←PIX-WAW/AP1 ↑今月のインデックスへ Millennium G550→

NEW PRODUCTS TESTREPORT

クリエイティブメディア
Sound Blaster Audigy Platinum eX
24bit/96kHzに対応した新世代サウンドカード
TEXT:藤本 健 Ken Fujimoto


●Sound Blasterがついにフルモデルチェンジ

Audigyシリーズ共通のメインカード部。サイズは従来のLive!よりも一回り大きくなっている
 クリエイティブメディアの定番サウンドカード、Sound Blasterシリーズが大々的にリニューアルされ、新たなにSound Blasuter Audigyシリーズが登場した。このAudigyは従来のLive!シリーズの後継という位置付けのサウンドカードで、各種の機能が大幅に強化されている。

 今回、このAudigyシリーズは
  Audigy Platinum eX (38,800円)
  Audigy Platinum (29,800円)
  Audigy Digital Audio (18,800円)

という3製品が発売されたが、今回はそのうちの最上位モデルであるAudigy Platinum eXを試用することができたので、このモデルを中心にAudigyとはどんなものであるのかを紹介していこう。


●24bit/96kHzに対応しS/N比100dBを実現

EMU10K1の4倍の性能を持つAudigyプロセッサ。本製品のエンジンとなるチップだ。
 サウンドカードのデファクトスタンダードであるSound Blasterシリーズ。現行のLive!シリーズが誕生したのが98年8月だったので、実に3年ぶりのフルモデルチェンジである。もちろんLive!も最初のモデルから、Live! Platinum PLUS/1394まで大きく分けて4世代が存在するのだが、これらはいずれも心臓部にEMU10K1というサウンド専用のDSPが搭載された製品であった。

 それに対し、今回登場したAudigyシリーズはそのDSPに“Audigy”プロセッサと呼ばれる新設計のチップが搭載されている。これはEMU10K1の約4倍の演算能力を持つもので、強力なエフェクト処理機能を備えている。さらに、Live!が量子化bit数16bit、サンプリング周波数48kHzのオーディオデータを扱える製品であったのに対し、Audigyは量子化bit数24bit、サンプリング周波数96kHzというハイクォリティなオーディオデータの処理を可能にしている。この24bit/96kHzというスペックはまさにDVD-Audioでサポートされている代表的なフォーマットに相当するもので、音楽CDクラスの16bitサウンドであったLive!とは明らかに次元の異なるサウンドカードだと言える。

 もちろん、チップのスペックだけ向上しても、実際にはアナログオーディオ部分の性能が付いて来ないと無意味なものとなってしまうが、Audigyはアナログ性能も大幅に向上しており、S/N比で100dBを実現している。Live!が96dBであったことを見ても、確かによくなっていることが分かるだろう。

 さて、サウンドカードを見てみると、Live!と比較して少し長くなっている。また、一目見ると分かるように、端子部はすべて金メッキとなっている。Live!も発売当初のモデルは金メッキ端子だったのだが、途中から一般的なサウンドカードと同じタイプの端子になっており、ハイエンドユーザーからは敬遠されていた面もあったが、今回のAudigyで再び金メッキ化され、こうした点でも音質に気が配られているわけだ。

 さらにAudigyで標準搭載されたのがSB1394と呼ばれるIEEE 1394互換の端子だ。Live! Platinum 1394でもIEEE 1394は搭載されていたが、Live!本体とは別のPCIカードを用いて実現していた。これに対してAudigyではメインカード上にIEEE 1394のコントロールチップが搭載されている。速度はIEEE 1394のS400規格に対応する最大400Mbpsとなっている。


●外付けボックスのAudigy Driveを装備

ボード上のCODECらしきチップ。詳細な仕様は不明だが、24bit/96kHzデータの扱いを可能にしているのだろうか
 今回、Audigyシリーズは3製品が登場しているが、これらは共通して前述のカードを使っている。つまりカード自体に違いがないのだが、逆に言えば、各製品はそのほかのハードと添付ソフトが異なるということになる。

 その違いを上位モデルから順に見ていくと、まずAudigy Platinum eXには外付けのブレイクアウトボックス「Audigy Drive」が付属する。従来からのLive! Driveのように5インチベイに内蔵すると、やはりPC内部からのノイズの影響を受ける可能性があったが、24bit/96kHzの性能を存分に活かすため、各端子を外部に置き、AD/DAコンバータをそのブレイクアウトボックス内に置くことによってノイズをシャットアウトしているのだ。

 Audigy Platinumは、従来のLive! Platinum 1394と同様に5インチベイに各端子を搭載する内蔵ボックスを組み合わせたもので、エントリーモデルのAudigy Digital AudioはLive! Digital Audio2と同様にS/P DIFの光角型と同軸入出力端子のみを外部ユニット上に持つという構成になっている。

 今回試用したAudigy Platinum eXは、発売前のテストバージョンであったため、すべてのアプリケーションは添付されていなかったが、ハードウェア的には問題なく動作していた。ただ、配線がLive!と比較するとやや複雑で、最初、マニュアルを参照せずに接続作業を行なった際には、うまく動かずとまどってしまった。というのもAudigy Dr iveと接続するためのAudigy拡張カードと呼ばれるカードが存在し、これと本体との間に二股に分岐したフラットケーブルとIEEE 1394接続ケーブルを接続する必要があり、さらに電源ケーブルの接続も必要と、煩雑であったためだ。

 この配線さえ終われば、あとは自動的にドライバやアプリケーションをインストールするだけで、すぐに使えるようになる。なお、このドライバやシステムソフトウェアは一括してCreativeWareと呼ばれており、今後どんどんバージョンアップされていく予定だ。


●強力なエフェクト機能EAX ADVANCED HD

メインカードとAudigy Driveの中間に接続されるAudigy拡張カード。PCIスロットは使用しないが、ケース背面のブラケット部を一つ消費してしまう
 CreativeWareをインストールしてWindowsを起動すると、Audigyの使い勝手が分かってくる。基本的にはLive!の思想がそのまま踏襲されており、専用のミキサーがあったり、プレイヤーソフトがあったり、エフェクト設定があったりと、Live!ユーザーならばほとんど違和感なく、すぐに使うことができるだろう。とはいえ、ユーザーインターフェイスは従来とは多少変わり、スッキリしたものになっているほか、プレイヤーソフトも洗練され、使いやすくなっている。

 こうした中で、Audigyプロセッサのパワーをはっきりと実感できるのがエフェクトだ。AudigyにおいてはEAX ADVANCED HDと呼ばれているシステムなのだが、従来のEAXの機能に加え3Dエフェクト機能などが強化されている。5.1chのスピーカーを接続した上で、こうしたエフェクトを利用することで、サラウンド機能がより強力なものになってくる。おもしろいところではタイムスケーリング機能といってピッチを変えないで再生スピードを早くしたり遅くしたりするエフェクトや、ノイズリダクション機能なども搭載されている。こうした機能をリアルタイムに再生しながら利用できるのが大きな特長と言えるだろう。

 なお、サンプリングレートに関しては96kHzだけでなく、48kHz、44.1kHzを設定することもできる。Live!の場合は48kHz固定であったのだが、44.1kHzも利用できるようになったことで、応用範囲はさらに広がりそうだ。


Audigy Driveの前面。アナログのLINE IN/OUTに加えて、同軸および光角形のS/P DIF入出力端子、さらにIEEE 1394端子などを備える ケース背面には、Audigy拡張カードとの接続用コネクタのほか、同カードのIEEE 1394端子ををAudigy Drive前面部へと引き出すコネクタも用意されている ブラケット部に配置されたコネクタは、IEEE 1394端子を含めて、すべて金メッキが施されている

●ASIOドライバに対応し、レコーディング環境としても利用可能

音楽CDの再生などをコントロールするリモコンも付属するため、Audigyを搭載したPCをオーディオ機器ライクにコントロールすることもできる
 一方、添付ソフトは上位機種ほど多くのソフトが付属しており、Audigy Platinum eXの場合、強力なサウンド系ツールが満載されている。Live!の場合はゲームソフトが多かったイメージがあるが、Audigyではサウンドツールが中心だ。具体的にはSteinbergのCubasisVST、WaveLab Lite、ReCycle!Lite、SonicFoundryのACID Style2.0といったところである。

 ソフトウェア面でとくに注目したいのがASIOドライバへの対応だ。ASIOというのは、Steinbergが開発したオーディオのドライバシステムで、Windowsのシステムをほとんど介さずにアプリケーションから直接ハードウェアにアクセスすることで、非常に高速なレスポンスを実現するものだ。現在、多くのプロ用のレコーディングソフトがASIOドライバに対応しており、本格的なレコーディングをするのならASIOドライバ対応のサウンドカードが必要と言われている。

 今回Audigyは24bit/96kHzを実現するとともにASIOドライバにも対応したため、まさにプロ用レコーディング機材としても利用できるようになったと言ってもよいだろう。実際にASIOドライバを利用するCubasisVSTでASIOドライバを使用する設定にしてみたところ、最高で2msのレイテンシを実現していたので、かなり高性能だ。

 一方、Audigyをシンセサイザ化するためのSoundFontはLive!からとくに変更されておらず、従来の資産もそのまま利用できるようになっていた。


●高品質でオールラウンドな仕様

 Audigy Platinum eXは、これまでの最上位機種であるLive! Platinum PLUS/1394と比較すると4,000円近く高いという設定ではあるが、音質面や多機能製で比較すれば明らかにお買い得感は増している。むしろこの価格でこれだけの内容を実現しているのは驚きだ。まさにハイエンドユーザーからエントリーユーザーまでをカバーする新世代サウンドカードと言ってよい製品だろう。


デザインが一新したサラウンドミキサー。低、高音域の補正などのエフェクトもコントロールできる EAXの機能としてとして新たに加わったノイズリダクション 44.1kHzと48kHz、および96kHzの切り換えが可能

  • 製品名:Sound Blaster Audigy Platinum eX
  • 標準価格:38,800円
  • メーカー:クリエイティブメディア株式会社
  • 問い合わせ先:03-3256-5577
  • URL:http://japan.creative.com/
  • サウンドチップ:Creative Technology Audigy 対応スロット:PCI 2.1
    ●インターフェイス
     ・ブラケット部:S/P DIF OUT(同軸)・LINE OUT×1、LINE OUT×2、LINE IN×1、マイク×1、GAME/MIDI×1、IEEE 1394(S400、6ピン)×1
     ・Audigy拡張カード部:IEEE 1394(S400、6ピン)×1、AUD_EXT/ジョイスティックコネクタ×1
     ・Audigy Drive部:S/P DIF IN(同軸)×1、S/P DIF IN(光角型)×1、S/P DIF OUT(同軸)×1、S/P DIF OUT(光角型)×1、ヘッドホン×1、LINE IN×1、マイク×1、MIDI IN×1、MIDI OUT×1、IEEE 1394(S400、6ピン)×1
  • 対応OS:Windows Me/98 SE/2000

    ■写真撮影
    若林直樹(STUDIO海童)

    □クリエイティブメディアのホームページ
    http://japan.creative.com/
    □製品情報
    http://japan.creative.com/soundblaster/products/audigyplatinumex/welcome.html
    □関連記事
    【8月24日】クリエイティブ、新チップ搭載の「Sound Blaster Audigy」
    http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010824/creative.htm


    【PC Watchホームページ】


    ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp

    Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.