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3Dビデオカード関連に新顔続々

 COMDEX/WINDOWS WORLDの2日目。今日のキーノートスピーチはMicrosoftのポール・マリッツ氏。昨日と打って変わって気の効いた演出とスムーズな進行、そして小出しながらも新しい発表が含まれていたことで、何か今日は朝から得した気分になる。今日はビデオカード関連の新しい展示を中心にお伝えする。


KeyNote KeyNote KeyNote

 マイクロソフト、ポールマリッツによるキーノートスピーチでは、Windowsプラットフォームについての今後の戦略について語り、各サーバー製品、ActiveXテクノロジー、InternetExplorer3.0、Internet Add-onなど、同社のインターネット戦略の代表となるプロダクトを中心に言及した。

 サーバーについてはBackOffice製品としてProxy、Marchantサーバーの投入のほか、メール/ニュース/IRC/ディレクトリサービス/検索サービスなどを含む商用インターネットサービスを目的とした「Normandy」と呼ぶ製品を6ヶ月以内に投入すると発表。また、開発中であるInternetExplorer3.0を用い、ActiveX、VBScriptについても具体的なデモンストレーションを行い、その完成度の高さと優位性を強調した。

 Windows-NTの次期64Bit版(Cairo)、Windows95の次期版(Memphis)については1997年中に出すとのスケジュールを明らかにしたほか、NT次期版に関してまずDEC Alphaチップをはじめにサポートすると発表した点が注目される。SIPCについては従来から示されている構想を繰り返した程度で、具体的な言及は見られなかった。

 昨日のNetscapeと比較するとクライアントからサーバーまで、その戦略は具体的で充実していた感がある。インターネットを含むネットワークを中心とした戦略で猛然と走るマイクロソフト、そんな勢いを感じるキーノートスピーチであった。


matrox DC-20

 ハイエンドビデオカードの中でも最も高い人気を誇るMilleniumで好調のMatroxが新しい64bitビデオカードをデモ。「MYSTIQUE」と呼ぶもので、3D対応(テクスチャマッピング含む)はもちろんのこと、拡張カードとして、MPEGデコーダー、キャプチャ、TVチューナーなどが用意されている。RAMDACは135MHzで、メモリは4MBまで。チップは新型のMGA-1064SGを搭載。メモリはMilleniumで使われているWRAMではなく、SGRAM(Synchronous Graphic RAM)を使用している。会場では高速な3Dゲームを使ったデモで人目を引いていた。


S3 S3

 S3は新しいビデオチップのTrio64V2をデモしていたが、Microsoft関連のブースの一角の中でひっそりとしたもの。特にブースの中にもチップの名前であるとか、新しいものであるという表記もまったくなく、設置されているパソコンで動作している動画のデモンストレーションをさして、「これは新型のTrio64V2のデモか?」と聞くと、ようやく説明をしてくれるというありさま。このチップに関してはニュースリリースでは5日に正式発表ということになっているので、そのせいだろうか。

 高解像度の環境でMPEG再生もかなり高速に表示しており、動画再生中のダイナミックな表示ウィンドウのリサイズも高速に処理されていた。チップの特徴は、EDO-RAMのほかにSDRAM(Synchronous Dynamic RAM)/SGRAMをサポートしている点で、ATI Mach64との比較では100%,CirrusLogic CL5446との比較では30%の高速化が図られているという。Trio64V+とはピン互換で、ドライバも互換があるとのこと。正確にはTrio64V2/DXがDRAMベースのもので、Trio64V2/GXがSDRA/SGRAMをサポートしたチップとなる。面白いのは、S3はこのチップをビジネスデスクトップPCマーケットを対象としたものと位置づけ、企業内のイントラネット用アプリケーションのために最適化した、としている点。ここにもインターネット/イントラネットの流れが見える。


Number9 Number9

 S3のチップを使用したビデオカードの有力ベンダーとしてNumber9はよく知られているが、今回はS3の3DサポートのチップS3 ViRGEを搭載した「REALITY 332」をデモ。S3と同じく小さなブースだったが、フルテクスチャーのカーレースゲームを使った高速表示をデモしていた。Number9は、ビデオカードの強力なサポートユーティリティーのHAWK EYEでも知られているが、もちろんこのカードにも同梱されている。


ATI ATI ATI

 ATIはMach64チップからしばらく新チップが登場しなかったが、64bitで3Dに対応した3D RAGEチップを開発し、「3D XPRESSION」のビデオカードに搭載。派手なブースで全面的なデモ実演を行っていた。このカードはメモリは2MB固定で、ドーターボードとしてTVチューナーをつけてTV画面を見ることも可能。MPEGはフルスクリーン/フルモーションサポートで、ブースではDiamond Stealth64との同時再生を行って優位性をアピールしていた。パッケージにはカード専用に最適化された3Dゲームなどが同梱され、$219で販売するという。


STB ATI

 STBはTSENG Labs.が開発した128bitチップのET6000を使用した「LIGHTSPEED128」を前面に出してデモ。その派手なブースと嫌みなまでの大音響で人を集めていた。このカードは128bitとはいえ、MPEGも3Dもサポートしていないのが気になるところ。MultiBank DRAMと呼ばれる技術をサポートしているという。同社は近日発売のものとして、S3のTrio64V+チップを搭載し、ドーターボードつきで最大4台のモニターを制御するというカードの発売も予告。どちらかというと、こちらの方が気になった。


LG Ele LG Ele LG Ele

 メモリの技術革新も激しくさまざまな規格が乱立しているが、LG ElectoronicsのブースではSDRAMとRAMBUS DRAMの展示・デモを行っていた。SDRAMは186Pinと200Pinの2種類のモジュールを展示し、通常のDRAMを使った場合とのパソコンとのスピード性能比較を実演していた。またRAMBUS DRAMについては、CirrusLogicのビデオチップを乗せたビデオカードにビデオメモリとして搭載し、EDO-RAMを載せたビデオカードとの性能比較を実際に実演していた。が、両者はビデオチップが異なっていたため、純粋な比較とはなっていなかったのが気になった。


USB USB USB

 やはり注目されている新しいインターフェースのUSB(Universal Serial Bus)だが、今回のショーではまったくといっていいほど見かけず、USBインターフェース搭載のパソコンも、USBに対応したデバイスも見つけることができなかった。唯一、CMD TechnologyがUSBの制御チップ、PCIバスのUSBインターフェースカードを展示・デモしていたものの、目立たない位置におかれ、単に2チャネルを持ったUSBインターフェースカードにUSB対応キーボードが1台接続されているだけ。そのキーボードもハブの機能を持たない試作品レベルのもの。担当者をつかまえても、あまり乗り気ではないようで、USBについてはマザーボードレベルで搭載されていくので単独のカードでの販売は期待していないとのこと。今回のショーでは何か出てくると期待していたのだが、完全に空振りに終わった。

[Reported by 石橋文健]


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