【リレー連載 物欲道修行記】

リレー連載 物欲道修行記

第2講  業界通情報講座 講師:一ヶ谷兼乃

 本講の講師、一ヶ谷兼乃氏は、業界人の中でも業界通で知られる。おいしい買い物をするには、まず氏に相談せよという合い言葉が一部にあるように、アウトレットの出物から、メーカー品まで守備範囲は幅広い。PC Watch編集部でも8月17日の土曜日、師の導きにより、DELL XMT590(中古)を85,000円という価格で入手した。Pentium 90MHz、16MBメモリ、1.1GB(EIDE)ディスクを搭載、状態も良く、たいへん快調に動いている。氏の言葉に耳を傾けることによる御利益はかようにあらたかであるので、心して講座を読んでほしい。(編集部)


Pentium Proのススメ(やっぱりP6は偉かった!)


 今回、私が購入したのはPentium Proのマザーボード。そのきっかけはPentium Proへの憧れに過ぎなかったのだが……。

Pentium Proは速くない?

 いまやWindowsパソコンといえば、搭載されているのはPentiumプロセッサ。一年前を振り返ると、モニター内蔵の一体型パソコン全盛で、やっとPentium 75MHzが搭載され始めた頃ではないだろうか。それとは対照的に現在では166MHzや200MHzのPentiumが搭載されたパソコンが最上位機種として位置づけられている。
 さて、何か忘れていないだろうか。それは、きっとPC Watchの読者であればご存じのはずのCPU「Pentium Proプロセッサ」だ。名前のとおり、Pentium(開発コードP5)の後を担って立つIntelアーキテクチャのCPUがPentium Pro(開発コードP6)であることは、誰も疑わないはずだ。しかし、業界関係者にPentium Proに対しての意見を求めると、なぜか良い内容の返事がこないことがほとんどだ。また、Pentium Proはこれまでデスクトップパソコンというよりは、サーバーマシンで採用されていることが多いためか、今ひとつ身近に感じられない方もいるのではないだろうか。

 これまで様々な雑誌で取り上げられたように、“Pentium Proの能力が発揮されるのは32bitアプリケーションの場合で、16bitアプリケーションではそれほど効果が出ない”というのが通説になっている。しかし、それは昨年の話だ。今年の春以降、Intel 440FX(Natoma)というPentium Pro用の新しいチップセットが搭載されたマザーボードが市場に登場してきている。おもな違いは、構成するチップの数が7個から3個に減ったこと、EDO RAMのサポートなどだ。ISAブリッジには「Triton2」で採用されている82371SB(PCI I/O IDE Xcelerator)が使用されている。その結果、メモリアクセスが大幅に改善され、それに応じてシステムパフォーマンスも向上しているのだ。


ASUSTekのP/I-P6NP5を購入!

 今回、Pentium Proを使ったシステムに採用したマザーボードは、ASUSTeK COMPUTERP/I-P6NP5だ。ISAバスが3つ、PCIバスが5つ(うちひとつはISAと共有)のPentium Pro用マザーボードである。特徴はNatomaを採用し、USBコネクタを増設することができるポートが基板上に用意されていることだ。搭載された82371SBはStepB0の最新版だ。最新版のVer.1.03のBIOSからUSBが正式にサポートされている。CPUは中古ショップで手に入れた150MHz版Pentium Proを166MHzにクロックアップした。

 とりあえず、Windows 95をインストールして使ってみたが、いつも使用しているPentium(200MHz)のシステムと比べてもあまり遅いとは感じない。HDDやビデオカードが両システムで異なっているため、詳しいベンチマークテストの結果は公表しないが、「遅い」という一般のイメージとは違って、充分快適なシステムが組み上がった。現在はWindows NT 3.51をインストールして、LANのサーバーとしてセットアップ中だ。


Win95でも、Pentium Proは遅くない

 ここで読者のみなさんに伝えたいのは「Windows 95でも、Pentium Proは遅くない」ということだ。今後を考えると、32bitアプリケーションが増えていくことは間違いない。また、Windows 95自体も、32bit化がより進んでいくはずである。そうなれば、よりPentium Proの力が発揮されていくことになる。
 現時点で200MHz版Pentiumのシステムと200MHz版のPentium Proのシステムを自作するとして、その価格を比べてみよう。当然ながら、メモリやHDDは両者共通である。マザーボードとCPUだけが価格差となっているのだが、CPU自体はほぼ同じ価格帯となっている。しかしさすがにマザーボードに関しては、25,000~30,000円程度Pentium Proのほうが高い。参考までに、8月21日現在のTWO TOPでの価格を下に挙げておこう。

  Pentium Pentium Pro
CPU Pentium 200MHz 79,800円 Pentium Pro 200MHz 84,800円
(Dual対応256KB)
マザーボード ASUSTeK PCI/I-P55TVP4-C
PipelinBurst SRAM 256KB
19,800円 ASUSTeK PCI/I-P6NP5 49,800円

 現時点で将来への投資として数万円程度上乗せすれば、少なくともPentiumシステムよりは息の長いPentium Proシステムを手に入れることができるのだ。パソコンで他人と差をつけたいのであれば、絶対Pentium Proを選ぶべきだと主張したい。

[Text by 一ヶ谷兼乃]


【関連情報URL(英文)】
CPU Info Center   CPUに関する情報が集められたページで、論文、パフォーマンスデータなど詳しい情報がたくさんある。


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp