダウンロードページには、CyberStudio(3.3MB)のほか、System 7.5.5および7.6でCyberStudioのクラッシュを防ぐ機能拡張書類「ObjectSupportLib 1.2」、現在の唯一のマニュアル、「CyberStudio Beta35 Short Reference(英文)」が置いてある。「ObjectSupportLib 1.2」は英語版システム用の機能拡張なので筆者はまだ試していないが、「CyberStudio Beta 35 Short Reference」のほうは、実際に使ってみるならどうしても必要だろう。現在配布中のパブリックβは4月15日までの期間限定で使用できる。
 なお、日本語版は、株式会社ソフトウェア・トゥーが5月発売を予定している。

□GoLive社ホームページ
http://www.golive.com/

('97/3/17)

[Reported by hiroe@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp