2001東京おもちゃショー トイカメラレポート

カメラごっこはもう卒業。進化を続ける玩具メーカーのデジタルカメラ

会場:東京ビッグサイト 東展示場

会期:3月22日~25日 一般公開日



 子供の大切な遊びに「~ごっこ」がある。もちろん社会生活への第一歩でもあるし、両親をはじめとする大人の真似をしてみたいという純粋な好奇心もある。

 ままごとセットを皮切りに、お馴染みのリカちゃん電話などは、そうしたニーズに応える玩具である。携帯電話なども、割と早い時期から類似おもちゃが出現して小学生あたりに注目されていた……のは、ほんの少し前のこと。今や高学年では5人に1人が本物の携帯を所有するに至って、生半可なフェイクでは見向きもされない。ハイテク機器を中心に、玩具の本格志向は加熱するいっぽうだ。デジタルカメラもその1つ。そこで、先日開催された東京おもちゃショーに出展された、玩具メーカーの新製品デジタルカメラの本格派ぶりをレポートてみよう。


■方向性の異なる2つの新製品を発表したタカラ

 以前、スティック型のデジタルカメラ「スティックショット」で話題を振りまいたタカラは、その進化バージョンとして内蔵メモリを8MBに増強、そして約30秒間の動画撮影にも対応する「スティックショット MX」を製品化。8,980円で販売を開始する。さらに新しいコンセプトで開発された2モデルを公開した。

タカラの「PETIT SHOT(プチショット)」。女性の手のひらにすっぽりと収まるほどにコンパクト。レンズ周りにあるレバーで、マクロと標準撮影の切り替えができる 背面には画質や撮影モードの切り替えボタンと、モードや撮影枚数を表示する液晶パネルがある。側面には単4電池二本が入る電池ボックスとUSBインターフェイス

 「PETIT SHOT(プチショット)」は、乾電池を含んだ重量が約70g、本体サイズ55×25×71mm(幅×奥行き×高さ)という超コンパクトなデジタルカメラで、女性の手のひらにもすっぽりと収まる。撮像素子には35万画素のCMOSセンサーを採用。高解像度モードでは640×480ドットの画像が撮影できる。35万画素といえば、デジタルカメラの黎明期には主力として使われていた解像度。展示ブース内でもA4サイズ紙にインクジェットプリンタで出力したサンプル画像を用意するなど、その画質に自信を見せる。同社の製品紹介ページでもサンプル画像が掲載されている。

 また、コンパクトさを生かして約10cmまで寄ったマクロ撮影ができるのもセールスポイントの1つ。被写体に体ごと寄って撮影することが難しいシーンでも、この小ささなら手のひらだけを被写体に近づけたマクロ撮影が可能になる。動画撮影にも対応しており、高解像度で約4秒、低解像度で約14秒の記録ができる。ただし音声を同時に録音することはできない。価格は12,800円で、間もなく販売が開始される。


「Print Shot」。プロトタイプのため、現在はカメラ本体と携帯電話とが直結されている。左に見える黄色のパーツがシール紙のカートリッジ。YMCOcの四版印刷のため、用紙は4度出入りしてプリントアウトされる
 もう1つの「Print Shot(プリントショット)」は、画質よりも機動性を追求した製品。バリアブルドット熱転写方式のカラープリンタを内蔵。さらに携帯電話とのインターフェイスを装備する。展示されていた製品はプロトタイプということでインターフェイスがリード線で直結されていたが、製品化に際してはもちろんコネクタ方式が採用される。

 プリンタ内蔵カメラと携帯電話との連携により、撮影した画像をそのままプリントするだけでなく、携帯を経由して画像を送信したり、インターネットのコンテンツを読み込んでプリントアウトすることも可能になる。携帯電話の液晶画面に表示される画像の大きさを考えれば、プリンタ部分の32×40mmという印字サイズは確かに適当な大きさ。印字する画像には、カメラ本体のボタン操作で日付や電話番号などが14文字まで追加できる。アドレス帳に、顔写真と電話番号あるいは誕生日などが入ったシールをペタペタ貼っていくような使い方を想定しているのだろう。

 撮像素子は10万画素のCMOSセンサーで、ことさら画質が追求されているわけではない。携帯での画面表示やシールへの印字に利用できればいいという割り切った考え方だ。気になる消耗品の価格だが、印刷用のカートリッジはインクとシール紙をセットにして1,000円程度を検討しているという。含まれるシール紙の枚数などは現時点では未定。7月下旬に19,800円(予定)で発売を予定しているが、対応する携帯電話のキャリアは検討中ということで明らかにされていない。

こちらが前面。カメラとして撮影に必要なボタンはシャッターだけ。そのため操作ボタンはシャッターを除いてすべて前面に集中しているのも「Print Shot」のユニークなところ。プリントアウト時の操作性を優先した仕様だ プリントのサンプルが右隅に貼られている。お馴染みのリカちゃんは、インターネットのコンテンツを取り込んでプリンアウトしたもので、コンパニオンはカメラ部分で実際に撮影されたもの

□PETIT SHOT製品情報
(Print Shotの情報は3月30日現在、公開されていない)
http://www.stickshot.com/petitshot/


■マイクロビューア搭載で、撮影画像のプレビューが可能な「FSTYLE-V」

 C@Mail(シー・アット・メール)に続くバンダイのデジタルカメラブランドは「FSTYLE(エフスタイル)」シリーズ。手軽さを優先したC@Mailに比べて画質にもこだわったシリーズと言えそうだ。スタンダードモデルである「FSTYLE」は、8MBの内蔵メモリのほかに、外部メモリとしてスマートメディアにも対応。担当者によれば128MBのスマートメディアも利用可能だが、撮影可能枚数を表示する液晶パネル部分のカウンターがフローしてしまうという。撮影自体には影響しない。いっぽう「FSTYLE mimi」は、外部メモリを排して小型化を優先。利用する電源も「FSTYLE」の単3アルカリ乾電池二本に対して、「FSTYLE mimi」は単4アルカリ電池四本という違いがある。

 共通仕様としては、いずれも30万画素のCMOSセンサーを採用。オートストロボを搭載する。パソコンとの接続はUSBインターフェイスを利用し、フォトレタッチソフト「フォトエクスプレス3」が付属している。「FSTYLE mimi」は、8,980円で5月に、「FSTYLE」は1万2800円で今夏にそれぞれ発売される予定だ。

「FSTYLE」はいかにもコンパクトカメラ然としたスタイル。本体色が白の製品も同時に展示されていた。動画の撮影や、Windowsのネットミーティングにも対応 「FSTYLE mimi」。トランスルーセントを基本としたC@Mailシリーズとは明らかに異なるデザインコンセプト。スマートメディア未対応という以外の主な仕様は、「FSTYLE」とほぼ共通

 もう1つ、こちらは参考出展という形になるが上位モデルに位置づけられる「FSTYLE-V」も同時に展示された。「FSTYLE-V」の最大の特徴は、こうした玩具メーカーの低価格なデジタルカメラでは初めて搭載されると思われるプレビュー機能を持っていることだ。とはいっても、お馴染みのTFT液晶モニターではない。ファインダー部分と兼用されるマイクロビューアである。撮影画像のプレビューが必要な時は、上部のスライダをスライドさせるとファインダーが閉じる。この状態でファインダーを覗き込むと、そこに撮影済みの画像が表示されるという仕組みだ。もちろん約1センチ四方のスクリーンだけに画像の詳細までチェックすることは不可能だが、どんな感じで撮影されているのかを確認することは十分に可能だった。このジャンルにおける新しい試みとして注目したい。

「FSTYLE-V」は結構凝った本体デザイン。あくまで参考出展だが、内蔵ストロボは搭載されていない。レンズ周りにマクロと標準撮影の切り替えスイッチが見える 中央の液晶パネルには、撮影可能な枚数や撮影モードが表示される。上部のスライダをスライドさせるとファインダーがマイクロビューアへと早変わりする

□バンダイのホームページ
(FSTYLEの情報は現時点で公開されていない)
http://www.bandai.co.jp/

□東京おもちゃショーのホームページ
http://www.toys.or.jp/

(2001年3月30日)

[Reported by 矢作 晃]


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