後藤弘茂のWeekly海外ニュース

Pentium 4/HammerチップセットとCPU統合チップセットを投入へ
--SiSのチップセット戦略

Alex Wu氏

●アレックス・ウー(Alex Wu)、SiSディレクタ(Integrated Product Division)インタビュー(前編)



●3つのセグメントで新製品を投入

[Q] 御社のグラフィックス統合DDR SDRAMチップセットとして、SiS740とSiS640という製品があると聞いている。これらの詳細を教えて欲しい。

[Alex Wu] 個別の話はまだできないが、製品全体の戦略は説明しよう。

 PC向けのチップセットは、大きく2つに分かれる。オープンアーキテクチャとクローズドアーキテクチャだ。1つ目のセグメントのクローズドアーキテクチャは、コアロジックにVGA、マルチメディア、オーディオ、コミュニケーションなどの機能を加えた統合チップセット。このセグメント向けの当社の製品は、現在630と730があるが、近い将来に次世代製品、正式な名前は言えないが、Intel用の「SiS6xx」とAMD用の「SiS7xx」を投入する予定だ。製品系列ごとに、6カ月か9カ月で新世代製品を出して行く。

 このエリアでは、もっとも重要なことは継続してカスタマーニーズに合わせたアップグレードを行なうこと。例えば、グラフィックス機能については、6カ月以内に2〜3倍の性能向上、12カ月以内に4倍の性能向上を達成する。

 どうやってそれを達成するのか。そのカギはプロセス技術だ。当社のチップセットのプロセス技術は、0.25μmから現在0.18μmへ移行し、今のコアはすべて自社Fabの0.18μmプロセスになっている。そして、次のシーズンにはさらに0.15μmへと移行する予定だ。チップセットとしては最先端のプロセスを使っている。プロセス技術の向上で、高度な機能の統合が可能になり、カスタマーニーズに合った製品の提供が可能になる。

 2つ目のセグメントのオープンアーキテクチャはVGAを統合しないコアロジックチップセット。この市場へは、ご存じの通り当社は、「SiS635」と「SiS735」で参入したばかりだ。われわれは、このセグメントがPC市場の大半を占め続けると見ており重視している。また、このセグメント向けに開発したコアは、次の統合チップセットでも基本的に同じものが使われる。

SiSのチップセット推定ロードマップ
 そして、今年後半には、われわれは次世代の「SiS6x5」チップセットを投入するつもりだ。これは、Pentium 4とDDR SDRAMをサポートする製品になる。またAMDについても次世代CPUにサポートを広げる。AMDのK8(Hammer)は2002年の早期か2001年の遅くになると予想しているが、これが登場したら当社は対応製品を出すつもりだ。

 また、このオープンアーキテクチャ帯には、コアロジックだけでなくVGAベンダーとしても提供して行く。ディスクリートのVGA製品として、ご存じの通り「SiS3xx」系列を持っている。

 3つ目のセグメントは、インフォメーションアプライアンス(IA)だ。当社はこの市場向けには、「SiS5xx」の型番のついた製品群を新たに提供する。これは、CPUにコアロジック、グラフィックス、データコミュニケーション、そしてソフトウェアパッケージを加えたものだ。この製品はもうすぐ完成し、第2四半期の早い時期に発表する予定だ。また、そのあと、今年後半には次の世代を投入する。ステップバイステップで様々な機能をハードとソフトの両面で揃えてゆく予定だ。

 こうした統合製品はプロセス技術に非常に依存するものとなる。経済的なダイサイズに機能を詰め込み、低価格の製品を出す必要がある。そこで、SiSは自社で半導体工場(Fab)を持つことにした。当社は8インチ(200mm)ウエーハのFabで現在製造をしており、また、昨年12月に12インチ(300mm)ウエーハの2つ目のFabも開設した。こうした製品を企画できたのは、やはり自社Fabを持ったからだ。適切なプロセステクノロジがないと、アイデアだけで終わってしまうだろう。

 2001年には、当社はPCマーケットの30%を取るつもりだ。製品のアレンジメントとプロセスのキャパシティを考えると、今の当社にはそれだけのシェアを取るだけの能力があると考えている。


●ライセンス問題も大丈夫

[Q] Pentium 4チップセットを出すと言ったが、Pentium 4バスのライセンスは得たのか

[Alex Wu] 問題はない。なぜかというと状況が変わったからだ。まだ、ライセンスを得るだろうとしか言えないが、それはもう問題ではなくなったと考えている。

[Q] どうして単体チップセット製品をリリースしたのか。SiSはローエンドにフォーカスしているのだと思っていたが。

[Alex Wu] 戦略が変わった。当初の戦略は、統合ソリューションを低価格システムに提供するというもので、ご存じの通り、ここでは成功を収めた。こうした戦略を取ったのは、エンジニアリングやデザインのリソースに限りがあり、またファブレスだったので製造キャパシティに限りがあったからだ。しかし、徐々に技術的な蓄積もでき、リソースも拡大した。また、Fabを持ったことで供給力は大きく増えた。そこで、成長のために、次のステップとして別のセグメントに進出することにした。

