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NEW PRODUCTS TESTREPORT

ソニー
GDM-F520
画質を最優先したハイエンド21型ディスプレイ
TEXT:天野 司 Tsukasa Amano


1,600×1,200ドット表示。本体付属のDsub15ピンケーブルでSPECTRA 8400と接続している
 ソニーが発売するPC用CRTディスプレイには、いくつかの系列があるが、その中でも型番がGDMで始まる製品は、“Graphic Display Monitor”の略とされることからも分かるように、グラフィックスのプロにも対応可能な高画質タイプで、一般用途向けのCPD(ComPuter Display)シリーズとは一線を画す高い性能を持っている。さらにこのGDMシリーズの中でも、今回新たに発売された「GDM-F520」は、21型CRTを採用した先代「GDM-F500R」の後継にあたるフラグシップモデルである。

 GDM-F520は、F500Rと同様21型のFDトリニトロン管を採用するが、両者の違いは一目見れば明らかだ。オフィスホワイトを基調としていた500Rに対し、F520ではシルバーの画面枠、ダークグレイのボディ、そしてコネクタ部はブルーという非常にスタイリッシュなボディカラーとなっているのである。


本体右側面下部には、4ポートのUSBハブを内蔵しており、各種の周辺機器を接続できる
 だが、違うのはデザインだけではない。表示管は、従来よりもコントラストを高めたハイコントラストFDトリニトロン管を採用、AGピッチも管面全体にわたって0.22mmと非常に高精彩で、137kHzまで対応可能な水平走査周波数とあわせて、2,048×1,536ドット/85Hzという表示をサポートする。操作系では、F500シリーズの特徴でもあった4方向スティックを廃し、携帯電話風の上下+プッシュ動作のジョグボタンでほとんどの設定を行なう。

 背面にある入力コネクタは、Dsub 15ピンと5BNCの2系統となる。コネクタは水平方向ではなく、後方斜め下に向かって設置されており、コネクタやケーブルが後方に突き出すことを防いでいる。入力切り換えが他製品のような電子スイッチ式ではなく、スライドスイッチを採用している点はF500Rと同様だ。使い勝手に優れる電子スイッチを採用せず、あえてスライドスイッチを用いているのは、電子スイッチによる画質劣化を避けるためで、こうした部分にも画質を最優先するための配慮がうかがえる。


フロントパネル右側に配置されたジョグボタンで、メニューの選択と決定を行なう
 ただこのスイッチは、F500Rでは背面のコネクタ部にあって非常に操作しづらかった。F520ではこれが前面パネルに移動され、切り換え時の煩わしさは大幅に改善されている。ワンプッシュとスライドとの差はあるとはいえ、これならあまり不満はない。

 画質調整では、ピクチャエフェクト機能が目新しい。これは、用途に合わせて、明るさやコントラストなどの画質を積極的にコントロールする機能で、CADやCGに適したプロフェッショナル、ゲームやビデオ表示に対応したダイナミック、通常利用に向くスタンダードの3通りから選択できる。こうした「味付け」を好まない場合には、sRGBプロファイルを用いたカラーマッチングにも対応可能と、幅広い用途に対応することができる。これらの画質調整に関連するパラメータは、入力端子ごとに別々に設定、記憶が可能であるため、入力を切り換えるごとに再設定を行なう必要がないことも便利である。


斜め下方に向けられたコネクタにより、ケーブルもスッキリとまとまる
 オートサイジングや歪み補正といった各種機能は、プロユースを意識した本機では当然充実している。本体右側面にはUSBハブも備わっているし、上下のジョグボタンの操作性もよく、全般的に操作性は悪くない。

 さすがにここまで画質に気を配った製品ゆえ、画質は良好である。筆者は本機にカノープスのSPECTRA 8400を5BNCケーブルで接続してみたが、1,600×1,200ドットはもちろん、2,048×1,536ドット表示でも、得られる画像はシャープで、十分に利用することができた。


細かな設定が可能な点も本機のウリだが、メニューは分かりやすくまとめられており、迷うことなく目的の操作を行なうことができる
 GDM-F500Rと比べても、画質および使い勝手の向上度合いは大きい。とにかく高画質な21型ディスプレイが欲しい場合にお勧めの製品だ。


  • 製品名:GDM-F520
  • 標準価格:オープン(実売250,000円前後)
  • メーカー:ソニーマーケティング株式会社
  • 問い合わせ先:03-5454-0700
  • URL:http://www.sony.co.jp/
  • ブラウン管:21型アパーチャーグリル管
  • グリルピッチ:0.22mm
  • 水平走査周波数:30~137kHz
  • 垂直走査周波数:48~170Hz
  • 最大表示解像度(推奨):2,048×1,536ドット(1,600×1,200ドット)
  • インターフェース:USB×4、Dsub 15ピン×1、5BNC×1
  • 消費電力:最大約145W
  • 本体サイズ(W×D×H):497×499×487mm
  • 重量:約30kg

    ■写真撮影
    若林直樹(STUDIO海童)

    □ソニーのホームページ
    http://www.sony.co.jp/
    □製品情報
    http://www.sony.co.jp/sd/ProductsPark/Consumer/Peripheral/Display/CRT/GDM-F520/index.html
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    【1月10日】ソニー、新デザインを採用した21インチFDトリニトロンディスプレイ
    http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010110/sony.htm


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