|
●ようやく登場したゲームキューブ
任天堂の新しいゲームコンソール「ゲームキューブ」が14日発売された。ゲームキューブは、'99年に“Dolphin”のコードネームで発表され、IBM製のPowerPCアーキテクチャのCPUと、ArtX製のグラフィックコアを搭載し、2000年末に発売するとされていた。その後、ATIのArt買収、再度に渡る発売の延期などの曲折を経て、ようやく発売に至ったわけだ。
実際に入手できたゲームキューブのパッケージはとても小さく、プレイステーション2などの大きなパッケージを見慣れた目には新鮮だ。パッケージの内容は、ゲームキューブ本体、コントローラ、ACアダプタのみが入っており、実際に使用するためにはTVとの接続用のケーブル(モノラル/ステレオ/S端子/D端子/コンポーネント)が必要となる。なお、モノラル/ステレオ/S端子用のケーブルはNINTENDO 64用がそのまま使用できる。また、D端子、コンポーネントで接続する場合は、画像のみの接続になるので、別途、アナログAV端子から音声信号を接続する必要がある。
ゲームキューブ本体も小さい。何人かに見せても最初に「小さい」という感想を述べる。ハンドルがついていることもあって、子供でも簡単に持ち歩ける大きさと重さだ。デザインはシンプルで、親しみやすさと品質感が両立している。個人的には、底面積が大きく曲線でデザインされていたNINTENDO 64よりもずっと好感が持てるデザインだ。
白いのはDVDのトールケース。比較するとゲームキューブやディスクの小ささが分かる |
PS1とのサイズ比較 |
●まず動かしてみる
NINTENDO 64用のS端子用ケーブルを使用し、一緒に買ってきた「WAVE RACE BLUE STORM」を試した。ゲームは5cmの光ディスクで供給されるため、こちらのパッケージも小さい。ゲームボーイ用のパッケージに近い印象だ。
ACアダプタはゲームキューブが小さいため、大きく感じる。最初に電源を入れるとカレンダーをセットするように促される。メインメニュー画面はシンプルでゲームプレイ、カレンダー、メモリーカード、オプションの4つの操作画面が用意されているだけだ。
起動画面とメニュー画面 |
コントローラはNINTENDO 64用に比べ小振り。左右にそれぞれスティックが用意され、ボタン類も多い。L/Rのトリガーボタンのストロークがとても深く作られているのも印象的だ。
ディスク媒体になることで懸念されるゲームの読み込み時間については、このゲームについては演出のうまさもあって、気にならない範囲だった。ディスクのセット方法は、ボタンでディスクカバーを開けセットする普通の方法だが、ディスクをはずす際は中心のハブの部分を押すことでイジェクトされる。この機構はほかでは見たことがないが、ディスク面にさわる可能性が低く、使いやすかった。ある程度の年齢の子供であれば問題なく使えるだろう。
冷却はファンによって行なわれ、本体正面から向かって右のスロットから吸気され、左のファンで排気される。動作中のファンの音は、オフィスということもあって判断しにくいが、個人的には気にならない範囲だ。ただし、聞き取れないほどではなく、意識すればちゃんと聞こえる程度の音はしている。
■■ 注意 ■■
・分解/改造を行なった場合、メーカーの保証は受けられなくなります。 |
●中身を見る
任天堂のゲーム機に共通する特徴だが、子供などがやたらと分解出来ないように、特殊なネジを使用するなどの配慮がされている。とくにゲームキューブは本体裏のネジ穴も深く作られ、専用の特殊なドライバがないと本体カバーをはずすことは難しい。このあたりにもプレイステーション2やDreamcastとは異なり、子供たちのための玩具であるという設計思想が強く感じられる。
ここからは写真とキャプションを中心に見ていこう。
四隅に近い黒い円がネジ穴。4本の特殊ネジをはずすと、本体上面のディスクカバー部分がはずれる | 本体正面向かって左の冷却ファンは別モジュールになっており、ネジ2本で止められている |
12本のネジをはずすと、ドライブがはずれる。正面から見たところ | コントローラのコネクタ基板用に、唯一使われているフラットコード | ヒートシンク固定ネジの一部は、マザーボードの固定にも使われている。マザーボード本体写真は別途参照 |
マザーボードをはずすと遮蔽板が、これをはずすと電源基板が表われる | 全パーツ一覧。プレイステーション2やDreamcastよりもずっと部品点数が少ない。ヒートシンクに着いている灰色はシリコングリス |
はずしたネジの一覧。ネジの本数も少ない | マザーボード表面。CPUよりもATIのチップの方が大きい。写真では見えにくいが、ATIのチップにはNECなどの刻印がある | マザーボード裏面。ジャンパもなく、きれいな基板 |
IBM製PowerPCアーキテクチャのCPU | グラフィックコントローラチップ。ATIのロゴに加え、NECのロゴも見える |
●コントローラを見る
すべてのボタン、スティック類が見える位置 | 正面からみた状態A、Bボタンの大きさが異なるのが印象的 | 蓋を開けたところ。コントローラにも特殊なネジが使われている |
L/Rのトリガーボタン。Lを押している状態、Rと見比べるとストロークの深さが分かる | 基板をはずした状態、操作面の裏側にあたる | 基板正面、左がコントロールスティック、右下がCスティック |
●完成度の高いハードウェア
外観だけでなく、中身を見ても完成度の高いハードウェアだということが伝わってくる。部品点数の少なさ、練り込まれた部品配置、スマートで機械としてのレベルが高い印象だ。部品点数の少なさは、コスト面でも有利だろう。
自動車にたとえれば、プレイステーション2がパワーにものをいわせた大排気量車であり、ゲームキューブは排気量は小さくてもセンスのいい実用車といえる。
また、小柄で強度の高い筐体、本体についたハンドル、誤って内部に触れることを防ぐ構造など、任天堂がこの機械を子供が遊ぶ玩具として念入りに設計していることも感じられた。
同時発売のソフトウェアのラインナップはいま一つの印象だが、家族で遊べるゲーム専用機として発展する力を持っているハードウェアだと感じた。ゲームキューブの将来に期待したい。
(2001年9月14日)
[Reported by date@impress.co.jp]