NECは、PC98シリーズの普及機種「Value Star」シリーズのラインアップを一新した。全機種に32MBのRAMを標準装備したことと、
アメリカンサイズの外観と派手な色合いのデジタルカメラ「CPー100」。その改良モデルとして今日、「CP-200」が発表された。今回のモデルは、本体を小型にし、液晶モニターを装着できるようにしたもの。いっけん、単なる改良型のように見えので、あまり期待はしていなかったけれど、実は中身が大幅に変わっていた! そこで今回は急遽、発表会の会場で触れた超ミニミニハンドインプレッションをお届けしよう。
今回の見どころは、液晶モニターの採用でもなければ、幅が狭くなったボディーでもない。実は見た目ではなく、その写りなのだ。従来からCP-100の画質のよさには定評があったが、レンズの画質が悪いことが大きなネックとなっていた。
しかし、会場のデモでモニター上に写っていた画像は、なんだかとってもシャープだし、画面の周辺までもキレイ。おやおや?と思い、その場で撮影させていただいたものが、ここに掲載した画像だ。従来はあれほど目立っていた画面周辺部の色収差が消え失せ、画像の輪郭もシャープになっている。どことなく、C-400Lに似たシャープさがあり、なかなか素直でいい感じだ。
そう思ってレンズを見てみると、確かに従来とは違った顔つきであり、画質もかなり改良されているようだ。レンズがネックといわれていただけに、この改良には大きな意味がある。
一方、CP-100の魅力的な個性であった、あの派手な色再現は「CP-200」にはない。「CP-200」の発色はあくまでもナチュラル指向。これはこれでいいと思うが、逆にいえば、エプソンを選ぶ大きな理由がひとつ減ったといわざるを得ない。個人的には結構好きな色味だっただけに、あのような傾向の色再現はもはや「オリンパス・C-400L」でしか得られない世界になってしまいそうで、個人的には残念だ。
外観も大きく変更されている。とはいっても、基本的なデザインコンセプトは相変わらずで、”大きなコンパクトカメラ”という雰囲気もなんら変わっていない。しかし、横幅はかなり短くなり、本体だけなら、結構小さくなった感じがする。もっともDS-7と比べると、まだまだ大きいことには変わりないが……。
そして今回は、いよいよ待望の液晶モニターが採用された。とはいっても、完全な一体型ではなく、無理にあとからくっつけたという感じに装着するもので、なかなか丈夫そうだがどこか不安感がある。また、液晶は回転するため、ローアングルやハイアングル撮影も容易だ。
液晶はTFT式というが、その割りにあまりシャープさでもクリアでもなく、ピントの確
認は困難なレベル。イメージ的にはフジ・DS-7の液晶に近い感じだ。また、液晶モニター装着時だけマクロ撮影ができ、液晶モニター側のマクロスイッチを押すと20cmまでの接写が可能になった。
もっとも、基本的には光学ファインダーがメインで、液晶はあくまでも予備という感じ。電池の消耗も結構おおそうで、会場ではバッテリーマークがフルの状態で撮影をはじめたものの、あっという間に電池レベルが減っていった。
取り込みソフトは今回かなり高機能で使いやすいものとなっている。従来のような味気ないTWAINドライバーとは大違いだ。取り込み画像の一覧表はもちろん、カメラの設定か
らフレーム付けまでやってのける。しかも、操作性がなかなかよく、これは大きな魅力。最近のエプソンのドライバーは、デザインもオシャレになり、機能も向上しているので好感が持てる。
また、転送速度も高速で、1コマ約10秒で転送OK。今回は2MBの内蔵メモリーで30枚の 撮影ができるようになっており、ファイルサイズも比較的小さいが、それでもこの速度での転送は楽チンだ。これなら、内蔵メモリーを増設しても、なんとか実用レベルになりそうだ。もっとも、いまさら内蔵メモリー専用機じゃ……という感じがなくもないが……。
今回はプリンターの発表がメインということで、デジタルカメラに関する説明は一切ナシ!! 同社の説明でも「デジタルカメラはプリンターへの”単なる入力機器”という位置づけですから・・・」と明らかに軽視している。つまり、現在のデジタルカメラでは、今回発表したような高画質で高速なプリンターの実力を発揮できないという判断だ。実際にプリンターのサンプルは、高画質な銀塩フィルムから業務用ドラムスキャナーでスキャンしたものばかり。サンプルとしては、確かにいいかもしれないが、そのプリンターを購入する一般ユーザーは、普通のスキャナーや、今回のようなデジタルカメラで撮影したものをプリントするのではないだろうか? エプソンは一体、このプリンターで何を出力するつもりなのだろう……。
また、プリンターはパソコンの周辺機器としての需要以外は考えにくいが、デジタルカメラはパソコンユーザー以外の多くの一般ユーザーもが対象となる可能性がきわめて高い商品だ。それだけに、発表会での説明は意外過ぎるほど意外で、大いにガッカリしてしまった(デジタルカメラは今年から来年にかけての目玉商品であり、この発表会の重要な柱だったはずなのに……なぜ?)。このような生半可な考え方では今後激化するデジタルカメラの世界で、いいポジションを獲得するのは困難だろう。カメラ自体がいい方向に進歩しているだけに、これはとても残念だった。
○日本IBMのニュースリリース
http://www.ibmlink.japan.ibm.co.jp/cgi-bin/search.pres?cmd=BRWS&hdoc=PRES0729
('96/10/17)
[Reported by date@impress.co.jp]