Macworld Conference&Expo / New York展示会場レポート

Apple新製品ブリーフィングと、会場内でみかけた周辺機器など

会期:7月17日~20日

会場:New York Jacob K. Javits Convention Center



■Mac OS X 10.1へは、CD-ROMを使ったアップグレードに限定

 Apple Computerは、会場内の一室でメディア向けのブリーフィングを開催した。これは、基調講演などで公開された新製品の情報を補完し、製品への理解を深めることを目的としたもので、製品の機能説明やデモ、Q&Aなどで構成されている。ここでは、Q&Aで得ることのできた情報をいくつか紹介する。

・PowerMac G4

新PowerMac G4。ご覧のとおり、ドライブ部分にはトレイ開閉用のボタン類が見あたらない。下段のベイはZipドライブなど3.5インチのメディア向けに設計されている
 新PowerMac G4では、ドライブ部分にトレイの開閉ボタンが見あたらない。トレイの開閉は付属するApple Pro Keybord上の、Ejectボタンを使うのが基本となる。Ejectボタンのないサードパーティ製のキーボードを利用するときには、「キーボード」コントロールパネルの、ファンクションキーの設定で、F12キーなどにEjectを割り当てるのを推奨するということだ。ちなみに、この割り当て機能は、現時点ではOS 9のみでサポートされている。Mac OS Xでの対応は準備中だという。

 関連して、強制排出が必要な時には? という問いかけには、基本的には再起動時にマウスボタンを押しっぱなしにするという方法を推奨していた(これは以前からすべてのMacで実行できる方法だが、意外に知らないユーザーが多い)。裏技としては、セロハンテープなどを軽く貼ってカバーの部分を引っ張り、ドライブ本体にある開閉ボタンを直接押すか、強制排出用のピン穴を利用する手も紹介してくれた。

 プリインストールされるのは、Mac OS 9.2とMac OS X。初期起動時のOSは、Mac OS 9.2が選択されている。



・iMac

 初期のレポートでは、Mac OS 9.2とMac OS Xのデュアルブートとお伝えしていたが、これは誤り。実際には、Mac OS 9.1とMac OS Xのデュアルブートとなる。お詫びして訂正する。ちなみに、購入直後に起動するOSはOS 9.1のほうだ。OS Xも10.0.3がプリインストールされていて、OS Xの初期起動時に10.0.4へソフトウェア・アップグレードが可能となっている。これは前モデルの最終出荷状況と同じであり、こうした面からも、今回の新iMacが極めて小さいマイナーチェンジであることがうかがい知れる。

 フラワーパワー、ブルーダルメシアンといったいわゆる柄物がラインナップからなくなったことに関しては、AppleではiMacのリニューアルに際しては、常に新しいカラーを検討しているという答えを返した。今回も検討をした結果、人気色であるインディゴ、グラファイトを継続しスノーを加える(復活させる)という決断をしたということである。これまで、最も人気のあった色は? という質問には「世界各国で、それぞれ異なる」と明言を避けたが、インディゴは総じて人気が高いというコメントを得た。

・Mac OS X

 すでにMac OS Xを利用しているユーザーにとって気になるアップグレードに関する費用について確認することができた。まず最初に、Appleはv10.1のリリースをMac OS Xの「初めてのメジャーアップグレード」と位置付けている。そのため、パッケージもリニューアルし、Mac OS X 10.1として129ドルで販売するということだ。既報のとおり、現行ユーザーには19.95ドルでUp-to-DateプログラムのCD-ROMが提供される。この費用についてAppleは、19.95ドルは手数料や送料などの実費であり、アップグレード自体は無償という考え方をしている。基調講演でジョブズCEOが「FREE!」という表現を使ったのもここに起因する。しかしアップデートの規模が大きいため、これまでの10.0.0から10.0.4までのように「ソフトウェア・アップデート機能」を使ってネットワーク経由で更新することはできない。アップグレードは、CD-ROMを使ってのみ可能となっている。日本国内での提供価格はまだ決まっていないが、ほぼ米国に準ずる価格設定がなされるだろう。いずれにせよ、ユーザー側の費用負担は明らかに発生するため、これを実費ととらえるかどうかは、ユーザー次第だが……。

 10.0.xでは実装されていないPCカードのサポートだが、10.1においても積極的なサポートは行われない。CardBusとしてハードウェアを認識するとはコメントしているが、各種ドライバ類が標準では一切用意されないため、サポートはサードパーティ頼りとなる。

 なお、日本のアップルコンピュータでは今週中に国内でもメディア向け説明会を予定している。新しい情報が入手でき次第、続報をお届けする。


■出展ブース数は減少傾向ながらも、Mac OS Xへの移行は順調

 展示は、例年どおりにJavitsセンターの2ホール分を使って行われている。もちろん最大のブース面積を占めるのがApple Computerで、規模の違いはかなりあるがマイクロソフトや、ファイルメーカーなどが続く。米国でのハイテク不況の影響もあるのか、いずれのブースもこぢんまりとしていて、例年よりガランとした印象が残った。Appleにとって重要なパートナーであるアドビも今回は出展を見送り、パームコンピューティングやハンドスプリングなども姿を消している。そうした影響からか、いつもなら会場の隅にある飲食スペースやコーヒースタンドなどが各社ブースの間に配置されていて、会場を歩いていると突然目に飛び込んでくるときがある。単に不況が影を落としているのか、サードパーティ離れなのかはまだ判断が付きかねる。

 とはいえ、出展しているソフトメーカー各社のMac OS Xへの移行は意外に順調だ。ほとんどのブースでクローズアップしているソフトは、看板ソフトのMac OS X対応版であったり、Mac OS Xに向けた新製品だったりする。さすがに、ジョブズCEOの目論みどおりに、この夏の爆発的な出荷とまでは至らなかったようだが(それ以前に、Apple自身が10.1の開発に遅れを出してしまった。本来ならこのMacworldにあわせてリリースする意図だったと思われる)、それなりにOS Xへの道筋はできてきているようだ。ユーザーの興味も高く、OS X対応アプリケーションのプレゼンテーションは、どのブースも満席に近い。

 展示会場レポートは、こうしたサードパーティ各社のブースで見かけた周辺機器や、Mac OS X向けソフトを一気に紹介して締めくくらせていただく。

昨年末に解散にいたったCPUアップグレードカードの老舗、NewerTechnology。その遺産とも言える製品「BookEndz」のPowerBook G4対応版が、Photo Contorolの一部門で復活、出展されていた。価格は銀が244.95ドル。黒が229.95ドル いっぽうこちらはiBook向けのプロトタイプ。インターフェースの位置関係から、BookSideという気がしないでもないが、製品名はBookEndzであるとのこと。価格は170ドル程度を想定。小型化のため独自仕様になっているVGAやAVポートが、標準のVGAやピンジャックに変わるのは嬉しい 小さなブースながら継続的に出展している日本の雄「ラトックシステム」。今回は、PowerBook向けのBluetooth PCカードを出展した。むき出しながら、ハード自体は完全な実働モデル。Mac向けのドライバを他社に先駆けて用意していることで、OEMなどに結びつけたいという。出荷はBluetoothの普及を睨みつつとのこと

GRIFFIN TECHNOLOGYの「PowerWave」。USBオーディオのアンプ&インターフェースだ。ピンジャックによるオーディオの入出力に対応。Apple Pro Speakerの接続にも対応している。99ドルで近日中に出荷を予定 前述のPowerWaveにも対応するオーディオコントローラー「PowerMate」。プログラム可能なオーディオ・ビデオコントローラーで、USB接続したオーディオ機器(iMac、iBookなども含む)のボリューム調整や、ビデオコントロールなどを可能にする。操作状況は、底面の青色LEDが光ってお知らせ。50ドル程度での販売をメドに開発が進んでいる 東芝製の1.8インチHDDを内蔵する小型ハードディスク。容量は5GBで、FireWireで接続する。出展していたのは、SmartDisk(旧VST TECHNOLOGY)。価格は339ドル

1月のCESでも出展されていた超小型のメディア「DataPlay」。日本では東芝などに出資によって普及のための合弁会社も作られている。Imationブースでは、対応するメディアリーダーを参考出展。200ドル程度での販売を予定している iMac Rev.A~Rev.Dの各モデルに対応するアップグレードユニット。PowerPC G3 500MHzのパワーと、FireWireインターフェースをこれらの旧モデルに付加する。価格は299.95ドルと微妙なセンをついてくる。旧モデルを売り払って、差額で新製品を購入するか、アップグレードで延命を図るか……。開発元のSONNETでは、今年後半の出荷を予定している 単なる外付けのDVD-Rユニットだが、その形の奇抜さに負けて掲載。インターフェースはSCSI-2と、FireWireのそれぞれのモデルを用意している。発売元はVIVASTAR。いかにもビバスターってな感じ?

毎回新しい周辺機器を用意してくるMacally。今回はUSB2.0に対応した4ポートハブを出展。発売時期や価格などは未定とのこと これもMaccallyのUSB2.0対応ハブ。前述のハブは標準サイズのコネクターを採用しているが、こちらは小型サイズのコネクター。掌に乗るほど小さい 3D SCANの3Dオブジェクトスキャナ。標準的なフラットベッドスキャナに取り付けて、立体物を2Dにスキャンしたり、3Dオブジェクトとして取り込んだりできる。市価は399.95ドルだが、ショウプライス249.95ドルで販売中

日本では未発売のデジタルカメラ。ニコンの「COOLPIX775」。COOLPIX880をひとまわり小さくしたようなデザインで、210万画素、光学3倍ズームを搭載する。 こちらも日本未発売、KODAKの「DX3600」。クレードルを使って撮影データの転送ができるのが特徴。35ミリフィルムを使った撮影と同様に、3対2のアスペクト比で撮影ができる220万画素のCCDを搭載。上位の「DX3600」は光学2倍ズームを搭載。「DX3500」は単焦点モデルとなる 基調講演でジョブズCEOが放り投げてしまったことで、いちやく有名になったKODAKの「DC3400」。特に新製品というわけではないが、日本未発売モデルでもあることで記念に掲載。価格は399.95ドル

新PowerMac G4に、GeForce2 MXが標準搭載されたNVIDIAのブース。参入から半年あまりで、ATIのおかぶを奪ってしまった。Apple StoreのBTOにRADEONのコンフィグレーションは残っているが、PCIバス版のみ。思えば昨年、ここNYで一日早くニュースリリースを出してしまったのがATIにとってのケチのつきはじめか ブースにはテーブルとデモ用マシンが4個並んでいるのみ。一瞬休憩ゾーンとも思わせるが、頭上を見上げると「FAXStf X」の旗が翻っている。貧乏なのか狙いなのか判断がつきかねるが、Mac OS Xに対応するFAXソフトウェアは待望のリリースだ 基調講演では完璧なデモを披露して聴衆の喝采を受けたIBMの「ViaVoice for Mac」。もちろんブースでもOS X対応バージョンがデモンストレーションされている

ブースからはかなり離れた場所にあるApple Storeの出張所。設置されているマシンを使って注文ができるほか、Instant Loanのシミュレーションや、法人契約の相談もできる 出展社数こそ減ったが、販売系ブースの人気は健在。やはりこの機会になにか……というユーザーも多いのだろう。人気は、小物を中心とした周辺機器関係。日本からの来場者は、たいてい日本未発売の個性的な機器に注目している 例年会場内に設置されるインターネット・カフェも、今年はAirPort(米国なので)に対応。来場者は持ち込んだマシンで思い思いにインターネットアクセスを楽しんでいる。他にもカンファレンスエリアやプレスルームなど、AirPortのワイヤレスアクセスが提供されているエリアが、今年は飛躍的に増えた

□Macworld Conference&Expoのホームページ(英文)
http://www.macworldexpo.com/
□Apple Computerのホームページ(英文)
http://www.apple.com/
□関連記事
【7月19日】Macworld Conference&Expo / New York展示会場レポート
新PowerMac G4がずらりと並ぶアップルブース
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010719/macw03.htm

(2001年7月23日)

[Reported by 矢作 晃]


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