プロカメラマン山田久美夫の PMA初日レポート

キヤノン、3倍ズーム付きIXYなど3機種を発表

開催期日:2月11日~14日(現地時間)
会場:Orange County Convention Center,Orlando Florida


 いよいよ米国最大のカメラショーである「PMA」が開幕した。
 すでに多くのメーカーが開幕前に多数の新製品を発表していたが、会場で初公開された製品も実に多く、なかなか見応えのあるイベントとなっている。

 初日レポートでは、キヤノン、ペンタックス、ミノルタの新製品をまず紹介しよう。


●キヤノン、3倍ズーム付きIXY Digitalを公開

 キヤノンは今回、一気に3機種ものコンパクトカメラスタイルのニューモデル「PowerShot S300」、「PowerShot A10」、「PowerShot A20」を発表。さらに、ダイレクトプリント可能な小型プリンタも同時発表し、ラインナップの充実を図った。

PowerShot S300 向かって右がPowerShot S300

 やはり注目されるのは、待望の“3倍ズームレンズ搭載IXY DIgital”といえる「PowerShot S300」だ。北米では日本の「IXY Digital」が「PowerShot S100」というネーミングで販売されているため、“PowerShot”ブランドになっている。

 CCDは従来と同じ1/2.7インチの211万画素タイプを採用しているが、3倍ズーム機だけに、ボディサイズはIXY Digitalよりも、若干大きくなっている。だが、基本デザインや質感はそのまま踏襲されているため、単体で見ると、さほど大きくなったという印象はない。

 レンズは沈胴式の3倍ズームタイプで、明るさはF2.7~4.7、35mmカメラ換算で35~105mm相当という標準的なもの。もちろん、携帯時には完全にボディに収まり、出っ張らない。

 基本的な仕様もほぼ踏襲されており、記録媒体はCF、電源は従来と同じ充電式バッテリ。ただ、実機を操作してみると、若干操作性が見直されているようだ。とくに、IXY Digitalで不満だった撮影後の画像確認機能(シャッターを押しっぱなしにしないと、撮影した画像を自動再生表示しない)が改良されており、標準設定では普通のデジタルカメラのように、撮影後、自動再生する仕様に変更されている。

 価格は、599ドル。現地では2倍ズーム搭載のIXY Digitalが499ドルのため、3倍ズーム化で100ドル高くなっているわけだ。なお、北米での発売時期は5月を予定しているという。

 日本国内での発表、発売時期などについては、アナウンスされていないが、近い時期に正式発表される可能性が高そうだ。


●米国市場重視のPowerShot A10、PowerShot A20

PowerShot A10 防水ケース

 また、同社は今回、北米で中心となる500ドル以下の価格帯をターゲットとしたモデルとして、新たに「PowerShot A10」と「PowerShot A20」を発表した。

 これらのモデルは、コンパクトさを前面にうたったIXY系よりも明らかに一回り以上大きいが、そのぶん、コストパフォーマンスを優先させた、新シリーズだ。

 CCDは、A10が132万画素、A20は211万画素タイプで、レンズはいずれも光学式3倍ズームを採用している。

 基本的なデザインは、ごく普通のコンパクトカメラと見間違うような、レンズをセンターの配置したコンベンショナルな銀塩カメラ風のもの。やはり北米では、カメラの中心にレンズがあるデザインのほうが好まれる傾向がある、このモデルもそれを意識したものになっているようだ。

 手にした感じは、ごく普通のコンパクトカメラを持っているような感覚で、デジタルであることをさほど意識せずに使えるものに仕上がっている。また、操作部はなかなかよく考えられており、背面の大型ダイアルで撮影と再生モードを切り替えるだけで、通常の撮影はOK。さらに、ホワイトバランスや露出補正などは、液晶横にあるボタンで簡単に設定できる。

 液晶モニターは1.5インチタイプを採用。記録媒体はCFカード、電源は単三型4本という標準的な仕様になっている。

PowerShot A20

 価格はA10が399ドル、A20が499ドルと、比較的手頃なもの。米国での発売時期はA10が6月、A20はそれに先行し4月には市場に並ぶという。

 こちらのモデルも日本国内での展開は未定。だが、手頃な価格帯で、ごく普通のコンパクトカメラの延長として扱える親しみやすさを備えており、日本国内でも人気が出そうだ。


●カードサイズプリンタ「CP-10」も展示

CP-10
 キヤノンは今回の新ラインナップである「S300」、「A10」、「A20」で、PCなしにケーブル一本でダイレクトプリント可能な、コンパクトな昇華型プリンタ「CP-10」を同時発表した。

 これはカード(名刺)サイズ専用の昇華型プリンタで、カメラと専用ケーブルで接続することにより、簡単にプリントができるもの。プリンタ側には特別な操作部がなく、コマ選びなどはすべてカメラ側の液晶でおこなう仕様だ。

