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三洋とコダック、有機ELディスプレイ生産の合弁会社を設立
12月21日設立
新会社の資本金は4億5,000万円で、出資比率は三洋電機が66%、コダックが34%。会社名は三洋電機のSとコダックのKをあわせたものとなっている。低温ポリシリコン液晶で培った三洋のガラス基板上へのドライバ回路形成技術と、コダックの持つ有機ELに関する要素技術を利用した有機ELディスプレイの生産を行なうことを目的とする。 代表取締役社長には、現三洋電機 セミコンダクターカンパニー経営企画室企画部専任部長の清水英雄氏が就任、副社長には、コダック ディスプレイ事業部製造部門ディレクターのG・ラジェスワラン氏が就任する。設立は12月21日で、本社は岐阜県安八郡の三洋電機岐阜事業所内に置かれる。
事業化のスケジュールについては、3つの段階に分けて説明し、「フェーズ1」は、市場への早期参入を目指したもので、三洋岐阜工場内に有機工程を設置し、2002年2月より生産開始する。「フェーズ2」では、鳥取三洋電機の2棟の設備のうち、1棟を有機EL向きの設備とし、2003年4月に大型ガラス基板を用いた本格生産を開始する。2005年の「フェーズ3」では、売り上げ700億円を目指すと説明した。 設立当初の人員は約100人だが、2005年には400人になり、資本金も60億円に増強される見込み。また、フェーズ3までの累計投資額は500億円を予定している。 また、近藤氏はパッシブ型との比較や、「バックライトがいらない」、「横から見ても明るい」、「薄型化できる」、「動画再生時の残像感がない」などのアクティブ型有機ELの利点を説明し、「最初は小型機器向けに展開する。第3世代の携帯電話など、ブロードバンド時代に対応したディスプレイで、今後はデジカメやPDAなどのあらゆるデジタル機器に有機ELが搭載される」とアピールした。また、今後の技術開発により、2004年には大型TVやカーナビなどの市場にも投入される見込みと解説した。
また、質疑応答では、製造設備や生産物についての質問が相次いだ。 初年度は1.5インチ、2.5インチの有機ELを製造し、初年度の売り上げは数十億円程度となる見込み。価格については「LCDより性能がよく、動画対応のブロードバンド向けをねらっている。つまりLCDより少し高くしたい(近藤取締役)」と説明された。 また、有機ELの今後については、「基礎的な技術として、モバイル向けの技術開発は完了したが、ホームユースのTVなどは、明るさ、寿命という観点からまだ材料の改良が必要となっている。また、量産設備の開発などの課題が残っている」と解説された。
□三洋電機のホームページ
(2001年12月4日)
[Reported by usuda@impress.co.jp] |
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