第106回:よく似た顔を持つハイエンドノートPC



 約1年ぶりにニューヨークにやってきた。PC EXPOあらためTECHXNY(テクノロジ・エキスポ・ニューヨーク)取材のためだ。昨年はPCではなくアプライアンスエキスポではないか? と言われるほどアプライアンスに寄った展示が多かった。今回、同展示会が名前を変更したのも、そうした背景からだろう。

 しかし、インターネットアプライアンスは大きく低迷している。今回のTECHXNYで話題になっているのが、ノートPC関連のプロダクト(もっとも大きなニュースはTualatin搭載機が展示されたことだろうか)というのも皮肉な話だ。その規模も大きく縮小している。


●スペックはどれも同じ

 TECHXNY会場ではIntelがTualatin(正式名はIntel Mobile Pentium III Processor-Mだが、長いのでコードネームで呼ばせていただく)搭載機を並べている。ソニー、富士通、デル、エイサーのPCが並び、ヒューレット・パッカードブースにもTualatin搭載機とは書かれていないものの、それと思しき製品が置かれている。

 どの製品も正式なスペックは公表されていないが、デバイスマネージャなどからの情報を見ると、どれも似たようなハードウェア構成を取っている。TualatinとIntel 830系モバイルチップセットの組み合わせはもちろん、グラフィックス回路もすべてがATIのMobility RADEON。おそらくハードディスクも、各機種とも似たようなものになるだろう。この6月にIBM、日立、富士通各社の流体軸受けハードディスクが出揃ったからだ。

 もちろん、ドライブベイに収まるのが、DVD-ROM/CD-RWのコンボドライブかどうかなど、実際に出荷される時にいくつかの点で違いは出てくるだろう。しかし、文字にしてみるとあまり違いはない。

 7月末、Tualatin発表時には、各社ともA4フルサイズクラスのハイエンドノートPCに、一斉にTualatinを搭載してくるだろうが、スペックを眺めていても面白くはないはずだ。

 では値段で選ぶ? それもいいが、別の部分での差別化が行なわれることを期待している。


●違いは触れた感触と使いやすさ

 個人的にこのクラスのノートPCを選ぶとすれば、スペックよりもユーザーが触れる部分での使いやすさを重視するだろう。キーボード、ポインティングデバイス、ディスプレイはもちろん、冷却システムやハードディスクの静粛性、筐体表面の発熱、各種ポートやスロットの位置関係などだ。

 たとえば、我々のような仕事をしていると、キーボードの使いやすさは非常に重要だ。よく「ストローク?ミリ」といったスペックを見かけるが、キーボードはスペックではない。ストロークが深く、キーピッチが広くても、打ちやすいとは限らない。そこには、キートップの形やバネの特性など、細かい要素がたくさん絡んでくるからだ。

 今回目にすることができたTualatin搭載機の中には、VAIOノートシリーズの最上位機種として開発表明が行なわれているGRシリーズもあった。この機種の液晶パネルは、他社製品と比較すると明らかに視野角が広い。左右に広い機種は多いが、GRシリーズの液晶パネルは上下方向にも広さが確保されている。

 13.3~15インチの液晶パネルは、劇的に価格が下がっているそうだ。ローエンドの製品にも、大型の液晶パネルがたくさん採用されていくだろうが、ハイエンドのノートPCの液晶パネルはサイズや解像度だけでなく品質で選ばれるようになるはずだ。

 また、発熱や静粛性などについても見直していきたい。静粛性は会社などでは気にならないだろうが、家庭で使う場合にはかなり気になるものだ。特にノートPCで使われる空冷ファンは、サイズが小さいためノイズの周波数も高く、耳に付きやすい。また、発熱が気になり始めると使うのがいやになってしまう。

 似たようなスペックばかりと聞くと、没個性化のイメージを持つ読者も多いだろうが、実際には逆の状況になるのではないか。基本コンポーネントのスペックに差がなくなればなくなるほど、本来の使いやすさの差が浮き彫りになってくるだろう。

[Text by 本田雅一]


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