[Q] DDR SDRAMメモリの評価検証プログラムはどうなっているのか。

[Alex Wu] すでに入手できた全てのDDR SDRAMメモリモジュールのテストは済ませた。いずれも無事パスしている。そこで、問題は発生していない。DDR SDRAMの266MHz動作も、驚くほどすんなりいった。実際のところ、当社は、優れたシミュレーションツールを持っているので、それを使ってマスクをテープアウトする前から、タイミングなどの調整を厳密に行なってきた。マスクを1回作ると、日本円で4,500万円かかる。それをムダにするわけにはいかないからだ。

[Q] 統合型と非統合型のチップセットの比率は。

[A(エミー・コー、Technical Marketing Engineer)] ふたつの数字がある。ひとつはターゲットでこれは50対50だ。しかし、実際には多分40対60で統合チップセットの方が多くなるだろう。

[Q] Intel向けとAMD向けの製品比率は。

[A(コー)] わからないが。ほぼマーケットシェアと同じ比率になると思う。様々な市場予測でAMDが30%程度をターゲットとしているとレポートしている。シチュエーションで異なるだろう。多分、30対70か35対65ではないだろうか。


●iDVDを最初のターゲットにするSiS5xx

[Q] 5xx系列で提供するソフトウェアは具体的にはどういったものになるのか。

[A(コー)] OSとしてはLinuxとWindows CEをサポートする。そのほか、DVD再生、MP3、Webブラウジング、eメールといった基本的なソフトウェアも提供する。

[Alex Wu] 当社にはソフトウェアチームが現在150名いる。これはドライバの開発要員も含めてだが、彼らが5xx向けのソフトウェアパッケージも開発している。Webやeメールのような基本機能に加えて、セグメントごとに必要な機能も今後次々と開発していくつもりだ。モジュールのようなものだと考えてもらってもいい。DVDモジュール、MP3モジュール、そんな形態で、カスタマーニーズごとにソフトウェアを提供していく。

 当社が最初にターゲットとしているのは「iDVD(DVDプレーヤー型のインターネット家電)」だ。我々は、単機能のシンクライアント(thin client)は、コンシューマ市場向けには向いていないと考えている。それは、ITのアプローチだ。家電機器とインターネットアプライアンスを結びつけてゆくべきだ。

[Q] SiS自身もそうしたIA製品の市場に乗り出す計画があるのか。

[Alex Wu] 当社はあくまでもコントローラ(チップ)のサプラヤだ。自社で最終製品を作るのではなく、カスタマニーズに応じた半導体製品を提供していく。

[Q] IA向けデバイスの世界も非常に競争が激しい。例えば、IntelはXScaleを持っている。

[Alex Wu] 競争はどの世界にもある。IAと一口に言っても、IAデバイスのカテゴリは非常に広い。先ほどはiDVDという例を出したのだが、ほかにもパームタイプや携帯電話のようなデバイス、これがXScaleのターゲットだが、それからPCライクのもの、PlayStation2のようなパワフルなゲーム機などがある。しかし、今のところどれがドミナントするのかが明確ではない。おそらく、IAで何が主流になるかの戦争はあと5年は続くだろう。誰もがトライするチャンスがあるし、どんな形態のデバイスも試すことができる。

 確かに、PlayStation2は市場をドミナントするかもしれない。しかし、誰もがあんなにパワフルなソリューションを望んでいるだろうか。私はそう思わない。だから我々にもチャンスがあると考えている。いい製品を適切なポジショニング、適切な価格で出せば、チャンスがある。

[Q] 5xxのCPUコアは性能的には十分なのか。

[Alex Wu] 5xxに採用するのはPentiumクラスのCPUだ(SiSはRise TechnologyのmP6のライセンスを持っている)。PCではPentiumクラスではすでに性能が不足してしまっている。しかし、IAの世界ではパワフルなCPUとなる。すべてはポジショニングだ。例えばIntelのグラフィックス統合CPU「Timna」。あれがいい製品だったのに成功しなかったのは、ポジショニングのためだ。彼らはあの製品をローエンドのPCに提供しようとした。それは意味をなさない。

(後編に続く)
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(2001年2月26日)

[Reported by 後藤 弘茂]


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