【ソフト】

一太郎7 特急レポート

TEXT:塩田紳二

一太郎7
'96/9/13 発売

標準価格(製品版):40,000円

製品問い合わせ先:株式会社 ジャストシステム
         インフォメーションセンター
         Tel.0886-55-8300、03-5412-3939、06-886-9300


 このまえ、PC EXPOの原稿を頼まれたとき、「一太郎出たらよろしくね」と言われていた。ほかからも、一太郎の原稿を頼まれてしまって、うちには2つも一太郎7が来てしまった。
 なんと家族の約67%、3人に2つの一太郎7がある勘定である。テレビコマーシャルでは「革命」といっていたが、我が家は「一太郎帝国の侵攻」といった感じである。なお、筆者は、ATOK9のユーザーであったことはあるが、一太郎のユーザーであったことはないので、それほどの思い入れがない。否定的な表現もあるかと思うが、それは、非ユーザーとしての感想である。一太郎を常用されている方からみれば(あるいは、前バージョンとの比較という立場で見れば)、改善されている点は数多くあるので、こうした世間の評判はそれほど気にしないでほしい(世間の評判に流されない人ってスキだなあ)。

 今回のバージョンはテレビコマーシャルなどもやっていたため、興味のない人でも一太郎のバージョン7が出ることぐらいは知っていると思う。このコマーシャル、無名の兄ちゃんが出てるのかと思ったら、NHKの「大地の子」の主役「陸一心」の人ではないか(朝の連続テレビ小説にも出てるらしい)。人気急上昇(と女房はいっていた)の俳優を使うとはさすがジャストシステムである。その大地の子で、主人公は一生懸命日本語を勉強していた(しらない人のために解説するが、いわゆる中国残留孤児で、中国の親切な夫婦に育てられたという設定である)。その上川隆也(俳優の名前)が宣伝するのが、日本語にこだわる一太郎7である。

 今回の製品については、ジャストシステムでは、「洗練されたユーザーインターフェース」、「美しい日本語レイアウト」、「最先端の日本語処理」、「一太郎で世界にアクセス」(製品付属の「セットアップ&オーバービュー」より)という特徴を挙げているが、ATOK10と文書校正支援機能以外は、あまり魅力を感じない。これは、原稿書きが中心で、図をいれてレイアウトするような文書を作らないからで、そういう用途向けには魅力的な機能がなかったからである。どちらかというと、「文章を作成する」ではなく、「文書を作る」ことに寄ってきているというのが印象である。たとえば、「ランク」、「ビュー」、「サイドノート」といった機能はなくなってしまったが、アウトライン編集(見出し編集)が付いたわけではない。ドラフトモードもあるが、段組みをするとウィンドウいっぱいに行を表示することもできない。

図形枠の流し込みや回り込み  そのかわり、図形枠に沿った文章の回り込みや流し込み、本文が枠をよけるやりかたが指定できるなどのレイアウト機能はかなり使いやすい(左図参照)。Wordはこのあたり、思い通りに枠がおけなくてイライラすることがあるが、一太郎にはそんなことはない。また日本人が大好きな罫線を使った文書(表みたいになったやつ)作成においては、さすが国産という感じである。マウスで自由に線や枠が書け、その中に自由に文字を入れることができる。

 反面、日本語のプロポーショナルフォントとか、欧文、和文のベースライン調整、メニューのカスタマイズなんかは、すでにWordで実現されていた機能に追従しただけで、目新しい機能ではない(前バーションとの比較という意味では機能アップしたポイントなのだが)。今回のバージョンアップでは、32bit化とWindowsの標準的なスタイルの取り込み、そしてコンポーネント(OCX)化という目に見えない部分に労力を取られてしまったような感じで、ワープロとしての基本機能ではそれほど進化していないような気がする。

 これに対してATOK10は、あいかわらずの安定した変換(少なくとも意味不明の変換をほとんどしない)にさらに磨きをかけるように係り受け解析機能が強化され、同音異義語の変換ヒット率が向上した。対象は1文全体となり、より正確に解析が行われる。しかも、文節単位の細切れ入力でも、効果があるという。筆者のように、単文節入力中心のユーザーにもメリットがあるのだ。  ATOK10のもう1つの特徴は、入力時の文書校正支援である。「山の上の雲の色」のように助詞の「の」の連続を入力時に検出して、指摘することができるため、入力段階でこうした文章を書かずにすむようになる。同様な機能に「食べれるしー」という「ら抜き表現」や「曖昧な修飾関係」の指摘がある。もちろん、ちゃんとIMEの仕様に準じているので、他のアプリケーション中でも利用可能である。残念なことに一太郎と組み合わせて、未確定入力文字を挿入モードで入力することができず、未確定文字が右側の文字を覆い隠してしまう。一太郎との組み合わせでこれはないだろうという感じだ(Word+ATOK10の組み合わせではちゃんと挿入モードで入力できる)。逆を言えば、一太郎7は、ATOK以外のIMEを使えるということだ(あんまりうれしくはないか)。

「表記のゆれ」  日本語の校正支援などもあいかわらず出来がいい。今回のバージョンでは、単語の読みや同音異義語を調べることもでき、半自動でルビを振ることもできる。「表記の揺れチェック」でも、単語を読みにしたがってソートしてくれる(右図参照)ので、「アメリカ」、「亜米利加」という表記の混在を検出することができるのである(さすがに米国は検出してくれなかったが)。

 Wordユーザーの筆者としては、アウトライン機能など文章作成段階での機能が弱いため、乗り換えようという気はおきなかったが、ATOK10や入力文章の校正機能のためだけに利用してもいいかな? ぐらいの気にはなった。聞けばキャンペーン中で実売価格も1万円を切っているところもあるとのこと。一太郎7、これは一応「買い」である。

('96/9/19)

[Reported by 塩田 紳二]


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