Macworld Conference&Expo / New York展示会場レポート
アップルブース(後編)

ヘビーユーザーの興味はMac OS X 10.1のプレビュー

会期:7月17日~20日

会場:New York Jacob K. Javits Convention Center



■注目を集めたMac OS X 10.1のプレビュー

全部で6台のデモ機が用意されたMac OS X 10.1のプレビュー。たいていはこんな具合に人が鈴なりで、ちょっと待たないと画面のそばに近づくことはできない

 基調講演でスティーブ・ジョブズCEOの手により紹介されたMac OS X 10.1。開発コード名「Puma」としても知られている。基調講演と米国のニュースリリースによると、9月の出荷がアナウンスされている。

 パッケージ版は129ドル。すでにMac OS Xを利用しているユーザーは、Up-To-Dateプログラムにより、19.95ドルでアップデートパッケージの入手が可能という。Mac OS Xのソフトウェア・アップデート機能によって、ネットワーク経由でのアップグレードが可能かどうかは不明。一両日中に確認をしたいと考えている。日本国内での価格については、現在発表されていない。

 ユーザーにもっとも歓迎されているのは、何よりもあらゆる面でのパフォーマンスアップ。アプリケーションの起動速度やレスポンスが向上しているのは、ブースでのプレビューを見てもよく分かる。また、ようやくMac OS XからAirMac BaseStationの設定ができるようになったり、DVD機能のフルサポートも実現される。DVDビデオの再生や、DVD-Rを使ったオリジナルのDVD-Video作成もできるようになる。この機能の搭載により、基調講演のトリを飾った「iDVD 2」が利用できるというわけだ。「iDVD 2」は、10.1以降で動作し、既存のiDVDユーザー(つまり、SuperDrive搭載のPower Mac G4購入者)は、19.95ドルでアップグレードできる。

 他にも、AppleTalkやSMBのサポートなどネットワーク機能が充実。長らく、Preview版が付属していたInternet Explorerも、5.1製品版としてバンドルされる。リリースによれば、Java2ランタイムに完全対応ということだ。

 こうして書き連ねると、ユーザーにとっては願ったりかなったりというバージョンアップだが、本来なら正式出荷時に搭載されていてしかるべき要素まで満載だ。DVD-ROMドライブを搭載する製品にプリインストール(あるいはバンドル)しながら、DVDビデオが再生できなかったこれまでが異常で、DVD機能のフルサポートはユーザーなら当然の要求だろう。

 スティーブ・ジョブズCEOは、基調講演でMac OS Xの進化を時計の文字盤に例えた。3月24日の正式出荷から、この日までおよそ4ヶ月。文字盤の針は4時まで進んでいる。そして、9月の10.1リリースで半分の6時まで進むことになる。ひと月あたり1時間であるなら、文字盤の針が一回りする12時は来年の3月。そのときのMac OS Xの姿を、彼はどのように思い描いているのだろうか。

10.0.4までは雑然と並んでいたシステム環境設定も、10.1からはこのようにカテゴライズされて分かりやすくなる。よく利用するものを、上部にピックアップできるのは従来どおり これまではDock ExtraとしてDockに収納されていたモニタ解像度の変更や、バッテリ残量表示などは、メニューバー右上に移動。Dockはアプリケーションとファイルのランチャーとして機能する これまでは下部に固定されていたDockの位置が左右にも移動できるようになった。Terminalから毎回設定を変更して(設定が保存されないため)実現していたユーザーもいたが、これで簡単になる

●QuickTimeムービーで見るMac OS X 10.1

ムービー1(1.0MB) ムービー2(2.6MB) ムービー3(1.6MB)
ファイルのドックへの収納アクションが新しくなった。撮影のため、スローモーションで動かしてもらっている 最適化が進んで、アプリケーションの起動も軽快に。映像では、10.1から正式版がバンドルされるIE5.1のダイアログも一瞬見える Dockの表示位置を下から右へと変更。やはり人気は右サイド?
ムービー4(7.0MB) ムービー5(3.6MB) ムービー6(2.7MB)
Finderのカラム表示も、表示の仕方にバリエーションができた メニューバー右上に移動した従来のDock Extra。設定変更が簡単になる 基調講演でも大受け。アプリケーションの起動の早さを楽しくデモ

 本稿の主旨からは外れるが、Apple Computerブースでの出来事として、前・後編としたアップルブースレポートの最後にひとつ触れておく。今回、同社からの通達としてブース内での撮影についての制限が伝えられている。

 簡単に言えば、同社ブース内で撮影を行なう場合は、その都度ブース内に用意されたPRデスク(Media Relations)にコンタクトし、スタッフの案内と同行のもと(撮影を希望して)許可されたカットが撮影できるという手順が取られている。ちなみに他社の例では、撮影許可が必要なケースはままあるが、ほとんどは許可証の発行や、口頭での確認が中心で、スタッフが同行までするというのは極めて例外だ。

 もちろん本誌は、取材対象の希望を可能な限り尊重して取材を行なう意向であり、上記の手順を遵守している。ただ現実として、世界中から訪れているメディアすべてにこうした通達が行き届いている訳ではなく(というより、事前に取材の申し込みを行なったメディアのみに通達が来ている)、知らずに勝手に撮影を行なっているメディアも数多い。

 また、これだけ個人向けにデジタルカメラが普及している現状ゆえ、一般来場者による撮影も頻繁に行なわれている。知らないことをとがめる意志はないので(一般来場者が撮影したい気持ちもよく分かる)、これは徹底できないApple側の不備だととらえている。

 実際に、案内と同行を依頼しても、次々と訪れるメディアに即時対処できるわけはなく待つのはざら。本誌は幸いにも2度依頼して、いずれも10分程度待つだけで済んだが、なかには夕方にまた来いと言われたメディアもある。

 案内するスタッフによっても少しずつ対応が異なり、AというスタッフがOKを出すカットでも、Bというスタッフでは駄目ということもあるようだ。具体例を挙げると、一部メディアには新Power Mac G4のサイドドアを開いた写真が掲載されている。こちらの依頼では撮影不可とされたためゲリラ的に撮影したものと思っていたが、なかには許可をもらって撮影できたメディアもあったようだ。こうした例は、ほかにもいくつかある。

 終了間際にもなると、一部スタッフの対応もぞんざいだ。もちろんこちらも、お世辞にも英語がきちんと話せるとはいえない状況のため、相手の伝えたいことが十分に理解できなかったり、こちらも希望をうまく伝えられなかったりで、大変に申し訳なく思っている。迷惑もかけているだろう。これについてはお詫びするしかない(実際、あやまった)。朝からずっと、殺到するメディアを数少ないスタッフで捌き続けて大変お疲れになっていることにも同情する。

 日本からのメディアは数多いのに、日本側のスタッフが常駐していないのも、米国スタッフには辛いところだろう。とはいえ、あからさまにうんざりしたような仕草を見せたり、小声で「やってられないわよ」とか呟くのは、無しにしよう。なぜかそういうフレーズだけは十分に伝わる(笑)。なにより、このルールを作ったのはキミタチのほうなんだから……。

□Macworld Conference&Expoのホームページ(英文)
http://www.macworldexpo.com/
□Apple Computerのホームページ(英文)
http://www.apple.com/
□関連記事
【7月19日】Macworld Conference&Expo / New York展示会場レポート
新PowerMac G4がずらりと並ぶアップルブース
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010719/macw03.htm

(2001年7月19日)

[Reported by 矢作 晃]


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