GeForce2 MX400のクロックの謎を探る
~東海理化販売が公開したBIOSアップデートを試す



 GeForce2 MX400搭載ビデオカードについては、すでに本連載で取り上げたが(http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010402/hotrev101.htm)、その際に紹介したTornado GeForce2 MX400(PCI版)とVMX400-32Aは、どちらもNVIDIAが公開している資料から推測される本来のコアクロック/メモリクロックで動作していなかった。特に、後者の製品については、販売元である東海理化販売のWebサイトに、コアクロック200MHz、メモリクロック166MHzと記述されているにもかかわらず、実際にはコアクロック175MHz、メモリクロック150MHzで動作していた。

 そこで、東海理化販売に問い合わせたところ、「初期ロットの一部に、コアクロック175MHzで動作する製品が混入していた。コアクロックを200MHzにアップグレードするためのBIOSアップデートファイルをWebサイト上で配布する」との回答をいただいた。その回答通り、4月6日にBIOSアップデータが同社Webサイト上で公開された。問い合わせからBIOSアップデートファイルの公開まではわずか4日ほどであり、その迅速な対応には好感が持てる(もちろん、出荷した製品に、本来よりも低いクロックで動作する製品が混入してしまったということ自体は決してほめられるべきことではないが)。

 また、GeForce2 MX400を搭載したビデオカードは、すでに5、6社以上のベンダーから登場しているが、中には定格よりも高いメモリクロックで動作させている製品もあるという。例えば、PROLINKのPixelView GeForce2 MX(GeForce2 MX400搭載版)は、複数のショップの動作確認によると、コアクロック200MHz、メモリクロック183MHzで動作しているという。そこで、GeForce2 MX400レビューの追補として、VMX400-32AのBIOSをアップデートしたものとPixelView GeForce2 MX(GeForce2 MX400搭載版)の2製品について、以前のレビューと同じ環境でベンチマークテストを行なうことにした。


●BIOSアップデートによってコアクロックは定格の200MHzに

 まず、VMX400-32AのBIOSアップデートの手順を解説しよう。BIOSアップデートに必要なファイルは、東海理化販売のWebサイト(http://www.torica.com/products/torica-original/graphic/bios-up.htm)で公開されている。BIOSアップデートファイルは、対応するシリアルナンバーによって2種類存在するので、ビデオカードの裏のシールに書かれているシリアルナンバーを確認して、正しいファイルをダウンロードする必要がある。

VMX400-32AのBIOSアップデート完了後に表示されるメッセージ

 BIOSアップデートファイルは、自己解凍形式になっており、実行することでファイルが解凍される。ファイルが解凍されたら、MS-DOSモードで再起動し、コマンドプロンプトから「nvflash -fm4150.rom」と入力する(MX400-1.EXEをダウンロードした場合)。すると、画面にメッセージが表示され、10秒間ほど画面がブラックアウトする。アップデートが正しく完了すると、再び画面が表示されるので、それまで絶対に電源を切らないようにすること。

 アップデートが完了すると画面に再びメッセージが表示されるので、リセットすればよい。これでビデオカードのBIOSアップデートは終了だ。マザーボードのBIOSアップグレードを行なったことのある人なら、ほとんど同じ手順なので、特に問題はないだろう。アップデートは必ずMS-DOSモードで再起動して行なう必要がある。MS-DOSプロンプト(DOS窓)からでは、正常にアップデートできないので注意したい。なお、BIOSをアップデートしても、起動時に画面に表示されるビデオBIOSのバージョンは「3.11.00.18.00」のままで特に違いは見られなかった。

 BIOSをアップデートした状態でPowerStripを用いて、コアクロックとメモリクロックを計測したところ、コアクロックは確かに200MHzにアップしていたが、メモリクロックは150MHzのままで変化はなかった。今回公開されたBIOSアップデートファイルは、コアクロックを175MHzから200MHzにアップグレードするためのファイルであるとWebサイトに記述されているが、その記述通り、メモリクロックは変わらないようだ。

 筆者は前回の記事を執筆後に、別のVMX400-32Aを触る機会を得たが、そのVMX400-32Aはコアクロック175MHz/メモリクロック166MHzで動作していた。初期ロットの製品の中でも、仕様が複数存在するようだ。後者のVMX400-32Aなら、BIOSをアップデートすることで、コアクロック200MHz/メモリクロック166MHzというGeForce2 MX400本来のクロックで動作するようになると予想されるが、ここで利用したVMX400-32Aでは、BIOSアップデートを行なっても、本来のクロックで動作しているほかのGeForce2 MX400搭載ビデオカードに比べると、性能はやや劣る(詳しくはベンチマーク結果を参照のこと)。


●5nsの高速メモリを搭載するPixelView GeForce2 MX

 次に、PixelView GeForce2 MX(GeForce2 MX400搭載版)をテストしてみた。PixelView GeForce2 MX(GeForce2 MX400搭載版)は、情報通り、デフォルト(出荷時)の状態で、コアクロック200MHz/メモリクロック183MHzで動作していた。コアクロックは定格動作だが、メモリクロックは定格よりも17MHzほど高いクロックで動作していることになる。

 メモリクロック166MHzの場合、ビデオメモリのアクセス速度は6nsあれば十分だが、183MHzで動作させるにはアクセス速度5.5ns以上の高速メモリが必要になる。VMX400-32Aは、ビデオメモリとしてWinbond製のW986432AH-6(アクセス速度6ns)が採用されているのに対し、PixelView GeForce2 MX(GeForce2 MX400搭載版)では、SAMSUNG製のK4S643232E-TC50(アクセス速度5ns)という高速メモリチップが採用されている。

