【法林岳之の非同期通信レポート】

法林岳之の非同期通信レポート 第9回

WORLD PC EXPO 96で見つけた注目ハードウェア

TEXT:法林岳之


 当初、1日目からレポートするはずだったが、原稿の締め切りに追われ、最終日に行くことになってしまった。朝一番に自宅を出て、11時前には幕張に到着。他の周辺機器に関しては、すでに編集部や塩田紳二氏がレポートしているので、とにかく通信関連機器に的を絞って面白いものを探すことにした。土曜日ということもあり、ものすごい人出。とにかく圧倒されてしまった。

 会場をひと回りしてみると、Windows World Expo'96、Networld+Interop '96と続いたためか、目新しい通信機器がない! モデムもTAもルーターもすでにレポートしたものばかり。これは困った……。


●日本法人設立間近のU.S.RoboticsからCourier I-modem登場

 すでに一部で報じられているが、今秋、いよいよU.S.Roboticsの日本法人が設立される。今回も代理店であるインテグランが製品を展示していたが、目を引いたのがCourier I-modemだ。

Courier I-modem #1 Courier I-modem #2
 U.S.Roboticsの製品群の中でもCourierシリーズはハイエンド向けの主力製品。今回展示されていたCourier I-Modemは同社のV.34対応モデムCourier V.EverythingをISDNターミナルアダプタに発展させたもので、海外では最も人気の高いISDNターミナルアダプタのひとつ。

 機能的にはCourier V.Everythingが持つV.34/33.6kbpsモデムの機能に加え、非同期通信はV.110及びV.120に対応、非同期/同期PPP変換による同期通信にも対応。アナログポートを備えたモデルもラインナップされている。

 気になるお値段はやや高めに設定されそうな気配。詳しいことは日本法人の設立時に明かされることになるはずだが、おそらく年内には出荷されるはずだ。なお、日本法人の設立は来月初旬という説が有力だ。

 以前、BitSURFER Proの発売をレポートしたが、U.S.RoboticsがCourier I-modemをローカライズすることにより、ISDNターミナルアダプタは世界レベルでの激戦区になる。今後の各社の動向に注目したい。


●ペンタイプの巻き取りくん?

SONY Modular Cable  デジタルカメラのDSC-Fが注目を集めていたソニーだが、その横にちょっと妙なものを見つけた。

 写真ではちょっとわかりにくいかもしれないが、モービルユーザーには有名な巻き取りくんのペンタイプというわけだ。従来の巻き取りくんとの違いは、ペンタイプなのでどこかに引っかけておくことができることと、カールコードを採用しているところ。なかなか便利そうなアイテムだ。

 ただ、サイズがやや大きく、ペンというよりは太マジックに近い。11月に2,500円で発売される予定だ。でも、よく考えたら、ソニーってPCカードモデムって発売してなかったような……。ソニーらしいアイデアが詰まった製品を期待したい。

 ちなみに余談だけど、注目のDSC-F1も触ってきた。確かにコンパクトで使いやすそうなんだけど、個人的に最も注目しているのは赤外線ポート標準装備であること。だいたい、1万円も出して変な専用ケーブルを買わなきゃいけない他のデジタルカメラがどうかしてる。その点、いち早くIrDA準拠の赤外線ポートを標準で装備したソニーはエラい。他のメーカーにも見習って欲しいなぁ。



沖電気から低価格ISDNターミナルアダプタやっと登場

PCLINK TA212  昨年のMN128の発売以来、各社から低価格ISDNターミナルアダプタが次々と発売されたが、PCLINK TAシリーズなどの人気機種を販売していた沖電気はまったく音沙汰がなかった。

 今回のショーでは先週のレポートでもお伝えした新製品PCLINK TA212/201が展示されていた。TA212の方は非同期/同期PPP変換による64kbps同期通信モード、V.110/38.4kbps非同期通信モードをサポートしており、アナログポートも専用分岐コネクタによる2ポート装備。TA201の方は非同期/同期PPP変換による64kbps同期通信モードのみをサポートし、アナログポートは1ポートとなっている。

 筐体は同社のモデムのものを流用したスリムなもので、縦置きが標準となっている。写真手前にある小さな白い箱は専用DSUで、こちらは1万5,200円と安い。ただ、このDSUはバス配線ができない、つまり他のISDN機器が接続できないという特殊なもの。老舗メーカーなのに、どうしてこういうヘンなことをするのか……。まあ、何はともあれ、実機が出てきたので安心。PC Watchでも近く試用レポートを掲載する予定なので、お楽しみに。



●アジア最大なのはいいけど……

 最後に、製品には関係ない余談を少し……。WORLD PC EXPO '96は開催前の宣伝が大々的に行なわれたためか、入場者数も20万人を超え、大盛況に終わった。特に、私が行った土曜日は凄まじい人出だった。

 ただ、正直なところを言わせてもらうと、これだけ来場者数が多いと見るのもツラくなってしまう。もし、一人のユーザーとしてたずねていたら、途中で見る気を失っていたかもしれない。もう少し広いスペースで見られるようにできないのだろうか。

 その上、会場の暑いこと。立っているだけでも汗が流れてくる。おそらく空調もフルに効かせているのだろうが、それでも暑い。実は会場外の方が涼しく感じるほどだった。やはり、来場者数の割に会場が小さすぎたのかもしれない。

 また、意外に目についたのが家族連れ女性。日本のパソコンユーザーもここまで広がったかという感じ。そろそろパソコンのショーにも託児所が必要になるかもしれない。女性の方はカップルで来ている人たちが多かったが、女性一人でカタログを集めたり、製品を見入ってるシーンを何度も見かけた。パソコンが普及するにつれ、今後は女性の来場者の比率も増えるのだろうか。

[Reported by 法林岳之]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp