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NEW PRODUCTS TESTREPORT

日本ビクター
InterLink MP-C303-A
1,024×600ドット表示対応のWindows CE搭載機
TEXT:館 貴之 Takayuki Tate


1,024×600ドット表示。独自仕様のため、アプリケーションによっては不具合が発生することもある
 日本ビクターのInterLink MP-C303-A(以下MP-C303)は、Windows CE系の最新OS、Windows Powered Handheld PC 2000を搭載したPDAである。PDAと一口に言っても、その幅は広い。PalmやザウルスのようにPCとの接続性を保持しながらも独自の路線を開拓する道もあれば、PC的なスタイルをできるだけ削らずに、どこまでコンパクトなものに仕上げるかを追求する道もある。そして、後者がInterLinkシリーズのテーマであろう。

 このMP-C303は、キーボードがクリアパーツだったり、電源ON時にディスプレイ背面のiの文字の一部が光ったりと、ファッショナブルなデザインが印象的だ。ポインティングデバイスとして採用されているスタイラスにしても、収納するとフタの一部として溶け込んでしまうほどの一体感で、マシン全体に品のよさがある。キーボード自体はむりなくタッチタイプ可能なぎりぎりのサイズで、短時間で普通に入力できるようになった。


小さなスペースにうまく収められたキーボード。メールなどを書くには十分な操作性を持つ
 画面表示は1,024×600ドットと800×600ドットの2種類を選択できる。一般的なノートPCと比較すると、画面サイズが7型と小さいので、文字も小さくなるが、1,024×600ドットモードで多くの文字を表示できるのはやはり便利である。また、画面を180度回転させる機能があり、ディスプレイを180度開いて向かいの人に画面を見せながらPocket PowerPointでプレゼンテーションを行なうという使い方も可能となっている。

 最近のPDAには、携帯電話との接続性などのモバイル通信機能や、動画再生機能などのマルチメディア機能など、従来よりも多くの機能が求められているが、MPC-303はこの点にも力を入れている。通信機能に関してまず目立つのは、内蔵モデムポートがヒンジの右側面に埋め込まれていることで、これにより本機の優れたデザインが損なわれないように配慮してある。


本体左側面(上)にはPCカードスロット、右側面(下)にはUSB端子などを備えている
 さらに携帯電話・PHS用のインターフェースを内蔵しており、別売のケーブル1本で接続できる。加えて、PCカードとコンパクトフラッシュのスロットを内蔵しているので、これらのインターフェースに対応したPHSカードやLANカードを使って通信することもできる。筆者もC@ard H"アダプタを挿入してみたが、自動的に認識されることを確認できた。

 マルチメディア機能に関しては、電子アルバムソフトの「ピクチャーアルバム」、静止画を取り込む「スチルキャプチャー」、グラフィックスソフトの「ピクチャーパレット」、サウンドとビデオの再生ソフトの「AVリンクジュークボックス」などが搭載されている。そして、「AVリンクメール」という、ピクチャーパレットやスチルキャプチャーと連係できるメールソフトも搭載されている。これらのソフトはビクターオリジナルなので、ほかのWindows CE機との差別化のポイントの一つと言えるだろう。


本体正面にはコンパクトフラッシュスロットが用意されており、メモリデバイスや、通信アダプタを装着可能となっている
 バッテリ駆動時間は最大6時間、連続通信時で最大3時間使用可能となっているので、一般的なノートPCよりも長時間使用できる。データのバックアップに関しても、メモリカードへのバックアップを行なう「bUSEFUL Backup Plus」と、通信機能を利用してPCと同期を取る「ActiveSync」の2種類のソフトが搭載されている。

 これ以外に、Pocket OfficeやPIMソフトのPocket Outlookが搭載されている。この原稿もPocket Wordを使ってMP-C303で作成したが、画面表示能力、キーボードの操作性など大きな問題はなく、快適に作業を行なうことができた。「遊びにも仕事にも強いモバイルPC」といううたい文句どおり、より多くの機能をコンパクトな筐体の上に妥協せずに実現している点を評価したいマシンである。


  • 製品名:InterLink MP-C303-A
  • 標準価格:オープン(実売120,000円前後)
  • メーカー:日本ビクター株式会社
  • 問い合わせ先:03-5802-0440
  • URL:http://www.jvc-victor.co.jp/
  • CPU: MIPS VR4122 180MHz
  • メモリ(最大):32MB(32MB)
  • ディスプレイ:7型ポリシリコン透過型TFT液晶
  • 最大解像度:1,024×600ドット/65,000色
  • モデム:56kbps(V.90対応)
  • キーボード:80キー
  • 拡張スロット(空き):PCMCIA TypeII×1(1)、CF TypeII×1(1)
  • インターフェース:USB×1、シリアル(専用端子)×1、ディスプレイ(専用端子)×1、ヘッドホン×1、モデム(RJ-11)×1、携帯電話接続端子×1、IrDA×1
  • 電源:リチウムイオンバッテリおよびAC電源
  • バッテリ駆動時間:約6.0時間
  • 本体サイズ(W×D×H):217×153×24mm
  • 重量:740g
  • OS:Windows Powered Handheld PC 2000
  • 付属ソフト:Microsoft Pocket Office、クイックディクショナリーなど

    ■写真撮影
    若林直樹(STUDIO海童)

    □日本ビクターのホームページ
    http://www.jvc-victor.co.jp/
    □製品情報
    http://www.jvc-victor.co.jp/interlink/c303/index1/index1.html
    □関連記事
    【2000年11月1日】ビクター、1,024×600ドット液晶を備えたWindows CE機
    http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20001101/victor.htm


    【PC Watchホームページ】


    ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp

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