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ギョーカイの噂
なぜ、E3はこんなにも国内では盛り上がらなかったのか?

任天堂もSEGAもSONYもいないE3/Tokyo'96

'96年11月1日〜11月4日 開催
会場:幕張メッセ

E3/Tokyo'96
 E3(Electronics Entertainment Expo)は、今や世界最大のゲームイベントだ。このイベントは、そもそもアメリカにおいて家電イベントのWinterCESからゲームメーカーをはじめとするエンターテインメント系ソフト・ ハードメーカーが袂を分かつ形で'95年の5月に開催されたのが始まり。'95年の初回は、ロサンゼルスの世界最大級といわれるコンベンション・センターで開催され、一般入場がなかったにもかかわらず3日間で4万人以上という入場者を記録。初回から大成功をおさめた。今年3月にも第2回が同じ場所で開催され、こちらも大盛況となった。

 そのE3の日本出張版が今回のE3/Tokyo'96なのだが、会場へ出向いてみればいやはやお寒い限り。

 出展社も会場展示も“これがE3?”と思えるものばかりで、E3とは「Electronic Edutainment.etc」の略称なのではないかと考え込んでしまった。ゲームと直接関連のあるメーカーは10社にも満たない状態で、家庭向け教育用ソフトなどばかりが目に付いたからだ。開催前にウワサされていたマイクロソフトの大物出展もなければ、全体の展示スペースも幕張メッセの1小間と小さく、会場では入場者の姿もまばらだった。隣の会場で約2倍のスペースをとって同時開催されたPlayStation Expoがなければ、入場者数はさらに少なかったのではないだろうか?(E3の入場券でPlayStationExpoへの同時入場ができるようになっていた)。
E3/Tokyo'96

 E3/Tokyo '96と言えば、開催が決定した段階で“あのE3が日本でも”などというでっかい触れ込みでプレス発表会を行なったぐらいで、その当時はそうとう気合が入っていた。発表会には筆者も出席したのだが、主催者のひとつであるテレビ朝日側は、できたばかりの新部署を担当にあて、新聞やテレビでも大々的にアピールすると意気込むなど、その力の入れようが伝わってきたものだ。ところが、当初9月開催だった予定は東京ゲームショウに出展社をさらわれて出展社が集まらず、延びに延びてようやく年末近い11月の開催が決定。そしていざ蓋を開けてみればこの寂しい限りの内容だ。

 こうした背景には、本国アメリカと日本での大きな「事情の差」がある。

 まず、アメリカの事情を説明しておこう。アメリカでは、E3いうイベントはエンターテイメント系ソフト・ハードメーカーにとって唯一の大規模イベントであり、なおかつ家電系イベントの発展系でありながら、PCのゲームソフトメーカーにも門戸を広げた幅広いイベントとなっている。会場を見てみれば、任天堂SEGASONYなど、サターンやPlayStationなどでおなじみの3大家庭用ゲーム専門機メーカーが巨大なブースを設け、さらにElectronic ArtsやVirgin InteractiveEnterteinmentなど、ワールドワイドで活躍している大きなソフトメーカーが多数出展している。また、中小規模の無数のメーカーなどが山のように出展しており、会場は大賑わいだ。これはまさにエンターテイメント系の市場規模の大きさを如実に表していると言っていいだろう。

 これが日本国内となると、途端に寂しい実情が浮かび上がってくる。まず、国内では大きな市場を持っているはずの家庭用ゲーム専門機系、そしてゲームセンターなどでおなじみのアーケード系のハード・ソフトメーカーがE3/Tokyo '96に出展していない。また、国内のPCゲームソフトメーカーに関しては、その大半が日本のみでの活動ということもあり、イベントにかけられる資金力が全然違って展示内容も小粒にならざるを得ない(だいたいアーケード、家庭用ゲーム専門機系のほうがお金持ちだったりする)。また、関連企業数がアメリカと違って非常に少ない。

 もともと家庭用ゲーム専用機やアーケード機のお家元である日本は、すでにさまざまな定例のイベントが存在し、ざっと上げるだけでも、アーケードゲーム系のAMショー、家庭用ゲーム専用機系ではおもちゃショー、今年から始まった東京ゲームショー、さらには任天堂の初心会、今回同時開催されているPlayStation Expoといったところがあげられる。さらにPC系ではWindows World ExpoやWorld PC Expo、NECのパソコンフェア(かつてはPCEngineという家庭用ゲーム専門機系も大きく展示されていたがPC/FXになってどうなったのかは知らない)など、確実な集客が見込める大規模なイベントはすでに目白押しなのだ。

 E3が日本で大規模なイベントを行うのであれば、どうしても家庭用ゲーム専門機系メーカーを取り込む必要があるが、こうも既存イベントが詰まっている現状では至難の技。結局、家庭用ゲーム専用機メーカーを取りこめなかったことで、いもづる式に関連企業を取り込むこともできず、イベントの規模も地味なものとなってしまった。

 これが日本のエンターテイメント系イベントの現状であり、今回のE3/Tokyo'96の惨状につながったと言うことができる。


 来年はアトランタでも開催が決まっている本国アメリカのE3。カナダやシンガポールでの開催も計画され、全世界を行脚するEntertainment版のWindows World Expoを目指しているのだろうが、アーケード/家庭用ゲーム専用機王国日本では、どうも思惑どおりに事はすすまなかったようだ。現実はキビシイ。

□Electronics Entertainment Expo/Tokyo '96のホームページ
http://shop.fsi.co.jp/IDG/e3_96.html
□出展社リスト
http://shop.fsi.co.jp/IDG/e3/e3_list.html

('96/11/5)

[Reported by 右高 千尋]


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