 もちろん、カメラ側でDPOFによるプリントオーダー用フォーマットを作成しておけば、多数のプリントも自動的にこなすことができる。

 解像度は300dpiと高く、会場でのプリントサンプルを見る限り、画質もなかなか良好。もちろん、オーバーコート式のため、保存性も良好という。

 また、プリント時間も約60秒弱と実用的な速度を実現している。

 価格は299ドル。米国での発売時期は4月を予定しているという。日本での展開は未定だが、上記のモデルと同時発表されることはほぼ確実だろう。

 北米の場合、これまでキヤノンのデジタルカメラは高価格帯の「PowerShot G1」の人気が高く、日本で人気の高い「IXY Digital」はそこそこという状態。だが、今回のモデルの登場で、一気にラインナップの充実を図っており、低価格モデルからデジタル一眼レフまでのフルラインナップが揃ったことになる。


●旭光学、343万画素3倍ズーム搭載機「EI-3000」発表

EI-3000

 旭光学は今回、昨年発売した224万画素光学3倍ズーム搭載デジタル一眼レフ「EI-2000」の後継機として、2/3インチ343万画素のフレームトランスファ型CCDを搭載した「EI-3000」を正式発表した。

 このモデルは、基本的に「EI-2000」のCCDのみを換装したもので、画素数が不足気味だった同機の不満を解消した待望の新型モデルだ。

 CCDは大型の2/3インチタイプを採用。レンズは光学式3倍ズーム(35mmカメラ換算34~107mm相当)を搭載。ファインダーは一眼レフタイプ。また、FlashPoint TechnologyのDigita OSが採用されている。価格は未定。米国での発売時期は7月を予定しているという。


●600万画素CCD搭載一眼レフも展示

600万画素CCD搭載一眼レフ

 昨年のフォトキナで初公開された、35mmサイズの600万画素CCD搭載レンズ交換式デジタル一眼レフも出展されている。

 今回は同機のベースとなる35mm一眼レフである「MZ-S」が正式発表されており、そのデジタル版として、会場での注目度も上々だ。

 もちろん、まだ正式発表ではないが、今回のPMAでは、その発売時期が今年の9月か10月であることを正式にアナウンスしている点が注目される。また、価格に関しては現時点ではまだコメントできないということだった。


●ミノルタ、524万画素の光学7倍ズーム搭載機「DiMAGE 7」など3機種を参考出品

DiMAGE 7

 ミノルタは、パーソナルハイエンドクラスとなる2/3インチ524万画素CCDを搭載の7倍ズーム機「DiMAGE 7」など3機種を参考出品した。残念ながら、細かなスペックは公開されていないが、ガラス越しに実機を見る限り、かなりの本格派モデルといえそうだ。

 最上位機の「DiMAGE 7」は、現行のパーソナル向けモデルではトップとなる総画素数524万画素の2/3インチCCDを搭載している。

 レンズは、35mmカメラ換算で28~200mmレンズ相当と、本格的なワイドから望遠までをフルにカバーできる光学7倍ズームを搭載、明るさもF2.8~3.5と十分に大口径で、しかもコンパクトに仕上がっている。

 ファインダーは、光学式ではなく、背面、ビューファインダーともに液晶式。とくに、液晶ビューファインダーは「デジタルハイパー電子ビューファインダー」というネーミングでアナウンスされている。おそらく、昨年のCEATEC JAPAN 2000で出品された、通常のLCDよりも高精細な「KOPIN Cyber-Display」のようなデバイスを搭載したものではないかと思われるが、ミノルタ側はノーコメントということだった。

 また、この液晶ビューファインダーは角度を変えることができ、ローアングルでの撮影にも対応できるようだ。

 スタイリングは実に個性的なものだが、写真で見るよりも、現物はコンパクトな印象で、携帯性もよさそう。また、操作部はダイアルを中心としたもので、かなり多機能ながらも、使い勝手は良さそうだ。


DiMAGE 5 DiMAGE S304

 また、同じ筐体に1/1.8インチ334万画素CCDを搭載した「DiMAGE 5」も同時公開されている。こちらはCCDが小さいため、同じレンズながらも、35mmカメラ換算で35~250mm相当となる。それ以外のスペックは同等のようだ。

 一方、通常のコンパクトタイプの筐体に、高画質な光学4倍ズームを搭載した334万画素モデル「DiMAGE S304」も公開。こちらは、35mmカメラ換算で35~140mm相当になるという。

これらのモデルはいずれも、価格、正式発表時期、発売時期ともに未定だが、今年中には製品化されるものと思われる。



□PMA2001のホームページ(英文)
http://www.pmai.org/pma2001/

(2001年2月13日)


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[Reported by 山田久美夫]


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