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会場:大阪アメニティパーク(OAP)38階、24階
今年で3年目を迎える『iWeek2001』。「関西でMacユーザーのためのイベント開催を!」を合言葉に、毎年ゴールデンウイークにユーザーグループ主体で手作りとも言うべきイベントが続けられている。
例年の開催で認知度が高まったことと、今年の開催直前には米Apple Computerから新しいiBookが発表された期待感などから、会場には例年を大幅に上回る来場者が訪れ、初日は会場への入場制限を検討する一幕も見られるほどの盛況となった。3日間を通しての総来場者数は、15,497人と発表されている。
●原田永幸社長は一層のユーザーサポート拡充を約束
会期初日にあたる4日には、ユーザーグループの招きによるアップルコンピュータの原田永幸社長の講演が開かれた。これは、初年度から恒例になっている催し。講演会場のキャパシティの都合により開始2時間ほど前から整理券が配布されたが、300枚程度の整理券はあっと言う間になくなった。
同氏の講演のテーマは、主にアップルコンピュータのユーザーサポートの拡充に関するもの。冒頭では「以前は私にも新製品を発表する役割が与えられていたが、今はすべてスティーブ・ジョブズに取られてしまった(笑)」と冗談とも本音とも付かないコメントからスタート。
本題に入る前には、発売から1カ月余りが経過した「Mac OS X」を紹介。プロダクトマネジャーの櫻場氏の手により、数々のデモンストレーションが披露された。櫻場氏は「Mac OS Xは、言うなれば生まれたばかりの赤ちゃんのようなもの。虐待などせず温かい目で見守って、一緒に育て上げて欲しい(笑)」と、会場のユーザーに訴えた。
原田氏は、ジョブズCEOが講演のなかでよく使う『Surprise(サプライズ)』という言葉を引用して「今回は10個のサプライズを用意した」とコメント。「会場に集まった皆さんの期待に応えられるよう、昨晩まで検討を続けていた」という10個の内容を順に紹介していった。しかし、そのなかには非公開を条件とされたものが含まれており、すべてを掲載できるわけではない。これらは、いずれ正式なアナウンスとともに明らかになると期待しよう。
最初のサプライズは、昨年12月をもって中止されていたポータブル製品の対面修理サービス再開である。これはユーザーグループのひとつである『PB2400と心中するしかないのかい?(会)』をはじめとするユーザーの署名活動や訴えなどに応えた格好となる。当初、これらの訴えやマスコミの取材に対しては、4月からの再開を公約していた。実際は期日ギリギリの4月30日になってサービスは再開されたが、同社のホームページでのアナウンスは半日遅れて5月1日になってしまったのが反省点と振り返った。さらに、対面修理サービスをいったん終了させたからこそ、良い点と悪い点を見直すことができ、再開にあたってよりよいサービスが構築できるようになったと強調した。
続いては、修理費用に関してのサプライズ。筆者の取材による「ASAhIパソコン」誌の記事を例に挙げ、修理費用の見直しを発表した。発表によると取材当時には4つにカテゴライズされていた修理費用を2つのカテゴリーに集約。本来はワンプライスが理想だったが、それはさすがに厳しかったので2つという選択になったという。一見、最低修理費用が上がっているように見えるが、在宅自己交換修理を拡充していくことで、事実上は低価格になるように工夫していくという。修理費用を単純化したことで、迅速な見積もりが可能となり、ユーザーへの返却期間もより短縮できるようになるはずとのことだ。
2つほど飛んで、5つ目と6つ目はいずれもApple Storeに関すること。ビジネスリースの取り扱いと、請求書/見積書の発行システムなど、これまではあまり法人利用には向いていなかったApple Storeのシステムを見直す点と、コンビニエンスストアでの支払いという日本独自の決済システムの導入である。