 GeForce2ファミリでは、メモリのバンド幅がパフォーマンスのボトルネックになりやすいため、コアクロックを上げるよりもメモリクロックを上げるほうが、性能の向上度合いが大きい。メモリクロックを通常よりも高くするという、PixelView GeForce2 MX(GeForce2 MX400搭載版)のアプローチは、パフォーマンスの向上には有効だ。前回と同じテスト環境で、ベンチマークテストを行なってみたが、やはりPixelView GeForce2 MX(GeForce2 MX400搭載版)は、頭1つ抜け出ている。

 なお、今回のテストは、それぞれの製品に付属しているドライバ(そのベンダーのWebサイトで製品付属のドライバよりも新しいドライバが公開されている場合はそのドライバ)を用いたが、PixelView GeForce2 MX(GeForce2 MX400搭載版)には、今回テストしたほかのGeForce2 MX400/MX200搭載ビデオカードよりも、新しいドライバ(4.12.01.0752)が付属していた(NVIDIAが正式公開しているリファレンスドライバ4.12.01.0650よりも新しい)。ドライバの違いも、性能差に多少は表われているのだろう。

PixelView GeForce2 MX(GeForce2 MX400搭載版) アクセス速度5nsのメモリが実装されている

【テスト環境】
CPU:PentiumIII 866MHz
マザーボード:ASUSTeK CUSL2(Intel 815Eチップセット)
メモリ:PC133 SDRAM 128MB
HDD:Seagate Barracuda ATA ST313620A(13.6GB)
OS:Windows 98 SE+DirectX 8.0

【WinBench 99 Version 1.1】
Business Graphics WinMark 99  374
 367
 376
 365
 372
High-End Graphics WinMark 99 1,060
1,050
1,060
1,050
1,060
VMX400-32A 175MHz/150MHz
 (出荷時の状態)
VMX400-32A 200MHz/150MHz
 (BIOSアップデート後)
VMX400-32A 200MHz/166MHz
 (本来の仕様)
PixelView GeForce2 MX
 (GeForce2 MX400搭載版)
 200MHz/183MHz
SUMA PLATINUM GeFORCE2 MX
 175MHz/166MHz

【3DMark 2000 Version 1.1】
1,024×768ドット/16bit 4,495
4,639
4,935
5,209
4,730
1,024×768ドット/32bit 2,827
2,849
3,359
3,506
3,128
1,280×1,024ドット/16bit 3,036
3,136
3,465
3,617
3,237
1,280×1,024ドット/32bit 1,710
1,721
2,096
2,202
1,931
1,600×1,200ドット/16bit 2,266
2,280
2,534
2,673
2,369
VMX400-32A 175MHz/150MHz
 (出荷時の状態)
VMX400-32A 200MHz/150MHz
 (BIOSアップデート後)
VMX400-32A 200MHz/166MHz
 (本来の仕様)
PixelView GeForce2 MX
 (GeForce2 MX400搭載版)
 200MHz/183MHz
SUMA PLATINUM GeFORCE2 MX
 175MHz/166MHz

【Quake III Arena】
800×600ドット/16bit 111.5
113.2
118.1
118.4
112.4
800×600ドット/32bit 083.4
077.8
092.3
095.1
084.9
1,024×768ドット/16bit 076.9
080.9
086.1
091.8
081.5
1,024×768ドット/32bit 052.3
050.7
058.5
061.3
054.2
1,280×1,024ドット/16bit 048.8
049.3
054.8
057.4
050.4
1,280×1,024ドット/32bit 030.8
028.6
034.8
036.5
031.8
VMX400-32A 175MHz/150MHz
 (出荷時の状態)
VMX400-32A 200MHz/150MHz
 (BIOSアップデート後)
VMX400-32A 200MHz/166MHz
 (本来の仕様)
PixelView GeForce2 MX
 (GeForce2 MX400搭載版)
 200MHz/183MHz
SUMA PLATINUM GeFORCE2 MX
 175MHz/166MHz

 このように、同じGeForce2 MX400を搭載したビデオカードでも、製品によってコアクロックやメモリクロックには違いがあるようだ。コアクロックについては、今後は定格通り200MHzで動作する製品が増えてくると思われるが、メモリクロックはビデオカードベンダーの裁量にある程度まかされているようなので(NVIDIAが公式に認めているかは不明だが)、実売価格がそれほど変わらないのであれば、PixelView GeForce2 MX(GeForce2 MX400搭載版)のように、高速なメモリを搭載し、定格よりも高いメモリクロックで動作している製品を選ぶべきであろう。

 5nsのメモリなら、200MHz動作にも対応しているはずなので(もちろん、オーバークロックは保証外の行為なので、あくまで自己責任で試してもらいたい)、PixelView GeForce2 MX(GeForce2 MX400搭載版)はオーバークロック派にもお勧めできる。なお、筆者が確認した限りでは、SUMAのPLATINUM GeFORCE2 MX 400 SIF Type Aも、メモリクロック183MHzで動作していた(アクセス速度5.5nsのメモリを採用)。あくまで筆者が試した製品がそうであったということで、PixelView GeForce2 MX(GeForce2 MX400搭載版)やPLATINUM GeFORCE2 MX 400 SIF Type Aなら、全ての製品がメモリクロック183MHzで動作していることを筆者が保証するわけではない。

□Akiba PC Hotline!関連記事
【3月17日】見た目ではMXと変わらず?GeForce2 MX400/MX200搭載カード登場
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20010317/etc_mx24.html
【3月24日】InnoVisionがGeForce2 MX400搭載カード計8モデルを一挙発売
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20010324/etc.html#mx400
□関連記事
【4月2日】GeForce2 MXファミリーに新たに加わったGeForce2 MX400/MX200とは?
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010402/hotrev101.htm

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(2001年4月12日)

[Reported by 石井英男@ユービック・コンピューティング]

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