Platform Conferenceレポート(チップセットベンダ編)

VIA、333MHzのDDR SDRAM対応チップセットの計画を明らかに

会場:Silicon Valley Conference Center

会期:1月23、24日(現地時間)

 Platform Conferenceの主役はメモリベンダという感が強いが、そのメモリをサポートするチップセットもさまざまな展示や講演を行なっている。このレポートではチップセットベンダが行なった講演や、発表した内容などを集めてみた。



●VIA TechnologiesはPRO2001(PX266)でPentium 4をサポート

VIA Technologiesが提示した2001年、2002年のロードマップ。「Future CPU」の正体はもちろんPentium 4/Foster
 VIA Technologiesは「Advanced V-LINK DDR Platform Architecture」と名付けられたセッションを開催し、同社のストラテジックマーケティングディレクタであるエリック・チャン氏が、デスクトップ向けDDR SDRAMチップセットロードマップを公開した。

 それによればVIA Technologiesは既にPro266(Pentium III/Celeron用)およびKT266(Athlon/Duron用)の2つのチップセットを出荷している。VIAはPro266の後継としてPro266Tを第1四半期中にサンプル出荷を開始するという。Pro266TはPro266のスペックはそのままに、システムバスの電気信号がGTL+からGTLへと変更されるTualatin(製造プロセスルールが0.13μmへと微細化された次世代Pentium IIIコア)への対応が行なわれる。ちょうどIntel 815がBステップでTualatinに対応する予定であるのと同じようなリビジョンアップ版だと言ってよい。

 今年の後半には「PRO2001」という次世代DDR SDRAMチップセットのサンプル出荷を開始する。「PRO2001」はCPUとしてVIAが「Future CPU(将来のCPU)」と表現するCPUをサポートし、533MB/秒と標準のV-LINKの倍のバンド幅を実現するV-LINKをサポートする。また、サーバー/ワークステーション用と位置づけられているため、64bit PCIもサポートしているという。注目すべきはこの「Future CPU」が何を意味するかだが、セッション終了後にチャン氏に直接質問してみたが「現時点では明らかにできない」と、公式には明らかにしないという姿勢だった。

 VIAのOEMメーカー筋の情報によれば、VIAがOEMメーカー向けに公開しているロードマップには、この「PRO2001」という製品は「PX266」という製品名で、CPUとしてはPentium 4のデュアルプロセッサに対応しているという。Pentium 4は標準ではデュアルプロセッサはサポートされていないため、実際にはPentium 4とそのサーバーバージョンであるFoster(コードネーム)をサポートしているチップセットということになる。なお、気になるAthlon/Duronへの対応だが、チャン氏によれば「同時とはいかないまでも当然Athlon/Duron用の計画もある」と述べ、さらにHammerファミリー用のチップセットの計画は? という質問には「当然、社内では検討している。AMDとの話し合いは続けている」と述べ、Hammerをサポートする意向を明らかにした。


●2002年にDDR333をサポートするチップセットの計画も

 さらに、チャン氏は「PRO2001(PX266)」の後継に来るチップセットとして「PRO2002」、「PRO2001」のグラフィックス統合版として「PRO2001 SMA/Mobile」の計画を明らかにした。「PRO2002」はメインメモリとして333MHz DDR SDRAMをサポートするという。333MHzはDDR SDRAMは、現在のPC用DDR SDRAMのメモリモジュール(PC-2100/1600)に採用されている266MHz、200MHzのDDR SDRAMの次にPCに採用されると見られているメモリチップで、2.7GB/秒のバンド幅を実現する。現時点ではメモリモジュールの仕様などを含めて規格の策定段階だが、今後PC用のメモリとして採用される可能性が高い。VIAとしては、今後もより高クロックなDDR SDRAMをサポートし続けていく意向であるようで「Direct RDRAMをサポートする予定は全くない」とDDR SDRAMの成功にかなり自信を持ってきているようだ。

 なお、PRO2001(PX266)相当の統合型チップセットの計画が明らかになったのは今回が初めてで、これが計画通り出荷されるとなるとPentium 4用としては最初の統合型チップセットになる可能性もある。

VIA Technologiesが提示したApollo KT266(Athlon用DDR SDRAMチップセット)のパフォーマンス。メモリの実行バンド幅がKT133Aなどに加えて20%程度向上している 2日目に追加されたShuttle COMPUTERのAV37。Apollo Pro266を採用し、DDR SDRAMとSDRAMの両方のDIMMスロットを採用している


●ALiは発表済みのチップセットが話題の中心

 ALi(Acer Laboratories Inc.)は、今回は特に新しい発表はなく、Platform Conferenceの直前に発表されたモバイル向け統合型チップセットのCyberMAGiK(Athlon/Duron用)、Cyber Aladdin(Pentium III Celeron用)をアピール。また、昨年発表されたAthlon向けスタンドアローンのモバイル向けDDR SDRAMチップセットMAGiK1のデモが行なわれた。デモに利用されたのはAMDがALiのチップセットを利用して作成したデモボードで、「Thresher」(オナガザメの意)というコードネームがつけられていた。

ALiが展示したALi MAGiK1のSDRAMとDDR SDRAMの比較デモ。双方でメモリテストを走らせエラーもなく動作することをデモした 展示機に利用されたAMDのリファレンスマザーボード。鮫の絵が格好良い

 なお、ALiは2日目の基調講演にも登場し、同社製品のアピールを行なった。基調講演を行なったのはALi副社長のフレッド・リュン氏で、CyberMAGiKやCyberAladdinなどのチップセットのほか、もう1つの主力製品であるMPEG-2デコードチップについてアピールした。同社はチップセット以外に、ローコストのMPEG-2デコーダチップに力を入れており、中国向けのローコストDVDプレーヤーなどに採用されている。リュン氏は「米国や日本などではPCがインターネットに接続する端末として利用されているが、中国本土、例えば香港などではPCは高すぎて普及していない。これに対して、ビデオCDプレーヤーはあっという間に中国や香港の家庭に普及した。当社はそうしたことがDVDでも起きると見ており、DVDプレーヤーがインターネットの機能を持てば、今後中国ではDVDがインターネット端末として普及していく可能性がある」と述べ、中国のインターネットの主役はDVDプレーヤーだという非常にユニークな見解を明らかにした。

 確かに一見的を射た見解であるようだが、ビデオCDプレーヤーが中国や台湾で普及したのはプレーヤー自体が安価であるだけではない。もう1つ(そしてむしろこちらの方がより本当の理由と言ってもよいが)の理由として、海賊版の安価なソフトが大量に出回っていることが挙げられる。実際に香港などに行けば、日本では正規ビデオが発売されていないような現在放送中である日本のテレビドラマのビデオCDが発売されているのを目にすることが多い。そうした意味では、ビデオCDよりはDVDの方がコピーは難しく、ALiの言うようになるかは疑問が残るところだ。


●NVIDIAのサウスブリッジにAMDのLDTが採用

 このほか、AMDはLDTに関するセッションを行なった。LDTの技術的詳細に関しては既に公開されている内容と同じであり、特にアップデートはないが、今回のセッションの最後にNVIDIAがサウスブリッジにLDTを採用したことがAMDにより明らかにされた。

 とはいえ、現在NVIDIAはPC用のチップセットをリリースしておらず、今後もリリースされる予定は今のところない。となると、NVIDIAが計画中のサウスブリッジといえば、当然ながらXbox用のチップセットである可能性が高い。現時点では詳細は明らかにはなっていないが、やや気になる話だろう。

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Platform 2000レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/link/pform00_i.htm

(2001年1月26日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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