会期：7月17日～20日

会場：New York Jacob K. Javits Convention Center

■アップルとの強い絆をアピール

　真夏にしては、少し涼しい朝を迎えた19日のニューヨーク。午前9時、Microsoftマック事業部のジェネラルマネージャー、ケビン・ブラウン氏の講演は行なわれた。

　前日のスティーブ・ジョブズの講演で、早朝6時過ぎから行列を作った大混雑ぶりとは対照的に、この日の観客は200人程度で、静かな雰囲気の中、赤茶色のTシャツにベージュのコットンパンツ姿のブラウン氏が壇上に立った。「今日ここに来た皆さんが、Microsoftに対するイメージを少しでもよくしてもらえたら嬉しい」と、最初からマックユーザーを意識する姿勢を表し本題に入った。

　まず、Microsoftのマックユニットのビジネスサポートをしてきたブラウン氏が、これまでのAppleとの関わりについて簡単に触れることからスタート。今年のAppleに対するアプローチの焦点である「Mac OS Xのサポート」について開発中の「Office 10(コードネーム)」を例に挙げ、改めてAppleとの協力体制を強調した。

・注目ポイントは以下の通り

1. 「Office 10」のMacOS X対応版は今年の秋に出る予定(詳しい日程などには触れてはいない)
2. 「MSN Messenger Service 2.0 for Mac OS X」が、19日から無料ダウンロード開始
3. Windows Media Player の Mac OS X対応版は9月頃から無料ダウンロードを開始予定
4. 「Microsoft Word 」と「Entourage」のみを1つのパックにまとめたソフトを19日から149ドルで発売(期間限定)
5. Internet Explorer 5.1は、Mac OS X 10.1にバンドル

■自信満々のMac OS X対応「Office10 」

　「今日、ここでマックユーザーの皆さんには、今まで経験したことのない全く新しい体験をご期待ください」と前置きし、「Office 10は、Mac OS Xに対応するように、時間をかけて開発され、Mac OS X ならではの、流れるような新アクアのグラフィカルなインターフェイスのよさも生かして使えるデザイン」だと言う。

　「Office 10 for Mac OS X」は、マックユーザーに自信を持って薦められると胸を張る。彼は日常を「ビジネス」、「パーソナル」、「デジタルメディア」などのカテゴリーにわけて、どのソフトが多く使われているか、また何が必要かを示し、自社の「Office」アプリケーションの重要性をアピールした。

　「我々は出来るだけクラッシュするようなものは創りたくないが」と、前置きしながら、「Excelや、Wordなどがクラッシュしても、リカバリー用のファイルから自動的に復帰するような機能もある」と紹介する。

　「Office 10 for Mac OS X版」のリリースは、今年の秋ということで、それ以上の詳しい日程には触れなかったが、いずれにしても、「Mac OS X 10.1」が世に出てからのリリースになる。

ビジネスや、パーソナル、デジタルメディアなどカテゴリーに分けながらOffice 10の重要性を強調	Outlookに比べるとEntourageはスモールビジネスに適しているようだ	Excelのデモンストレーションで半透過のグラフを作成してみせたところ

■MSN Messengerの改良版とは?

Messenger 2.0のデモンストレーションで、後からもう1人チャットに参加してくるところ

　Microsoftは、19日から「MSN Messenger 2.0 for Mac OS X」の無料ダウンロードサービスを開始した(Mac OS 8～9.1/Xに対応)。

　「Messenger 1.0は、必ずしもMacにとって最良ではなかった」と述べた。新しいマルチプルカンバセーション機能では、チャットの際に、3人目、4人目と、多人数の割り込みも可能になった。しかし、Windows版で使える機能のうち、ビデオカンファレンスと、ビデオ電話の2つは、Mac OS X対応「Messenger 2.0」には含まれていない。

　秋以降には、UPS(アメリカの宅配サービス)、アメリカンエクスプレス、Ebay などと組んで、配達や確認などの情報を知らせる機能も搭載予定だという。ブラウン氏は「これからはパーソナライゼーションが大切なキーになる」と力を込めた。

■Media Player for Mac OS Xは何故必要か?

Media Player for Mac OS Xのデモンストレーション

　「Media Player for Mac OS X」も、Mac OS X対応として、今年の9月から無料でダウンロード可能になる。

　デモンストレーションは、Microsoftの女性スタッフによって、「WindowsMedia.com」のサイトを使って行なわれ、音楽と映画の1シーンを、画面の大きさ50%と100%を比べて見せ、その音質と画質の良さを強調した。

■質疑応答では……

　講演終了後、プレス向けに、別室で質疑応答の時間が設けられた。そこでは、「Office 10 for Mac OS Xは、今年の秋のいつに出るのか?」などという質問もあったが、「2001年の秋」ということで終始一貫された。また、Outlook Expressについて、今後カーボン化する予定があるかという質問に対しては、今のところまだ社内で決定していないという答えが返ってきた。

□Macworld Conference&Expoのホームページ(英文)
http://www.macworldexpo.com/
□Apple Computerのホームページ(英文)
http://www.apple.com/
□Macworldレポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/link/macw01.htm

(2001年7月23日)

[Reported by 川口雅代]