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山田久美夫の「MACWORLD Expo/San Francisco 1997」会場レポート


MOSCONE SHOW SHOW

 Appleにとってまさに歴史的なイベントとなった「MACWORLD Expo/San Francisco 1997」が、さる1月7日から10日までSan FranciscoのMOSCONE CONVENTION CENTERで開催されている。今回は新世代OSを含めた将来のビジョンの発表はもちろんのこと、それ以外にもソフト、ハードとも見どころの多いショーとなっている。


●インターネット環境の充実が図られたMac OS 7.6

Mac OS 7.6
 まず、その筆頭は新バージョンのOSである「Mac OS 7.6」だ。このOSにはさまざまな特徴があるが、なかでもインターネット環境の充実が強調されている。同社はこれまでもインターネット接続用キットを販売していたが、今回のOS 7.6では、最新の同キット(NetscapeナビゲーターやクラリスのEmailer Lite含む)やOpenDoc1.1.1、CyberDog1.2などを標準装備することで、快適なインターネット環境を供給するという。また、QuickTime 2.5を始めとしたマルチメディア環境の充実なども重要なポイントとなっている。アメリカでの発売は1月31日で、価格はフロッピー版が129ドル、CDは99ドル。OS 7.5からのアップグレード版はそれぞれ99ドル、69ドルとアナウンスされている。  実際に、会場内で最大のスペースを誇るアップルブースは、ブースの中心に「MacOS 7.6」のスペースを配置。さらにそのすぐ横ではSun上でMacOSをシミュレートするソフトのデモを行なっていたのが興味深かった。


●今回のショーの目玉のひとつ「QuickTime VR 2.0」

QTVR用カメラ QTVR用カメラ
 Mac OS 7.6と並んで、今回のショーの目玉としてデモが行われていたのが「QuickTime VR 2.0」だ。この機能拡張モジュールを使えば、3Dやパノラマ映像を使いモニター内を仮想空間として自由自在にエンジョイできるというもの。なかでも個人的に興味を持ったのは周囲360度の範囲を仮想空間として楽しめる実写によるパノラマ映像化。もちろん、このような写真は通常では撮影できないので、すでに数社から撮影用システムが発表されていた。まず、なかでもBE HERE社の特殊なミラーを使った専用レンズキット(カメラはコダック・DCS460)、KAIDAN社のパノラマアダプター(カメラはPIXERA)などのようにデジタルカメラの装着して高画質な映像を撮影したり、radiusのようにビデオカメラをパンさせて撮影する方式などが興味深かった。この「QuickTime VR 2.0」は今年後半ころに登場する新MacOSに搭載されるようだが、それ以前にWeb経由での配布が始まるようだ。また、オーサリング用ツールの発売も近いという。


●ハード関係も盛りだくさん

20th aniversary Mac PowerBook 1400C/133

 ハード関係も盛りだくさんだ。まず、昨日のアメリオ氏のkeynoteの最後で紹介されたAppleの20周年記念モデルが会場内のMac専門誌ブースにアクリル越しに展示されていた(写真左)。 液晶モニターとCD-ROMドライブを一体化した超薄型の本体と、その横にはスピーカーメーカーとして有名なボーズがデザインしたというスピーカー。さらにトラックパッド付きのブラックキーボードとかなり前衛的。さすがに人気も高く、前後左右から何枚も撮影している熱心なユーザーの姿も数多く見られた。
 Apple自身の製品としてはこのほかにも発表されたばかりの新型PowerBook1400C/133などもかなりの人気を博していた(写真右)。

Exponential X704インレタを貼る
 また、昨秋のCOMDEXで登場したクロック数533MHzという「Exponential X704」はAppleブースはもちろん、Motorolaブースでも「StarMax」として展示され、盛んにデモが繰り返されていた。いずれも「Adobe Photoshop」を使ったものが中心で、その早さをとにかく体験しようという人が多かった。とにかく、現状の2倍以上のクロック数になるうえ、グラフィック分野で活躍しているMacintoshだけにその注目度はきわめて高かった。もっとも開催初日には、デモをしながら、ロゴなしのボディーにX704のロゴをインレタで貼る姿(写真)も見られ、とにかく間に合わせたという感じもしたが……。

インレタを貼る
 IBMはMac OSよりもPowerPCの優位性を中心としたデモを行ない、Pentium 200MHzやシリコングラフィックスのマシンで同じ処理を行ない、処理時間の短さを強調するという、もっともシンプルだが確実で分かりやすいデモを繰り返していた。

12,000MHz相当のシステム
 今回のショーでは、比較的容易に高速処理を実現できるマルチプロセッサーマシンが注目を浴びていた。このマルチプロセッサー化に早い時期から取り組んでいたDayster DigitalはPPC604e/200MHzを2つ、もしくは4つ搭載し、それぞれ400MHZ、800MHzという表示とともに同社のマシン、Genesisのデモを行なっていた。また、同ブースではGenesisを16台使って12,000MHz相当のシステムを制作しての動画編集デモも同時に行なっていた(写真)。

Power Computing
そして今回、とくに派手で大がかりなデモを行なっていたのがPower Computingだ。250MHzのPowerPCを2つ搭載したマルチプロセッサーマシン「Power Tower Pro 250MP」を中心とした展示をしていたが、それよりもユーザーの関心をよんだのは、例の「BeOS」を使ってのデモだったのはちょっと皮肉な感じもした。


●話題のBe OSなど、ソフトウェア展示

Be go Mac
 Appleの次期OSのベースとなるという噂まで飛び交った、話題の「Be OS」。おそらく、今回のEXPOでもっともエキサイティングなデモンストレーションをしていたのは同社ではないだろうか? Beは今回、Be OSのもつポテンシャルの高さを多くのMacintoshユーザーにアピールできた。なにしろ、同社のデモでは、Be OS上で“Mac用アプリケーション”が動き、そのバックグラウンドではBe用アプリケーションを複数立ち上げておき、しかも5つものウィンドウでムービーをほぼフルモーションで同時に動かしてみせるのだから、その迫力は圧倒的(そのなかの2つのウィンドウがセーラームーンだったところが、いかにもBe OSらしい。いまのAppleにはそんな雰囲気はなさそうですよね)。このデモにはかなり感動したし、確かにこれなら次期Mac OSのベースとなる可能性は十分にあると素直に思ってしまった。

 さて、今回のショーに合わせてMac用の「Internet Explore3.0」と「Front Page」を発表したマイクロソフト。近年Macintoshへの対応が遅いといわれ続けていた同社だが、ここに来てようやく登場したという感じだ。私には南会場のメインエントランスの正面に掲げられた「go Mac」という巨大なディスプレイ(写真右)がなんとも皮肉に思えたのだが……。

('97/1/9)

[Reported by 山田久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp