【イベント】

ウォッチ副編集長が見たCOMDEX

COMDEXレポート 編集部編 1日目

 昨年にもまして静かなComdexである。だいたい、春は秋に比べて動きが少ないのであるが、それにしても何もない! 総論は、インターネットウォッチに書いたのでこちらでは、気が付いた点をスポット的に紹介したい。

Windowsが動くのがMacintoshの売り?
 Petium on Macintoshのブースが幅をきかすAppleブース

Power Mac なかなか格好良かったのがアップルのデモビデオ。これから公開される映画「Mission Impossible」からいくつかのシーンをもってきて、例の「スパイ大作戦」のビートに載せてアップルに不可能なことはない!と宣伝していた。また、このイベントのためにhttp://www.mission.apple.com/を作っていたようだ。  が、残念なことにアップルに不可能なことはあったようだ。彼らはこのメインブースの他に2つの詳細なブースを持っていたがその一つは「Pentium on Macintosh」。つまり、Windows互換カードの実演会場だったのだ。今までにも、こうした互換カードは出てきていたし、Appleブース内でデモもあったが、今回のように十数台をならべて一角を占拠してのデモは始めてではないだろうか?実質上Windowsが動くことがMacintoshの売りになることを示しているわけで、Macintoshの米国での立場が分かる。  このPentiumカードだが、スピードはそこそこ出ていたようだ。MacOSとの切り替えはキー操作で行え、クリップボードも相互に使うことができ、Win95からMac、MacからWin95といったCut&Pasteが可能だ。ただし、クリップボードのやり取りにはPowerMac 7200/120でそこそこ時間がかかっていた。  また、もう一つのブースのテーマは「ネットワーク」で、主にインターネット関連のプロダクツが中心に展示してあった。この中で、意外なほどCyberDogの扱いは小さかった。表にも「CyberDog」の名前は出ておらず、デモを見つけるまで、4人もの人に尋ねることになった。

ActiveXが前面のMicrosoft社。対応を表明しているアプリの多くはインターネットというよりOLEコンポーネント。しかし、Shockwaveが対応して一安心か?

Microsoft Microsoft社は、今回Windows NT 4.0やNashviellを前面に押し出すのかと予想していたが、実際のメインはActiveXであった。基調講演の人選からも予想されたが、結局のところ今回のCOMDEXのキーワードはインターネット/イントラネットということなのだろう。  ブースを一巡して注目したのは、インターネットウォッチでもお知らせしたとおり、ShockwaveのInternet Explorer対応とJakartaだ。特に、Jakartaの具体的な姿が見えたのは今回が始めてではないだろうか? Jakartaの開発環境は、Microsoft Develop Studioと呼ばれており、実際にはVisual C++やVisual Basicとの共通の開発環境になるようだ。この中には、Javaのクラスブラウザ的な機能も含まれているようで、容易にオブジェクト名からソースコードを引っ張り出すことができる。また、JavaのためのWizardも用意されており、オブジェクト指向プログラミングで難しいスケルトンの生成を自動的にやってくれる。デモでは、HTML内のVB ScriptからJavaアプレットを呼び出していたが、これは当然Java Scriptからも行えると思われる。  面白かったのは、JITコンパイラ(Just In Timeコンパイラ)で、中間コード形式のJavaアプレットをコンパイルすることで高速に実行するもの。すでにSymantecやBorlandが同じコンセプトで製品をアナウンスしているが、これにMicrosoftも乗ってきたわけだ。このコンパイラの投入はJakarta発表時からいわれていたことだが、今回初めて見ることができた。なお、説明員の話によると1ヶ月以内に、このWindows 95用のJava VM(Virtual Machine)がインターネット上から入手できるようになるとのことだ。 ともかく、今回MacromediaとMicrosoftで、Internet Explorer 3.0にShockwaveのActiveXが乗ることで合意をしたので、Microsoftも一安心だろう。しかし、ActiveXでShockwaveを埋め込むためのタグとNetscapeのタグは一致するのだろうか?是非ともユーザーのために一致させてもらいたい。

Javaは単純なインタプリタから、高度な開発環境と高速な実行環境へ

 さて、Javaに関しては数は多くないがいろいろなブースで関連プロダクツが紹介されていた。上記のMicrosoftのJakartaやSymantecのCaf*、BorlandのLatte、それにAimtechのJambaなどだ。どれも、統合された開発環境とJust In Time型のコンパイラを売りにしている(Jambaに関しては不明)。 ようやく、Javaが一般の人がプログラミングするものに降りてきはじめたようだ。NC(ネットワークコンピューター)構想のなかで、Javaだけが今のところ具体的な進化を開始している。

ようやく登場Lotus 1-2-3やOrganizerのWindows 95対応版

Lotus Boose さて、インターネットに関連しないニュースとして、Lotus 1-2-3やOrgaizerのWindows 95対応版が登場したことを取り上げよう。実際には、発売されたわけではなく、ようやくベータ版が出品されているだけ。これらはそれぞれ、Lotsu 1-2-3 97 for windows 95、Organizer 97 for windows 95ということになっており、これだけでLotusが開発に2年をついやしたことがわかる。Windows 95の次のバージョンがささやかれるようになってからようやく登場するようでは、まったくもって出遅れている。これからLotusはどうするつもりなのだろうか? ちなみに、Lotus社のブースは、午前中非常にさびしかった。用意されたステージの椅子の半分も埋まらない状態であった。

PageMill 2.0は、ほぼHTMLオーサリングツールとして完成。日本版を待ちたい

 とあるデモブースで、ふと見るとPageMillで表を扱っているではないか!これは、ということでAdobeのブースに行って、新バージョンのスペックと発売時期を取材した。それによると、発売時期はMac版が9月の終わり、Win版が10月の始めだとのこと。 PageMill 2.0では待望の表がサポートされる他、図版への文字の回り込みなどもWYSIWYGでの編集が可能になる。扱えるHTMLはHTML 3.0とNetscape拡張の両方をあわせたものといえる。なお、現在のデモ版にはなかったが、完成版ではフレームの対応もするということだ。

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('96/6/5)

[Reported by ken@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp