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サイバーリンク
PowerVCR TV Edition
ノイズ除去や簡易編集も可能な多機能テレビ表示・録画ソフト
TEXT:天野 司 Tsukasa Amano



通常時の画面。テレビ表示・録画機能を操作するPowerVCRパネル(下)、映像を表示するビデオディスプレイ(上、画面ははめ込み合成)、各機能を呼び出すマスターパネル(左)
 サイバーリンクの「PowerVCR TV Edition(以下PowerVCR)」は、PC上でテレビ番組の表示・録画を行なう、いわゆる「テレビパソコン」機能を実現する製品だ。本製品自体はソフトウェアであり、テレビ受信・キャプチャ機能を持つハードウェアと組み合わせて使用する。

 PowerVCRの機能は多い。そのため、チャンネル選択やボリューム調整などを行なう「PowerVCRパネル」、テレビ画面を表示する「ビデオディスプレイ」というウィンドウのほかに、「マスターパネル」と呼ばれるウィンドウが用意されている。このマスターパネルは、リアルタイムテレビ視聴やタイムシフト再生、MPEGエンコードや録画ファイルの簡易編集などを選択するためのものだ。
 録画時のフォーマットはMPEG1または2をサポートする。ソフトウェアによるリアルタイムエンコードであるが、PowerVCRのエンコーダは、ほかのMPEGエンコーダとは一線を画す機能を持っている。たとえば、エンコード時にノイズをリアルタイムで除去する機能を持つ「NRR(Noise Reduction & Recovery)」や、動きのぎくしゃく感を抑える「モーションスムーサー」などである。


多彩な機能を持つ本製品だが、その中でもNRRとモーションスムーサーは画質に大きな影響を与える重要な機能。ユーザーの環境に合わせて効果的に使っていきたい
 PowerVCRにおけるリアルタイムテレビ表示は単なるオーバーレイ表示で、タイムシフト再生は一旦MPEGエンコード/デコードを経由した表示となる。理論上は後者のほうが画質は落ちるはずなのだが、テレビ受信の状態によっては、後者のほうが再生画像が見やすくなる場合があった。これは、上記のようなエンコード時のオプション機能が有効に働いているためかもしれない。

 エンコードの品質を決めるパラメータはVideo CDから、DVD-Video相当まで、幅広いプロファイルが用意されている。また新規にプロファイルを作成することも可能だ。ただソフトウェア方式の宿命で、エンコードには高いCPUパワーが要求される点には注意が必要だろう。

 PowerVCRの特徴の一つに、リアルタイムのビデオソースからだけではなく、既存のAVIファイルを、MPEG1やMPEG2にエンコードする機能を持っていることも挙げられる。つまり専用のMPEGエンコーダとしても利用できるわけだ。さらに、MPEGの簡易編集機能も備えているため、CMカットなどができる点もありがたい。

 タイマー録画機能もサポートするが、EPG(電子番組表)のたぐいにまったく対応していないのは残念だ。手動での録画予約は、EPGでの録画予約に比べて煩雑でミスも多いため、アップデートなどでなんらかの対策をしてほしいところだ。


AVIファイルをMPEGファイルに変換する機能も持つ。複数ファイルを一括変換するバッチエンコードも可能だ
 対応するシステムは幅広く、OSはWindows Me/98SE/2000 Professionalに対応する。またキャプチャデバイスは、この種の製品では標準となったWDM対応の装置が利用できるのはもちろんのこと、Video for Windows(VFW)対応デバイスをもサポートする。VFWにはそもそもテレビチューナー関係のAPIは用意されていないため、PowerVCRが持つチャンネル切り換え機能などは利用できないが、低価格なビデオキャプチャカードからでもMPEG1/2によるリアルタイムキャプチャが行なえる点はかなり魅力的だ。

 このようにPowerVCRは、ほかのテレビパソコン製品に比べて一歩も二歩も先んじる機能を備えている。EPGに対応しない点は悔やまれるが、単なるテレビ受信・録画にとどまらないさまざまな楽しみ方ができるはずだ。


・製品名:PowerVCR TV Edition
・標準価格:7,800円(アップグレード/乗り換え版4,800円)
・メーカー:サイバーリンク株式会社
・問い合わせ先:http://support.cli.co.jp/support_form.asp
・URL:http://www.cli.co.jp/
・最大記録解像度:720×480ドット(PALでは720×576ドットまで可)
・記録フレームレート:29.97、25、24fps
・映像bitレート:192kbps~10Mbps
・音声bitレート:64kbps~384kbps
・対応OS:Windows Me/98SE/2000 Professional
・動作環境
 ○CPU
  ・MPEG2録画時:Pentium III/Athlon/Duron 650MHz以上
  ・MPEG2タイムシフト時:Pentium III/Athlon 1GHz以上
 ○メモリ:64MB以上(MPEG2録画/再生時は 128MB以上推奨)
 ○HDD:30MB以上の空き容量
 ○ビデオカード:オーバーレイ表示可能なもの(AGP接続推奨)
 ○キャプチャデバイス:Microsoft VFWまたはWDMに準拠(WDM推奨)したもの(PCIまたはUSB接続のビデオキャプチャデバイス、AGP接続のキャプチャ機能付きビデオカード、CCDカメラ)


□サイバーリンクのホームページ
http://www.cli.co.jp/
□ニュースリリース
http://www2.cli.co.jp/pvcrtv/newsrelease0228.htm
□関連記事
【2月23日】サイバーリンク、TVを楽しむためのMPEG-2録画ソフト
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010223/cyber.htm


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