7つ目はサプライズと言うよりも自慢話。PC Watchでもこれまでニュースリリースをもとにいくつか紹介してきたが、500万台目のiMac出荷や、QuickTime5のダウンロード数に関することなどである。そして8つ目が同社のホームページに用意されている『Tell Us』の仕組みについて。いわゆるアップルコンピュータへ要望を投書するシステムだが、最初に述べた対面修理の再開などもここへの要望が元になっている。「きちんとしたサービスが出来るのは確かに当たり前のことだが、できたら苦情や意見ばかりではなく、お褒めの言葉もいただきたい」と、Tell Usを一層活用して欲しいと訴えた。
さすがに10個は、かなりネタ的にも苦しかったようで、9つ目はiWeek実行委員会へのiBook(ただし旧モデル)の提供。スライドでは1台だったが「きょうは気分がいいので、私の一存で……」と前置きのうえ、急遽2台に増加。これは、会場内でiWeekのアンケート回答者のなかから抽選でプレゼントされることになる。ちなみに、最後のサプライズは、残念ながら非公開となる。
講演終了後には、客席から前述の対面修理サービス再開への署名や要望書の提出をとりまとめた小林浩氏が立ち上がって、原田社長に激励状を手渡した。激励状の内容は、対面修理サービス再開と、小型軽量という新しいiBookの発表に対して、アップルコンピュータの苦労をねぎらうもの。と同時に、更なる奮起をお願いする激励の言葉も付け加えられている。さらに「このままこのいい傾向が根付いてね」という要望を込めて、鉢植えの花が同時に贈られた。
Tell Usへの要望は、ご意見や苦情ばかりでなく「お褒めの言葉」もいただきたいと、本音がポロリ | 旧モデルながらiBookを2台、実行委員会へ提供。会場内でのアンケート回答者のなかから2名にプレゼントされる | 激励状と記念の鉢植えを原田社長に手渡す『PB2400と心中するしかないのかい?(会)』の小林氏 |
●期待の新iBookは、残念ながら展示されず
大阪アメニティパークの38階に設置された会場は、初日の会場直後から大変な混雑を見せた。なかには、米国で発表されたばかりの新しいiBookが展示されてはいないかと、期待を込めて来場した人も少なくなかったようだが、残念ながら会場内でiBookを見ることはできなかった。
ユーザーグループ主体のイベントということで、展示スペースの約半分はユーザーグループによる出展。いずれもアットホームな雰囲気で、趣向を凝らした出展が行なわれていた。キッズ向けのコーナーには子供向けの遊技エリアも設けられるなど、ユーザーサイドにたった工夫もあちこちにみられる。
他にも大小2つのステージでは、絶え間なくユーザーグループや出展企業によるプレゼンテーションが行なわれるなど、ファンなら一日中楽しんでいられる催し。場内の様子は、写真で紹介することとしよう。
iWeek2001の総監修を務める大阪電気通信大学の魚井宏高助教授。ユーザーグループやMacファンの間では知られた存在で、いわばiWeekの顔 | 開場直後は、この状況。瞬間的には同じ大阪のユニバーサルスタジオ・ジャパンの人口密度をも上回ったと思える混雑ぶり。午後には少し余裕がでてきた | 24階の会議スペースを利用して開催された原田社長の講演を待つ人々。整理券に記されたナンバー通りに整列して開場を待つ |
プレゼンテーションステージで、PowerBook G4のクロックアップ方法を解説するというネタができるのも、ユーザー主体のイベントならでは | こちらはメインステージ。関西を中心とした出展企業や様々なゲストが絶え間なくプレゼンテーションを行なっている | 企業出展のなかでは、もっとも人が集まっていた「Do-夢」。ジャンクパーツや、中古品のなかからお宝を探しもとめる人々 |
Macintoshのコレクターとして知られる立野康一氏のコレクションの一部も展示されていた | さすが大阪! 一階の飲食スペースにあるラーメン店では、チャーシューに林檎マークの焼き印を押すというサービスも | アップルコンピュータや大阪めたりっく通信の協力で、カフェテリアにはAirMacを設置。会場内で流されているストリーミング中継を見ることもできる |
□iWeek2001のホームページ
http://iweek.vow.ne.jp/
(2001年5月8日)
[Text by 矢作 晃]