WWDC2001基調講演レポート(後編)
Mac OS X ServerとJavaベースとなったWebObject5を発表

会期:5月21日~5月25日(現地時間)
会場:SanJose McEnery Convention Center



■Mac OS Xが目指した9つの目標

Mac OS Xが究極のデジタルハブになるための機能を有しているとして、会場の様子をデジタルカメラで撮影するAvie Tevanian氏。ストレージクラスに対応するデジタルカメラであれば、USBなどのインターフェースを経由してそのまま画像が転送できる

 セッションの後半は、ソフトウェア担当上級副社長のAvie Tevanianにバトンタッチして継続された。彼はNeXT時代から15年にもわたってJobsの右腕として働いてきた人物でもあり、Mac OS X開発の責任者でもある。彼は、ソフトウェアの基本的な部分はハードウェア以上に長期間にわたって使われ続けていくものだと説明。「こんな大変なことを来年も続けてやるのは、とても無理」と笑って、Mac OS Xがプラットホームとして長期的に利用され続けることを約束した「少なくとも僕がAppleにいる限りはね」。

 Tevanian氏は、Mac OS Xには全部で9つのゴールがあることをさまざまなデモをまじえつつ紹介。1つは、UNIXの持つパワフルさと堅牢性、それにMac OSのシンプルな操作性を加えたものである。AQUAインターフェースを加え、妥協のない完成品として提供していることをアピールした。2つめのゴールは、あえて技術を作ろうとせず、オープンスタンダードとなったものを積極的に採用していくということである。Open GL、Apache、XML、QuickTime 5、Flash 4、ColorSyncなどがそれにあたる。しかし、なかには新しい技術がアドバンテージになることもあり、そうして生まれたのがグラフィックシステム「Quartz」であると説明した。そのQuartz、OpenGLなど高度なグラフック機能の搭載が3つめである。


Mac OS Xには、市販のパッケージにもDeveloper CDが含まれている。これは少しでも多くのネイティブアプリケーションを開発して欲しいという意識の現われでもある。このDeveloper CDもUpdateされた 後半部分で披露されたデモは、Adobeの「Premier」の開発途上版、そしてMac OS Xネイティブのドライブユーティリティ「Drive10」。そして昨年コンシューマ向けで最大のヒットとなった「Tony Hawk's Pro Skater 2」

 4つめの目標となったのは、キラーアプリケーションの存在。ネイティブ環境の1つであるCarbonは、これまで数限りなく生成されてきたコードをMac OS Xでも活かす手段として提供されている。昨年まではどちらかといえば、早期のネイティブアプリケーション作成のためにCarbonをクローズアップしてきたが、今年は若干トーンが変わってCocoa、Java2を前面に出してきている。Carbonは従来環境であるMac OS 9との互換も意図しているが、Mac OS XだけをプラットホームとするならCocoaというわけだ。Developer Toolも継続して提供される。新しいDeveloper CDは参加者に配布され、Mac OS Xのパッケージにも封入される。5つめがインターネットとの統合。Mac OS Xのセットアップ時に、iToolのアカウントが同時に取得できるという仕組みなどがこれにあたる。6つめがシームレスなモバイル環境。BSDでは対応していないスリープ機能、そして瞬時の復帰などを組み込んでいる。

 7つめは、日本のユーザーにはお馴染みのマルチリンガル対応と、ワールドワイドで1つのバイナリという概念である。すでに3月の発売時点で7つの言語がサポートされているが、5月末までにはさらに8つの言語(スウェーデン語、デンマーク語、ノルウェー語、フィンランド語、ブラジル―ポルトガル語、韓国語、繁体字中国語、簡体字中国語)をサポートすることになる。

 8つめは、従来環境からMac OS Xへの優しい移行。Mac OS X上で従来のアプリケーションが動作するClassic APIの提供や、Carbon APIの開発。そして、Jobs氏が発表した本日からのプリロードによるMac OS 9とMac OS Xのデュアルブート環境の提供である。9つめはデジタルハブのために、究極の環境となること。ネイティブのiTunesやiMovieの提供をはじめ、ストレージクラスに対応したデジタルカメラから直接画像データを取り込むなどのデモが披露された。


