【イベント】

COMDEX Fall'96 レポート

山田久美夫のCOMDEXデジタルフォトレポート(その1)

'96/11/19 取材

 【第二日目】

COMDEX
日立のブースはMPEGカメラ関係で終始にぎわいを見せていた。もっとも、初日の朝は、各社のデジタルカメラ担当者が勢揃いし、なかなかの眺めでもあったが…。

 日本のショーほどではないが、ここアメリカでもデジタルカメラに対する注目度は日に日に高まりつつある。とはいっても、まだアメリカでは、パーソナル向けのデジタルカメラ自体がそれほどポピュラーなものではなく、各社とも今回のCOMDEXあたりを境に本格的な展開を図ろうとしている感じだ。

 いまや日本が最先端の市場となっているだけあって、COMDEXのいくつかの会場(会場が市内数カ所に分散している)を見て歩いた感じでは、国内未発表のモデルはほとんど見当たらなかった。しかし、日本のショーではまだ姿を見せていないモデルがいくつもあり、なかなか興味深いショーとなっている。

 今回の取材は「リコー・DC-2L」と「SONY・CyberShot」と、印刷原稿用として「キヤノン・EOS-DCS3」(130万画素モデル)を携えて会場を回っている。つまり、肩からEOS-DCS3、手にはDC-2L、そして必要に応じて胸ポケットからCyberShotを出して、周囲の人の反応を見ながら取材しているわけだが、その反応たるやかなりなもの。下手をすると、人だかりで質問責めに合うほど。こちらでは、まだまだ物珍しさが先に立っており、なかりエキサイティングなものと映っているらしい。しかし、価格をいうと、口を揃えて”高い!”といわれ、やはり500ドル以下じゃないと・・・という声が多かった。逆に一眼レフタイプのEOS-DCS3が液晶がないせいか”普通のプロ用カメラ”という感じで、あまり反応はなかった。やはり、アメリカでも液晶つきがデジタルカメラのスタンダードという感じになりそうだ。

●注目度No.1の日立・MPEGカメラ

MPEG Camera
MPEGカメラの正面像。なかなかスッキリとしたデザインで、機能を考えればサイズも手頃だ。

 やはり、デジタルフォト関係で今回のCOMDEXで一番注目されたモデルは、いうまでもなく「日立・MPEGカメラ」だ。本機はすでに日本で発表されているが、実際に実機の展示/デモが行われるのはこのCOMDEXが世界で最初のものとなった。

 「意外に小さいなあ~」というのが、実機を目にしての第一印象。記録媒体にPCMCIA TYPE3の260MBハードディスク(信頼性を考慮して、一応、専用のものを用意したという)ということで、もっと大きなものを想像していたが、「DC-2L」とほぼ同じサイズで少し厚いくらい。手にした感じもなかなかホールドしやすく、これなら常用機として使えるなあ~と思ったくらい。

 フルモーションのビデオ(音声つき)で20分、静止画(音声なし)では3,000枚もの撮影が可能。

 静止画は標準のJPEGフォーマットで、画像サイズはVGA。39万画素のビデオ用だが、フレーム画像として記録されるため、クォリティーも期待できる。もちろん、JPEGなので、その画像を直接画像処理ソフトで扱えるので、かなり便利そうだ。もっとも、MPEGファイル管理の関係上、ハードディスク内のファイルを操作する場合には専用ソフトを利用することを推奨している。

 バッテリーは充電タイプで、40分の撮影ができ、充電時間も90~100分と実用レベルだ。

 さて、気になるのはその価格。どうやら、アメリカでは本体と接続キット(ISAボードつきとECPモデルがある)などすべて込みで、2,500ドル前後になりそう。また、近い将来は直結式のサーマルプリンターも計画中という。

 いろいろな可能性を秘めたモデルだけに、今後の展開が楽しみだが、個人的にはAFで6倍ズームで、携帯性もよく、撮影枚数の制約が少ないため、取材用の静止画&動画兼用機として、とても魅力的なモデルに感じられた。やや価格が高いような気もするが、はやく実際に使ってみたいモデルだ。


MPEG Camera 裏面には液晶と操作部が並ぶ。よく整理されており、中央のパッド型の操作部でほとんどの操作を行う。シャッターボタンは操作バッド下にあるが、ややわかりにくく、静止画カメラとして考えると、シャッターチャンスを掴むのにやや慣れが必要な感じもする。

MPEG Camera MPEGの動画ファイルやJPEG静止画ファイル、音声つきファイルなどが混在することになるが、その管理方法もなかなかよく考えられている。液晶表示も見やすかった。

MPEG Camera 接続キットに附属されるISAバス用のMPEGボードの心臓部。

MPEG Camera ISAボードの全景。接続キットにはこのボードも含まれているので、すぐにMPEGを快適に楽しめる。

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('96/11/20)

[Reported by 山田 久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp