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Athlon 1.33GHz登場!
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AMDから同社としては最高クロックとなるAthlon 1.33GHzとAthlon 1.3GHzが発表された。ライバルとなるIntelのPentium 4が1.5GHzを実現しているため、実クロックという意味では負けているが、実際のパフォーマンスでは1.2GHzの時点でもベンチマークによってはPentium 4を上回っているため、今回のAthlon 1.33GHzのパフォーマンスもかなり期待していいだろう。今回は既に秋葉原などで販売されているAthlon 1.33GHzを入手し、ベンチマーク結果などを基にAthlon 1.13GHzのパフォーマンスを分析していこう。
●PalominoコアではなくThunderbirdのままで登場したAthlon 1.33GHz
今回AMDが発表したAthlon 1.33GHzは、これまでもAthlonに利用されてきたThunderbirdコアで作られており、AMDが第1四半期中に製品化を計画していたPalomino(パロミノ)をベースにしたものではない。既に別記事でも触れていると思うが、AMDが公表したロードマップによれば、デスクトップ版のPalominoのリリースは2000年後半となっており、昨年の11月に公開されたロードマップで触れられていた第1四半期中の大量出荷に比べると大幅に後退している。
現時点ではなぜPalominoが延期になったかという事情は明らかではないが、可能性として高いのはPalominoの生産がうまくいっていないということなのだろう。AMDは同じロードマップの中でサーバー/ワークステーション版とモバイル版のPalominoは予定通り出荷するとしているからだ。
つまり、PalominoがAMDが予想していたよりも少量しか生産できなかったため、ボリュームがさほど大きくないサーバー向け、モバイル向けを先に出し、デスクトップ版は数がそろってきてから出荷するという方針に変更したのだろう。昨年は非常に順調だったAMDだが、昨年の暮れあたりからシステムバスクロックが266MHzのAthlonの出荷がかなり遅れたり、Palominoが結局延期になったりと、再び生産面でのトラブルが続いているという印象だ。
そういうわけで、本来Palominoコアでリリースされる「はず」だったAthlon 1.33GHzも、結局従来の延長線上にあるThunderbirdベースとなった。しかし、CPUの機能としては特に変更点などはないため、性能面などに特に影響はないと言える。ただ、発熱量は増えているはずなので、冷却面ではこれまでよりも注意を払う必要があると言える。また、シリコングリスなど放熱効率をよくするための工夫も必要だろう。最近ではCPUの発熱量が以前に比べると大きくなっているので、ファンを間違って取り付けてCPUを壊してしまうなどのトラブルもよくある話なので、注意したいところだ。
●ほとんどの項目でPentium 4/1.5GHzを上回る高い処理能力を発揮
今回はAthlon 1.33GHzのパフォーマンスを計測するために、以下のような環境を用意した。
【テスト環境】
Athlon 1.33GHz | Athlon 1.2GHz | Pentium 4 1.5GHz | |
---|---|---|---|
マザーボード | ASUSTeK COMPUTER A7M266 | ASUSTeK COMPUTER A7M266 | ASUSTeK COMPUTER P4T |
メモリ | PC2100/256MB(CL=2.5) | PC2100/256MB(CL=2.5) | PC800/256MB |
HDD | IBM DTLA-307030 | ||
ビデオカード | GeForce2 MX/32MB(SDRAM) | ||
OS | Windows 98+DirectX 8a |
比較対象として用意したいのはAthlon 1.2GHz(システムバスクロック266MHz)とPentium 4/1.5GHzで、いずれもこれまでのAMD、Intelの最高峰の環境と言える。
利用したベンチマークは、BAPCOのSYSmark2000、MadOnion.comの3DMark2000、id SoftwareのQuakeIII Arena、Virginia大学が開発したメモリのバンド幅計測テストであるStreamDという通常利用しているベンチマークテストに加え、今回はZiff-Davis Mediaが開発したBusiness Winstone 2001、Contents Creation Winstone 2001の2つを追加した。
Business Winstone 2001はビジネスアプリケーションを利用したベンチマークテストであるBusiness Winstone 99の新しいバージョンで、Office 2000などの最新のアプリケーションの実在コードを利用して実アプリケーション環境におけるPCのパフォーマンスを計測する。Contents Creation Winstone 2001はコンテンツを作成するアプリケーションを集めたもので、従来のHigh-End Winstone 99に相当するベンチマークで、Photoshopなどの実在のコードを利用して計測する。
結論からいえば、Athlon 1.33GHzはメモリのパフォーマンスが効いてくる一部のベンチマークを除き、Athlon 1.2GHzはもちろんのこと、Pentium 4 1.5GHzも圧倒的に上回った。SYSMark2000の総合スコアではPentium 4 1.5GHzが195でしかないのに対して、Athlon 1.33GHzは255と大幅に上回った。さらに、Business Winstone 2001、Contents Creation Winstone 2001など、いわゆるオフィスアプリケーションやコンテンツ作成系のアプリケーションでも、Athlon 1.33GHzがPentium 4 1.5GHzを大幅に上回っている。
逆にPentium 4 1.5GHzが上回ったのは、SYSmark2000のうちPhotoshop 5.5、Windows Media Encoder 4.0、QuakeIIIの低い解像度(VGA、SVGAなど)と、メモリの実行バンド幅を計測するStreamDだった。StreamDの結果は圧倒的と言えるが、これは2チャンネルのDirect RDRAMをサポートしているためで、Pentium 4の処理能力が上というわけではない。
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Athlon 1.33GHz Athlon 1.2GHz Pentium 4 1.5GHz |
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Athlon 1.33GHz Athlon 1.2GHz Pentium 4 1.5GHz |
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Athlon 1.33GHz Athlon 1.2GHz Pentium 4 1.5GHz |
【StreamD】
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Athlon 1.33GHz Athlon 1.2GHz Pentium 4 1.5GHz |
【Winstone2001】
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Athlon 1.33GHz Athlon 1.2GHz Pentium 4 1.5GHz |
●価格差を考えれば現時点での最強の選択肢
先週末の時点でPentium 4+マザーボード+Direct RDRAM(128MB)の価格がCPUとメモリが8万円前後、マザーボードが3万円前後で合計11万円にもなっているのに対し、Athlon 1.33GHz+ファンで4万円弱、メモリが1万円前後、マザーボードが2万円前後と、7万円程度で済む計算になる。4万円も安価でしかもパフォーマンスがAthlon 1.33GHzの方が上であるとすれば、現時点でAthlon 1.33GHzがパフォーマンスから見ても、コストの観点から見ても最強の選択肢と言うことができるだろう。
まもなくIntelも1.7GHzのPentium 4を投入する予定と言われており、性能面では実クロックをあげることによりこの差を縮めることができる可能性はある。しかし、このCPUの価格が現在のPentium 4 1.5GHzを下回る可能性は低いと思われるので、Athlon 1.33GHzのコスト面での優位性が揺らぐことはないと考えられる。Athlon 1.33GHz+AMD760+PC2100という組み合わせを現時点でのベストバイとしたい。
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(2001年3月22日)
[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]