■Mac OS X Serverと、JavaベースとなったWebObject5を発表

 続いてJavaベースとなった「WebObject5」と、新しい「Mac OS X Server」を発表した。アプリケーションサーバーとしてWebObjectが、世界中の著名なサイトで試用されていることを例に挙げた。米国では本日付け、日本では6月上旬に出荷される。WebObject5の日本での販売価格は72,000円。Mac OS X Serverについては、これまでのAppleShareIPの容易さとMac OS Xの堅牢さをあわせ持つと説明された。

米国では本日付けで発売された「Mac OS X Server」。日本では6月上旬からAppleStoreと特定の販売店6社から販売される。PowerMac G4にMac OS X Serverがプリインストールされた「Macintosh Server G4」も同時に発表されたが、セッションのなかでは特に取り上げられなかった Mac OS X Serverは、AppleShareIPの使いやすさとMac OS Xの堅牢性をコンビネーションしたものと説明。デモンストレーションは、新しいQuickTime Streaming Serverにおいてネットワークトラブルが起こったときのスキッププロテクション機能を実演した Mac OS X Serverの新しいMac OS Xに対応するデスクトップマネジメント機能のNetBoot2、MacManager2。そしてNetInfoなどのディレクトリサービスが提供される。NetBoot2のデモは見てみたかったが、今回は実演されなかった

 Mac OS X Serverは、WebサーバのApache、Windowsファイル共有のSamba、アプリケーションサーバのWebObjects 5、QuickTime Streaming Server 3といった強力なサーバアプリケーションを統合し、Macintosh、Windows、UNIXベースのクライアントおよびネットワークに対してサービスを提供する。さらに、教育現場などで有用なNetBoot、MacManagerなどがMac OS Xに対応し、NetBoot2、Netmanager2として導入されている。Mac OS X Serverも、米国では本日付け、日本では6月上旬からの出荷となる。価格は同時利用者が10名までの10クライアント版が59,800円、ユーザー数を制限しないUnlimited版が98,000円となる。

米Macworld誌によるMac OS Xへの意識調査を引用。20%はすでにMac OS Xを導入し、68%が導入を計画しているという。夏までには、かなりのユーザーがMac OS Xを導入すると予測している こちらも、Macworld誌による調査。42%のユーザーが利用中のアプリケーションのすべてをネイティブアプリケーションにしたいと考え、いくつかのアプリケーションにおいて検討しているユーザーも40%にのぼる。これらの結果から、ネイティブアプリケーションへの期待は大きいと分析した これらはいずれも先進的なユーザーの例ではあるが、こうした層がマーケットに与える影響は57%から82%にも及ぶ。そのためにもMac OS X向けアプリケーションの開発を積極的に進めるように繰り返した

 最後は、Jobs氏もスピーチのなかで引用した米Macworld誌によるユーザーの意識調査を紹介。Mac OS Xに向ける期待の大きさを挙げて、来場しているデベロッパに対し積極的なアプリケーション開発を要請し、2時間に及ぶオープニングセッションの幕は閉じた。

オープニングセッションを終えたSanJose McEnery Convention CenterのコンコースをMac OS Xのロゴと、LCDモニタの垂れ幕が飾る 唯一、「Fireside Chat(ファイヤーサイド・チャット)」だと思わせるシーン。Jobsの登場と退場時にスクリーンに表示されたもの。スピーチの手順や形式は、これまで行なわれてきた講演とさほど変化はなかった デベロッパ向けのイベントにふさわしく、今回配布されているポスターはこんな感じ。役立つ人にはとても役立つんです、これが

□米Apple Computerのホームページ(英文)
http://www.apple.com/
□WWDCの案内ページ(日本語)
http://developer.apple.com/ja/wwdc2001/

(2001年5月23日)

[Reported by 矢作 晃]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp

Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.